答弁本文情報
昭和六十三年十月十一日受領答弁第一八号
内閣衆質一一三第一八号
昭和六十三年十月十一日
内閣総理大臣 竹下 登
衆議院議長 原 健三郎 殿
衆議院議員坂上富男君提出刑事施設法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員坂上富男君提出刑事施設法案に関する質問に対する答弁書
一について
市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「国際人権B規約」という。)第四十条に基づき締約国が提出した報告書を検討する「人権委員会」において我が国が提出した報告書の検討が行われ、その際いわゆる代用監獄制度についても一部の委員から質問がなされたので、我が方からしかるべく説明を行つた。
国際人権B規約第十七条1は、何人も、通信に対して「恣意的に若しくは不法に」干渉されない旨規定したものであり、刑事施設法案(以下「法案」という。)第九十八条及び第百十四条がこれに違反するとは解していない。
国際人権B規約第十四条3(b)の「自ら選任する弁護人と連絡する」権利は、御指摘のような被勾留者が弁護人等に対し発する信書の秘密を保障する趣旨ではないと解される。したがつて、法案第百十四条が右規定に違反するとは解していない。
国際人権B規約第十四条1の裁判を受ける権利の保障は、受刑者又は被勾留者と弁護人等以外の弁護士との間の面会及び信書につき秘密を保障する趣旨ではないと解される。
刑事施設の被収容者は、既に身体的拘束を受けている者であることから、被収容者に閉居罰を科しても国際人権B規約第九条1に違反するとは解していない。
閉居罰や報奨金支給予定額の削減の懲罰は、行政上の懲戒罰であつて、国際人権B規約第十四条3にいう刑事上の罪の決定ではない。