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平成三年一月十八日受領
答弁第三号

  内閣衆質一二〇第三号
    平成三年一月十八日
内閣総理大臣 海部俊樹

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員松原脩雄君提出ゴルフ場使用農薬に係わる水道水質目標及び排水指針値に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員松原脩雄君提出ゴルフ場使用農薬に係わる水道水質目標及び排水指針値に関する質問に対する答弁書



一の1及び2について

 御指摘の暫定水質目標は、生活環境審議会水道部会水質専門委員会における検討結果に基づいて、設定されたものである。
 同委員会では、世界保健機関(WHO)飲料水水質ガイドライン、米国安全飲料水法等における基準設定の考え方を参考にして、生涯にわたり毎日摂取したとしても人の健康に影響の生じないと考えられる量を基に、体重五十キログラムの人が一日に二リットルの水を飲むと仮定した場合においても摂取量が十分低くなるように目標値を設定したものである。この人の健康に影響の生じないと考えられる量としては、国連食糧農業機関(FAO)・世界保健機関(WHO)残留農薬合同会議の一日摂取許容量等も参照しつつ、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づく農薬の登録に際しての当該農薬についての安全性評価の結果を使用した。

一の3について

 暫定水質目標設定の基とした各農薬についての安全性評価の結果は、農薬取締法に基づく農薬の登録申請に当たって登録申請者から提出された毒性試験成績を根拠としている。

二の1について

 御指摘の暫定指導指針における指針値は、人の健康を保護する観点から、一般的条件の下では、ゴルフ場の排水口においてこの値を上回らなければ下流の取水地点において暫定水質目標を上回ることがないように設定したものであり、十分な合理性がある。また、ゴルフ場の立地条件や下流の利水状況等地域の実情に応じて、指針値に替わるより厳しい値によって水質を監視するよう指導しているところである。
 なお、魚類被害の防止に関しては、農薬の魚毒性の程度に応じて、農薬の使用場所の制限等適正な使用に関し指導を行っているところである。

二の2について

 平成元年十一月に北海道において発生した事故は、降雨の可能性があったにもかかわらず、養殖池に近接するゴルフ場において魚毒性の強い農薬を一時に広範囲に散布した等の農薬の不適正な使用により、農薬が混入した水が一時に養殖池に流入したことが原因と考えられる。このような魚類被害については、魚毒性の強い農薬について使用場所を制限する等その適正な使用に関する指導を行うことにより未然防止を図ることが基本であることから、都道府県等を通じ、農薬の使用に関する研修会の開催や立入検査の実施等によりその徹底が図られるよう指導しているほか、異常の早期発見に資するため、ゴルフ場における調整池での魚類の飼育についても指導しているところである。

二の3について

 暫定指導指針における指針値は、人の健康を保護する観点から二の1についてのように設定したものである。
 なお、半数致死濃度(以下「TLm」という。)は、所定の試験条件の下で得られた実験値であって、農薬の種類や剤型によって異なる魚毒性の程度を相対的に評価し、農薬の適正な使用に資するためのものである。このため、これを農薬の流出・消長実態や魚類の生育等の態様が一様でない環境中の水質の規制値として取り扱うことは適切ではなく、主要国におけるこうした例は承知していない。
 また、質問主意書中別表2のTLmの数値は、農薬原体について、難溶性のため溶剤を添加して得られた数値と考えられるが、農薬は、原体が実際に使用される形態に変えられた製剤として登録され、使用されるものである。ゴルフ場からの排水中の農薬濃度が指針値以下であれば、一般的条件の下では、下流水域における濃度はこの製剤のTLmの数値を下回るものと考えられるが、必要に応じてこの指針値をより厳しい値に替え、実態に即した水質の監視を指導しているところである。

二の4について

 暫定指導指針における指針値は、人の健康を保護する観点から設定したものであり、引き続きこれに即した水質の監視の指導を徹底させてまいりたい。
 また、ゴルフ場における農薬の使用に当たっては、周辺の生態系の維持・保全が配慮されることが重要であり、農薬の適正な使用や必要最少限の使用について指導することにより、農薬による魚類等への被害を防止するよう引き続き努めてまいりたい。さらに、著しい水産動植物の被害が発生するおそれがある等所定の要件に該当する農薬であることが明らかになった場合には、農薬取締法に基づき当該農薬を水質汚濁性農薬に指定することについても検討してまいりたい。

三の1について

 都道府県等においては、地域の実情に即した農薬の選定や安全使用基準の遵守等農薬の適正な使用について指導しているところであり、また、農薬使用の実態を踏まえ、指針値に即した水質の監視を指導しているところである。
 キャプタンについては、その魚毒性の程度の大きさからみて、「河川、湖沼、海域及び養殖池に飛散又は流入するおそれのある場所では使用せず、これらの場所以外でも一時に広範囲には使用しない」旨表示されており、このことはゴルフ場における使用に当たっても同様に配慮される必要がある。
 また、暫定指導指針においても、農薬の適正な使用や必要最少限の使用について注意を喚起しているところであり、引き続き指導に努めてまいりたい。

三の2及び3について

 暫定指導指針における指針値の考え方、そのTLmの数値との関係及び生態系の保全に関する考え方については、二の1について、二の3について及び二の4についてにおいて記したとおりであり、キャプタンについても、指針値は安全使用基準と矛盾したり、それを無視するものではない。
 また、TLmの数値を環境中の水質の規制値として取り扱うことは、その性格からみて適切ではないが、キャプタンのゴルフ場からの排水中の濃度が指針値以下であれば、一般的条件の下では、下流水域における濃度は実際に使用される登録された製剤のTLmの数値を下回るものと考えられる。
 今後とも、農薬の適正な使用に関する指導を徹底するとともに、地域の実情に即した排水中の水質の監視、農薬の流出の低減化等暫定指導指針の適切な運用に努めてまいりたい。





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