衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成五年一月十二日受領
答弁第七号

  内閣衆質一二五第七号
    平成五年一月十二日
内閣総理大臣臨時代理
 国務大臣 後藤田正晴

         衆議院議長 櫻内義雄 殿

衆議院議員小森(注)邦君提出プルトニウム輸送に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小森(注)邦君提出プルトニウム輸送に関する質問に対する答弁書



一の@からBまでについて

 平成四年十一月から平成五年一月にかけて行われたフランスから我が国までのプルトニウムの輸送(以下「本件プルトニウム輸送」という。)に関しては、これまで、マラッカ海峡周辺諸国、南太平洋諸国、アフリカ諸国、中南米諸国等の政府から、我が国政府に対し、輸送の安全性や輸送ルート等を含む輸送に関する照会があった。また、いくつかの国からは外交経路を通じ、安全性に関する懸念が表明されている。
 照会又は懸念の表明を行った主な国等は具体的には次のとおりである。
 マラッ力海峡周辺諸国 インドネシア共和国、マレイシア、シンガポール共和国、フィリピン共和国
 南太平洋諸国 南太平洋フォーラム、ナウル共和国、ニュー・ジーランド等
 アフリカ諸国 南アフリ力共和国等
 中南米諸国 ブラジル連邦共和国、チリ共和国、アルゼンティン共和国、パナマ共和国等
 本件プルトニウム輸送に関して、照会又は懸念の表明を行った国々に対しては、基本的には在外公館を通じて、また、必要に応じて専門家を派遣し、輸送の必要性、安全対策、核物質防護対策等について関係資料を提供し誠実に説明を行ってきている。
 このような説明により、本件プルトニウム輸送については政府レベルではおおむね理解が得られていると認識している。
 今後の輸送に当たっても、このような努力を継続し国際社会の理解を得つつ輸送を実施していく所存である。

二の@からDまでについて

 本件プルトニウム輸送は、原則として無寄港で行うこととしていたため、あらかじめ具体的な緊急時における寄港先は想定していなかった。いかなる国とも、御質問のような緊急時における寄港に係る具体的な事項について協議はしていない。

二のEについて

 過去において使用済燃料輸送船が、ハワイ及びバミューダの近海に停泊したことがあると承知しているが、輸送船は港には入っておらず、領海外において乗組員のけが、病気及び交代のため停泊したものと承知している。

二のFについて

 何らかの理由により緊急時における寄港の必要が生じた場合は、受入国政府から寄港を認める旨の回答を得た上で寄港することとしていた。

三の@について

 放射性物質による汚染に関する国家間の損害賠償については、承知している限りでは、例はない。なお、ビキニ被災事件については、三のDについてにおいて述べるとおりである。

三のAについて

 放射能汚染による損害の賠償を含め、不法行為によって生ずる債権の成立及び効力に関する国際私法としては、法例(明治三十一年法律第十号)の規定がある。

三のBについて

 動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)は、動力炉・核燃料開発事業団法(昭和四十二年法律第七十三号)により国とは別の法人格を与えられた独立の権利義務の主体であり、動燃の事業が日本国政府の政策に沿って推進されていることをもって日本国政府が原子力損害に係る民事法上の賠償責任を負うことにはならない。

三のCについて

 原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第十六条第一項の規定によれば、政府は、原子力事業者の賠償責任額が、原子力損害賠償責任保険等による賠償措置額を超え、かつ、被害者の保護等同法の目的を達成するため必要があると認めるときは、原子力事業者に対し、原子力事業者が損害を賠償するために必要な援助を行うものとすることとされており、原子力事業者の賠償責任額が六十億円を超えた場合も賠償が行われることとなる。
 「所要の手続」とは、同法第十六条第二項の国会の議決等を指すものと解される。
 「上限六十億円」は、原子力損害の賠償に関する法律施行令(昭和三十七年政令第四十四号)第二条に基づくものである。

三のDについて

 米国政府は、千九百五十五年一月四日付けの日米両国政府間の交換公文に基づき二百万ドルを法律上の責任の問題と関係なく慰謝料として日本国政府に支払った。

三のEについて

 損害を受けたと主張する者が自ら御質問のような評価を行うことが基本であるが、原子力損害の賠償に関する法律第十八条により、原子力損害の賠償に関して紛争が生じた場合における和解の仲介を行わせるため、原子力損害賠償紛争審査会を置くことができることとされており、置かれた場合には、同審査会は原子力損害の調査及び評価を行うこととされている。

四の@について

 国外における核物質の盗取の事例については、承知していない。
 国内における核物質の盗取の事例としては、昭和四十八年八月二十五日、財団法人日本科学技術振興財団の科学技術館原子力部門展示室において、常設展示中の天然ウランインゴット一・九キログラムが盗取された事例が報告されている。

四のAについて

 政府としては、従来から核物質防護上必要最小限の情報について、これを慎重に取り扱うとの方針を採ってきており、必要以上に情報を管理しているものではない。

四のB及びCについて

 プルトニウム輸送に係る輸送船及び護衛船に接近してくる船舶がどのような目的を有しているのかについては、当該船舶の動静、護衛船からの問いかけに対する応答等を総合的に勘案して判断することとしている。また、このような判断を行った上で、護衛船は、接近してくる船舶の行動等現場の状況に応じて、プルトニウム海上輸送の安全確保のために任務上必要な措置を採ることとしている。なお、そのような措置の内容は、接近してくる船舶の所属する団体の性格とは直接には関係がない。

四のDについて

 原子力基本法(昭和三十年法律第百八十六号)第二条においては、我が国における原子力の研究、開発及び利用の基本方針として原子力の研究、開発及び利用の成果の公開を定めており、政府としてはこの方針にのっとり情報の公開を行っている。

四のEについて

 本件プルトニウム輸送の必要性、安全性等について、一般国民からの問い合わせへの回答、パンフレット等の配布、報道機関への説明と情報提供及び報道機関からの取材への対応等により、本件プルトニウム輸送について国民の理解を得るべく努めた。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.