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平成八年二月十三日受領
答弁第二号

  内閣衆質一三六第二号
    平成八年二月十三日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員小森(注)邦君提出米軍基地にかかわる「公共の福祉」「外国の脅威」「自衛権の行使」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員小森(注)邦君提出米軍基地にかかわる「公共の福祉」「外国の脅威」「自衛権の行使」に関する質問に対する答弁書



一及び三について

 今日の国際社会においては、冷戦当時の東西間の軍事的対峙の構造は消滅したものの、宗教上の対立や民族問題等に根ざす対立が顕在化するなど依然として不透明・不確実な要素をはらんでいる。アジア太平洋地域においても、極東ロシアの軍事力の量的削減等の変化は見られるものの、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、多数の国が軍事力の近代化等を行っており、また、朝鮮半島における緊張が継続するなど、依然として不透明・不確実な要素が残されている。
 このような不透明・不確実な要素が残されている国際社会においては、我が国が単独でその安全を確保することは困難であり、米国との安全保障体制を堅持することによってその安全を確保することが最も賢明な道であると考える。また、日米安全保障条約に基づき、我が国に駐留する米軍は、極東における国際の平和及び安全の維持にも寄与するものである。
 したがって、政府としては、今後とも日米安全保障条約に基づき、米軍に対し同条約の目的達成に必要な施設・区域の使用を認めていく考えである。他方、沖縄における米軍の施設・区域の整理、統合、縮小をはじめとする諸問題について誠実に対処することが極めて重要であるとの政府の考え方については、先の答弁書(平成八年一月十二日内閣衆質一三四第二三号)の「一について」において答弁したとおりである。

二について

 憲法第二十九条第三項にいう「公共のため」とは、一般に、私的利益を超えた一般社会の公益の実現のためという意味のものと解されているが、米軍は、日米安全保障条約に基づき、我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国に駐留しているものであり、このような目的を有する米軍の駐留は、我が国の生存と安全の維持という国益を確保する上で重要であり高度の公共性を有するものである。したがって、政府としては、先の答弁書(平成八年一月十二日内閣衆質一三四第二三号)の「二及び四について」において答弁したとおり、米軍の駐留の用に供するため土地を使用することは、憲法第二十九条第三項の「公共のために用ひる」ことに該当することは明らかであると考えている。

四について

 政府としては、米国がどのような脅威認識を有しているかについてお答えする立場にはないが、平成五年九月に米国防省により発表された米国防戦略の見直しに関する「ボトム・アップ・レヴュー」においては、冷戦時のソ連による大量の核、通常兵器による地球規模の脅威に代わるものとして、核兵器等大量破壊兵器拡散等による危険、地域的紛争の危険、民主主義及び改革に対する危険並びに経済の安全保障に対する危険の四つの新たな危険が指摘されていると承知している。

五について

 御質問にあった「憲法制定当時における吉田首相の答弁」がいずれのものを指すのか定かではないが、憲法制定当時において、当時の吉田総理は、昭和二十一年六月二十九日の衆議院本会議において、「近年ノ戦争ハ多クハ国家防衛権ノ名二於テ行ハレタコトハ顕著ナル事実デアリマス、故二正当防衛権ヲ認ムルコトガ偶ゝ戦争ヲ誘発スル所以デアルト思フノデアリマス、」と答弁している。また、この答弁に関し、同年七月四日の衆議院帝国憲法改正案委員会において、「私ノ言ハント欲シマシタ所ハ、自衛権二依ル交戦権ノ放棄ト云フコトヲ強調スルト云フヨリモ、自衛権ニ依ル戦争、又侵略ニ依ル交戦権、此ノ二ツニ分ケル区別其ノコトガ有害無益ナリト私ハ言ツタ積モリデ居リマス、」と答弁している。その後、昭和二十五年一月二十三日の第七回国会における施政方針演説においては、「戦争放棄の趣意に徹することは、決して自衛権を放棄するということを意味するものではない」と述べている。また、昭和二十六年十月十八日の衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会において、「私の当時言ったと記憶しているのでは、しばしば自衛権の名前でもって戦争が行われたということは申したと思いますが、自衛権を否認したというような非常識なことはないと思います。」として、憲法第九条第一項が、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨ではない旨答弁したものと承知している。
 当時の吉田総理の答弁等は以上のとおりであるが、憲法第九条第一項に関する政府の見解は、先の答弁書(平成八年一月十二日内閣衆質一三四第二三号)の「五について」において答弁したとおりである。



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