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答弁本文情報

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平成八年五月十日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一三六第一五号
    平成八年五月十日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 土井たか子 殿

衆議院議員山本拓君提出日米安保条約等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本拓君提出日米安保条約等に関する質問に対する答弁書



一について

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安全保障条約」という。)にいう「極東」の範囲は、昭和三十五年二月二十六日の政府統一見解に示されているとおりである。なお、昭和四十七年十一月二日の衆議院予算委員会における当時の田中内閣総理大臣の答弁において、「中華民国の支配下にある地域」は「台湾地域」と読み替えるべきものとしている。

二について

 昭和三十五年二月二十六日に「極東」の範囲に関する政府統一見解として当時の岸内閣総理大臣は以下のとおり述べている。「新条約の条約区域は「日本国の施政の下にある領域」と、明確に定められております。他方、新条約には「極東における国際の平和及び安全」ということもある次第であります。ところで、その「極東」でありますが、一般的な用語としては、別に地理学上正確に画定されたものではありません。しかし、日米両国が条約で言っております通り、共通の関心を持っているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということであります。この意味で、実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域ということになるわけであります。こういう区域としては、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれるということであります。新条約の基本的な考え方はこういうことでありますが、この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が、周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するためとる行動の範囲は、その攻撃または脅威の性質いかんにかかる次第でありまして、必ずしも前に述べました区域に局限されるわけではないのであります。しかしながら、米国の行動というものは、おのずから制約されているのであります。と申しますのは、米国の行動は、常に国際連合憲章の認める個別的または集団的自衛権の行使として、侵略に抵抗するためにのみとられるわけであるからであります。また、このような米国の行動が戦闘行為を伴いますときは、そのために日本の施設を使用することについては、当然に日本政府との事前協議が必要となってくるわけでありますが、この事前協議の点につきましては、アイゼンハワー大統領が、総理大臣に対し、米国は事前協議に際し表明された日本国政府の意思に反して行動する意図のないことを保証している次第であります。」。その後、「一について」において述べたとおり、「中華民国の支配下にある地域」は「台湾地域」と読み替えているところであるが、極東に関する政府の見解については現在も何ら変更はない。
 日米安全保障条約にいう「極東」に台湾地域が含まれることは、以上述べたように、政府統一見解及びその後の答弁で明らかにされているとおりである。

三及び四について

 御指摘の「極東有事」がいかなる事態であるかについて、確立した定義があるわけではない。なお、昭和五十三年十一月二十七日に、日米安全保障条約第四条を根拠として設置された日米安全保障協議委員会において了承された「日米防衛協力のための指針」の第三項では、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合の日米間の協力」について述べているところであるが、いかなる場合に「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合」に該当するかについては、具体的事象に即し諸般の状況を考慮して判断されるものであって、特定の場所における事態を仮定して、あらかじめ一般的、抽象的に述べることはできないものと考える。





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