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平成八年十二月二十日受領
答弁第二号

  内閣衆質一三九第二号
    平成八年十二月二十日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員枝野幸男君提出国政調査権の憲法解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員枝野幸男君提出国政調査権の憲法解釈に関する質問に対する答弁書



一及び二について

 内閣法制局が承知している憲法関係の文献中に記載された見解のうち、本件の判断材料となるべきものについて述べると、およそ次のとおりである。
(1) 国政調査権の行使の手段について、強制手段としては、憲法第六十二条が列挙する「証人の出頭及び証言並びに記録の提出」に限られると解するとみられる見解を記載した文献には、次のものがある。
 伊藤 正己 「憲法入門」(新版)、「憲法」第三版
 上田 正一 「憲法大系」
 榎原  猛 「憲法 体系と争点」
 清宮 四郎 「憲法I」(第三版)
 小林 直樹 「憲法講義 下」(新版)
 佐藤  功 「憲法」(下)(新版)
 佐藤 立夫 「新版 憲法原論」(第二版)
 高野 真澄 「現代日本の憲法問題」
 田辺 勝二 「憲法大要」
 長尾 一紘 「日本国憲法」(新版)
 野中 俊彦 「憲法の解釈」III統治(共著)
 橋本 公亘 「日本国憲法」(改訂版)
 長谷部恭男 「憲法(1)」統治機構(共著)
 原田 清司 「憲法」(共著)
 樋口 陽一 「注釈日本国憲法 下巻」(共著)
 宮澤 俊義 「全訂日本国憲法」芦部信喜補訂
(2) また、国政調査権の行使の手段として、住居への強制的な立入りなどは認められないと解するとみられる見解を記載した文献には、次のものがある。
 緒方 真澄 「憲法要義」(共著)
 奥  貴雄 「憲法論」
 清水  睦 「憲法」、「新版憲法演習3」統治機構II(改訂版)所収論文
 杉原 泰雄 「全訂憲法の論点」(共著)
 田口 精一 「基本法コンメンタール 新版憲法」及び「基本法コンメンタール 憲法」(第三版)所収論文
 藤馬龍太郎「新版憲法(4)」(統治機構)(共著)、「憲法の基本問題」所収論文
(3) 一方、「もちろん、現在は法律の規定がないので、法律の規定を待っての上でのことである」としながらも、「憲法第六二条は、厳格な制限列挙と解すべきではなかろうから、行政権が情報収集のために認められる程度の強制手段、例えば立入調査のようなものは、認められるのではないかと解される」とするもの(浅野一郎「議会の調査権」)、衆議院不当財産取引調査委員会より家宅捜索、書類押収の権限を立法化するとの意見が出されたことに関し、「國政調査權につき押収、捜索のような強力な調査方法を立法化することは政策的に適切でない。かりに立法化するとすれば、少くとも憲法第三五條の趣旨を極力尊重するように、嚴重な要件を附すべきであろう」とするもの(齋藤秀夫「國會と司法權の獨立」)、「権力分立に反するかどうかはさておき、証言と書類提出の要求以上に、現時点で立ち入り検査権まで付与するのが妥当かどうかは、疑問に思う」とするもの(芦部信喜「憲法叢説3憲政評論」)も見受けられる。
 以上のような学説の状況から、(3)のような見解はあるものの、国政調査権の行使の手段としては立入調査権は憲法上認めていないというのが学説の通説であると判断したものである。

三について

 個々の学説の理論的根拠については、必ずしもつまびらかにされていないが、学説の中には、補助的手段としての国政調査の趣旨に触れたものなどがある。



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