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答弁本文情報

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平成九年四月八日受領
答弁第一〇号

  内閣衆質一四〇第一〇号
    平成九年四月八日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員金田誠一君提出国立循環器病センターによる血管摘出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出国立循環器病センターによる血管摘出に関する質問に対する答弁書



一について

 平成五年当時における腎臓移植の一般的な実施手順は次のとおりであると承知している。
 1 腎臓提供者(以下「ドナー」という。)の主治医が腎臓提供の可能性があると判断した場合には、角膜及び腎臓の移植に関する法律(昭和五十四年法律第六十三号)第八条に基づき腎臓の提供のあっせんの許可を受けた者(以下「腎臓バンク」という。)にその旨を連絡する。
 2 医師又は連絡を受けた腎臓バンクのコーディネーターが、ドナーの遺族に対して腎臓移植の意義等を十分に説明した上で腎臓の提供についての承諾を得る。
 3 腎臓バンクにおいて当該腎臓バンクに登録している移植希望者の中から二名の者及び移植を行う医療機関を選定して連絡する。
 4 連絡された医療機関は、移植手術を担当する医師をドナーが入院している医療機関に派遣して、腎臓の摘出及び搬送を行い、移植を行う。
 また、組織(血管、心臓弁等臓器以外の人体の組織をいう。以下同じ。)の摘出の実施手順については、御指摘の血管摘出を行った国立循環器病センター(以下「センター」という。)の医師(以下「血管摘出医師」という。)に報告を求めたところ、平成五年当時における組織凍結保存ネットワークの活動として行う組織の摘出及び凍結保存の一般的な実施手順は次のとおりであるとの回答があったところである。なお、組織凍結保存ネットワークは、近畿圏内の医療施設の関係者を構成員とし、組織摘出及び組織保存並びに組織移植に関する啓発活動を行う任意の団体である。
 1 組織の提供者の主治医が組織の提供の可能性があると判断した場合には、組織凍結保存ネットワークにその旨を連絡する。
 2 医師又は連絡を受けた組織凍結保存ネットワークのコーディネーターが、組織の提供者の遺族に対して組織移植の意義等を十分に説明した上で組織の提供についての承諾を得る。
 3 組織凍結保存ネットワークのコーディネーターがセンター、奈良県立医科大学第三外科学等の医師に連絡する。
 4 連絡を受けた医師が組織の提供者が入院している医療機関に行き、組織の摘出、搬送及び凍結保存を行う。
   厚生省において、当該移植に関与した腎臓バンクである財団法人大阪腎臓バンクに報告を求めたところ、関西医科大学救命救急センターから同バンクに提出された平成五年十一月二日付けの「死体腎の摘出報告書」には、腎摘出病院の欄に関西医科大学救命救急センターの二名の医師、担当コーディネーターの欄に同バンクの二名のコーディネーター並びに腎移植病院の欄に大阪府立病院泌尿器科の医師及び大阪医科大学附属病院泌尿器科の医師の氏名が記載されており、詳細な時刻、場所等は不明であるが、当該腎臓移植は前述の腎臓移植の手順に沿って実施されたと考えるとの回答があったところである。
   御指摘の血管の摘出については、血管摘出医師に報告を求めたところ、平成五年十月三十日夕刻に組織凍結保存ネットワークのコーディネーターからセンターの別の医師に対して「腎臓以外も摘出できる可能性があるので、関西医科大学の医師から組織摘出チームの派遣の要請があった」との連絡があり、同月三十一日深夜に連絡を受けたセンターの医師及びセンターの別の医師の二名が同ネットワークの組織摘出チームとして関西医科大学に行き十一月一日午前九時三十分まで待機し、さらに、同月二日午後七時三十分から前記二名及び血管摘出医師の計三名が同大学に行き再度待機し、前述の大阪府立病院の医師及び大阪医科大学の医師による腎臓移植のための腎臓摘出終了後の午後九時十五分から血管摘出を行ったとの回答があったところである。
   また、文部省において奈良県立医科大学に確認したところ、同大学第三外科学の医師から、詳細な時刻は不明であるが、組織凍結保存ネットワークのコーディネーターから同医師に対して「腎臓移植に伴い心臓弁の提供があるかもしれない」との連絡があり、同医師が関西医科大学に行き待機したが当該摘出には参加していない旨の報告があったとの回答があったところである。

二について

 厚生省において、血管摘出医師に報告を求めたところ、摘出した血管の部位及びその長さは、腎動脈分岐部下方腹部大動脈及び腎静脈分岐部下方下大静脈それぞれ約二センチメートルずつであり、これらの血管以外に当該摘出において摘出した組織や臓器はないとの回答があったところである。

三について

 医療又はその研究を目的として行う血管の摘出に関しては、これを行うことに根拠を与える特段の法令の規定はないが、従来から遺族の承諾が得られた場合に行われているところである。厚生省において、血管摘出医師に報告を求めたところ、御指摘の血管摘出については、当該摘出に当たって関西医科大学の医師から血管摘出医師に対して摘出は腎臓の周囲の血管にとどめる旨の指示があり、血管摘出医師は、その指示の範囲内において腎臓摘出に伴う血管摘出に関する遺族の承諾があるものと認識し、当該摘出を行ったものであるとの回答があったところである。

四について

 御指摘の腎臓の摘出及び移植に要した費用の内訳を特定することは困難であるが、腎臓移植については公的医療保険が適用されており、平成五年当時の診療報酬によれば、移植を行った医療機関に対して、同種腎移植術に要する費用として六十八万円、死体からの腎臓摘出に要する費用として三十八万円及び移植を受けた患者の入院、検査、投薬等に要した費用として算定された額が公的医療保険の保険者及び患者から支払われることとされていたところである。なお、ドナーが入院していた医療機関に対しては、移植を行った医療機関から腎臓摘出を行った際の設備使用料等の実費相当額が支払われていたものと承知している。
 また、御指摘の血管摘出に係る費用については、センターから支出されておらず、また、血管の保存に係る費用については、センターの運営費によって賄われている。

五について

 厚生省において、血管摘出医師に報告を求めたところ、三についてで述べたように、関西医科大学の医師の指示の範囲内において血管の摘出に関する遺族の承諾があるものと認識していたが、今般、遺族からセンターに対して、血管の摘出について承諾をしたことはなく、返却を求める旨の申入れがあったこと等を踏まえ、今後遺族と相談の上適切な方法により早急に返却をすることとしたいとの回答があったところである。

六について

 犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個別的に判断すべき事柄であるので、答弁を差し控えたい。





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