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答弁本文情報

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平成九年七月一日受領
答弁第二七号

  内閣衆質一四〇第二七号
    平成九年七月一日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員太田昭宏君提出地震の予知及び調査・観測・管理体制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員太田昭宏君提出地震の予知及び調査・観測・管理体制に関する質問に対する答弁書



一の1について

 地震に関する調査研究を推進するために総理府に設置された地震調査研究推進本部(以下「推進本部」という。)は、推進本部に設置されている地震調査委員会において、政府として一元的に、地震に関する観測、測量、調査又は研究を行う関係行政機関、大学等の調査結果等を収集し、整理し、及び分析し、並びにこれに基づき総合的な評価を行っている。また、推進本部は、地震調査委員会が行った評価に基づき広報を行っている。
 地震調査委員会は、毎月定例的に及び被害地震の発生などの機会をとらえて臨時に開催し、気象庁、国土地理院、国立試験研究機関等の関係行政機関、大学等が提供する調査結果等を分析し、これに基づき総合的な評価を行うなどの活動を行っている。評価結果については、推進本部は、地震調査委員会開催後、速やかに公表を行っている。
 なお、推進本部としては、平成九年六月十六日に推進本部政策委員会により決定された「地震に関する基盤的調査観測等の計画について」を踏まえ、調査観測結果の収集、処理、提供等の流通がより円滑に実施されるよう、引き続き、調査観測結果の流通体制について検討を進めていくこととしている。

一の2について

 地震に関する調査研究に関し、地震観測については、震度情報の提供、津波予報等の防災を目的とした気象庁による地震観測、地震予知等に関する研究を目的とした国立大学による微小地震観測、防災科学技術に関する基礎的な研究を目的とした防災科学技術研究所による微小地震観測及び防災科学技術に関する基礎的な調査を目的とした防災科学技術研究所による地震動の観測を中心に実施されている。
 地殻変動観測については、測量による地殻活動の観測を目的とした国土地理院による汎地球測位システム地殻変動観測を中心に実施されている。
 活断層調査については、地質の調査を目的とした地質調査所による活断層調査、水路の測量を目的とした海上保安庁による海域における活断層調査及び地方公共団体の防災対策の充実等を目的とした地方公共団体による活断層調査を中心に実施されている。
 そのほか、地球磁気の常時観測を目的とした気象庁による地磁気永年変化精密観測、磁気測量及び重力測量を目的とした国土地理院による地球磁気及び重力の観測、地震予知等に関する研究を目的とした国立大学による地下水、地球磁気及び重力の観測等が実施されている。
 推進本部は、これらの関係行政機関、大学等の調査結果等を収集し、整理し、及び分析し、並びにこれに基づく総合的な評価を行っている。

一の3について

 推進本部としては、東海地震を除き、現在の科学技術の水準では一般的に直前の地震予知は困難であるとの認識の下、地震調査委員会において、地震予知に関する調査研究の成果を含め、地震に関する調査結果等の収集、整理及び分析並びに総合的な評価を行っている。

二の1について

 駿河湾から四国沖までの区域では、これまでマグニチュード八程度の大規模な地震(以下「大地震」という。)が六百年余りにわたり百年から百五十年程度の間隔で繰り返し発生しているが、当該区域のうち駿河湾西岸の区域では、百四十年余りにわたり大地震が発生しておらず、また、現在においても地殻のひずみの蓄積が進行している状況にあることから、近い将来に東海地震が発生する可能性が高いと考えられている。このような状況に対処するため、気象庁は、昭和十九年に発生した東南海地震の例から見て東海地震の発生の数日から数時間前にかけて異常な地殻の変動等の現象が現れる可能性が高いことにかんがみ、気象庁等関係機関が大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号。以下「大震法」という。)第三条第一項の規定に基づき指定された東海地震に係る地震防災対策強化地域及びその周辺において実施している地象、地動等の観測及び研究並びに地震に関する土地及び水域の測量の成果を収集し、地殻の変動等の現象を二十四時間体制で監視しているところである。このような体制の下で、気象庁長官が異常な地殻の変動等の現象が現れた場合に東海地震が発生するおそれがあると認めることは可能である。

二の2について

 大震法においては、地震防災対策強化地域に係る大規模な地震が発生するおそれがあると認めた気象庁長官から気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)第十一条の二第一項の規定に基づく地震予知情報の報告を受け、内閣総理大臣が警戒宣言を発した場合には、指定行政機関の長、地方公共団体の長、指定公共機関、地震防災応急計画を作成した者等が法令又はあらかじめ作成した計画の定めるところにより、地震防災応急対策を実施すること等が定められている。二の1についてで述べたように、東海地震については発生するおそれがあると認めることが可能であり、大震法に定められた措置が講ぜられた上で地震が発生した場合には、被害を著しく軽減することができると考えられることから、大規模な地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、大震法においてこのような特別の措置を定めておくことが必要である。

二の3について

 現在の科学技術の水準においては、東海地震について、異常な地殻の変動等の現象が現れた場合に大規模な地震が発生するおそれがあると認めることは可能であるが、御指摘の中間の注意報的、灰色的な情報を提供するために必要となる地震発生の切迫性の程度まで把握することは不可能である。したがって、これまでのところ、御指摘の調査も行っていない。
 警戒宣言が発せられたときの社会的・経済的影響については、国、地方公共団体等において、避難の勧告、交通の規制を行った場合等の影響の検討がなされており、現行の地震防災基本計画の作成に際しても、中央防災会議において、学識経験のある者等から任命された専門委員からなる委員会を設置し、その社会的・経済的影響を含めた検討を行ったところである。

三について

 地電流や電波を利用した地震予知のための研究は、関係行政機関、国立大学等において実施されているところである。これらの研究は、地震に関する基礎的な知見の蓄積という観点から重要な課題であり、今後とも、これらの研究を含め、地震に関する調査研究を推進していくこととしている。





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