衆議院

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平成十年一月二十日受領
答弁第二四号

  内閣衆質一四一第二四号
    平成十年一月二十日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員秋葉忠利君外四名提出「国営諌早湾干拓事業」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員秋葉忠利君外四名提出「国営諌早湾干拓事業」に関する質問に対する答弁書



一の1について

 農林水産省九州農政局諫早湾干拓事務所(以下「諫早湾干拓事務所」という。)が平成六年八月二十日から二十三日までの間に実施した底生生物の調査結果は、長崎県諫早湾干拓協議会が平成九年五月に作成し配布したパンフレットにおいて引用され広く周知されたものであり、「遅れて公表した」という事実はない。
 なお、「国営諫早湾干拓事業」に関する質問に対する答弁書(平成九年七月二十二日内閣衆質一四〇第三三号)で九州大学理学部及び農林水産省西海区水産研究所の調査結果を取り上げたのは、当該調査結果が国営諫早湾干拓事業に係る環境影響評価書において引用されていること並びに有明海の底生生物及び魚類についての代表的な調査結果であることによるものである。

一の2について

 諫早湾干拓事務所が平成六年八月二十日から二十三日までの間に実施した調査は、財団法人国立公園協会に委託して、有明海周辺の八か所の主要な干潟に各十五か所ずつ設けた調査地点において、採泥器で底生生物を採集することにより行われたものである。
 また、当該調査の結果における生物の種類及び現存量は別表1のとおりである。

一の3について

 長崎南部地域総合開発計画は、諫早湾の湾口部に潮受堤防を設置し、国営諫早湾干拓事業の締切面積の約三倍に当たる約一万ヘクタールを締め切る構想であったことから、魚類等に与える影響は、国営諫早湾干拓事業よりも大きく予測されている。
 なお、国営諫早湾干拓事業に係る環境影響評価に当たっては、昭和六十年度から六十一年度にかけて、財団法人九州環境管理協会に対し、専門的見地からの検討を委託しており、同協会は、学識経験者からなる委員会を組織して、各分野からの検討を行ったところである。この委託調査の結果が、当該事業に係る環境影響評価書(案)となっている。

一の4について

 有明海の主要な干潟において、鳥類及び鳥類の餌となる底生生物の調査を実施するとともに、干潟間の鳥類の移動に関する調査を実施しており、これらの実地調査の結果等から、シギ、チドリ等が諫早湾の残存海域や他の有明海の在来干潟に移動すると見込んでいるものである。
 鳥類への影響については、今後とも、注意深く見守っていく必要があるが、平成九年九月の調査結果においては、諫早湾における鳥類の出現個体数が前年に比べ減少している一方で、筑後川区域、荒尾区域等では前年に比べ増加していることを確認している。

二の1について

 諫早湾湾口部に近い佐賀県沿岸の一部で、のりの生育不良及びアサリの漁獲量の減少がみられること等についての新聞報道があったことは承知している。
 今後とも、環境モニタリングの一環として諫早湾湾口部及び湾中央部の水質調査等を継続して実施していくこととしているところである。

二の2について

 調整池の水質は、現在、淡水化に向かう過渡的段階にあり、安定した状態にないことから、今後とも注意深く水質の監視を続ける必要があると考えている。

二の3について

 平成九年四月の潮受堤防の締切りにより造成された調整池の水質保全対策として平成九年度に支出した額は、十二月時点までで、局所的なアオコ発生等不測の事態への対応等としての曝気装置、水流発生装置及びアオコ回収装置の配備並びにヨシの試験植栽に約千四百万円、水質調査に約二千八百万円となっている。
 平成十年度以降の水質保全対策については、諫早湾干拓調整池等水質委員会の助言等を踏まえ、検討することとしている。

二の4について

 調整池の淡水化による近隣への塩害防止効果は、農作物への潮風害の軽減や農業用水路への海水の流入による農作物の生育障害の防止等である。
 干拓地の造成に先立ち調整池の淡水化を行うことは、干拓予定地の除塩を行うための効率的な対策であるとともに、近隣への潮風害の軽減のために必要であることから、それ以外の方法については検討していない。

三の1について

 長崎地方裁判所における平成九年十一月五日の干拓事業差止請求事件第六回口頭弁論での諫早湾干拓事務所長の陳述書は、「本事業では、標高七メートルの潮受堤防で諫早湾の一部を締め切ることにより、伊勢湾台風級の高潮が発生したとしてもその被害を防止することができます。また、潮受堤防の内側に千七百十ヘクタールの調整池を設け、排水門の操作により調整池の水位を標高マイナス一メートルで管理することにより、伊勢湾台風級の高潮と過去最大といわれる昭和三十二年の諫早大水害時に相当する洪水が同時に発生した場合にも高潮の影響を受けることなく、洪水を調整池に安全に流入させることができるようにし、諫早湾周辺低平地の洪水による被害を軽減するものです。加えて、周辺低平地の標高は低いところで標高マイナス〇・五メートル程度であるため、調整池の水位を標高マイナス一メートル(小潮平均干潮時潮位、長崎干拓事業時代から一貫してこの水位となっています)で管理することにより、周辺低平地からも潮汐の影響を受けることなく常時の排水を可能とします。」となっており、尋問での証言も陳述書の内容に沿って発言されたものである。
 陳述書及び証言は、個人としての見解を申し述べるものであるが、農林水産省としても、当該陳述書と同様に考えている。
 なお、当該陳述書中の「洪水による被害を軽減する」には、大雨を含む降雨時における排水の改良が図られることも含んでいると理解している。

三の2について

 国営諫早湾干拓事業の防災効果は、潮受堤防を設け調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理する結果、高潮や潮汐の直接的な影響を受けることなく河川の通水や背後地からの排水が可能となることによって発揮され、本明川以外の河川も含めた調整池周辺地域に及ぶものである。
 なお、本明川にあっては、河口から約五キロメートル上流に位置する公園堰付近まで潮汐の影響を受けていた。

三の3について

 調整池の水位は、調整池から外海への排水が潮の干満に左右される関係上、もともと標高マイナス一メートルより上昇する場合があることを想定しているものである。
 また、潮受堤防設置前の調整池周辺地域においては、潮汐の影響並びに排水樋門の前面におけるガタ土の堆積及びミオ筋(流路)の埋没によって背後地からの排水は制約を受けていたが、潮受堤防設置後は、潮汐の直接的な影響がなくなるとともにミオ筋の確保が容易となり、これまでの大雨においても、背後地で一部の湛水が生じたものの、その程度や湛水時間は大きく改善されたと地元から高い評価を得ているところである。
 なお、潮受堤防の排水門は、伊勢湾台風級の高潮と諌早大水害級の洪水が同時に発生した場合において所要の排水量を流下させるために必要な幅員等を有しており、「排水門が極めて狭隘な潮受堤防によって、かえって、湛水被害を惹起した地域が相当面積ある」との御指摘は当たらない。

三の4について

 平成九年五月十三日から十四日にかけての降雨においては、関係者からの聞取りを含む諌早湾干拓事務所職員の現地調査では、平成九年五月十四日正午前後における状況として、諌早市の松崎排水機場周辺地域等で約五十五ヘクタール、森山町の諫早湾周辺地域で約九十ヘクタール、吾妻町の釜の鼻排水機場周辺地域で約十ヘクタール、愛野町の有明川河口周辺地域で約五ヘクタールの湛水がみられ、このほか面積は不明であるが黒崎排水機場周辺地域等にも湛水がみられた。
 平成九年七月六日から十二日にかけての降雨においては、関係者からの聞取りを含む関係市町職員の現地調査では、平成九年七月十日午後三時前後における状況として、諫早市の白浜町、川内町、赤崎町等で約六百六十ヘクタール、森山町の井牟田下名、田尻名等で約四百十五ヘクタール、吾妻町の阿母名等で約百ヘクタール、愛野町の有明新田等で約三十五ヘクタールの湛水がみられたとの報告を長崎県を通じて受けている。
 なお、湛水面積は、測量ポール等により湛水深がおおむね二十センチメートルを超える範囲を調査し、その面積を集計したものである。

三の5について

 国営諫早湾干拓事業に係る潮受堤防は、本明川の高潮区間において結果的に高潮対策上の効果を発揮し、同川の高潮による災害の発生防止に寄与するものである。
 建設省は、「本明川水系工事実施基本計画」を策定した際に、農林水産省に対し協議を行っており、潮受堤防により同川の高潮区間において結果的に高潮対策上の効果が生じることを踏まえ、同計画中高潮対策に関しては、「なお、河口部の高潮対策については、諫早湾干拓事業との関連において調査検討するものとする。」とし、今後、同計画に係る河口部の高潮対策について調査検討を行うこととしている。このため、建設省は同川において高潮対策のための工事を実施していないことから、潮受堤防の設置は二重投資とはなっていない。

三の6について

 建設省による有明海の最新の海岸堤防は、直轄海岸保全施設整備事業として、有明海岸芦刈工区において、平成六年度から平成八年度にかけて、地盤改良及び旧堤防の嵩上げにより建設されたものであり、一メートル当たりの工事の費用は百八十六万八千円である。
 また、工事費の費用負担割合は、海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第二十六条第一項により、国がその三分の二を、海岸管理者の属する地方公共団体がその三分の一を負担することとされている。

三の7について

 標高マイナス一メートル以下となる面積は約八百ヘクタールである。
 中央排水機場のポンプの排水能力は、三十年に一回の確率に相当する三日連続雨量四百九十九ミリメートルの降雨に対応できるものとして計画しているが、一時間当たりの雨量は算出していない。

三の8について

 土木構造物の耐震設計に用いる設計水平震度と気象庁の定めた震度階級による震度(以下「震度」という。)とは直接対応するものではなく、潮受堤防がどの程度の震度に対して耐え得るかを具体的に示すことは困難であるが、潮受堤防は、過去の地震による震害の経験及び耐震設計に関する調査研究の成果をもとに作成された基準に基づき設計水平震度を適切に設定し、底幅約百二十メートル、高さ約十一メートルの傾斜の緩い安定した形状としており、耐震設計上問題ないと考えている。
 また、過去に地震により八郎潟干拓地の干拓堤防が被害を受けた事例は承知しているが、干拓堤防が決壊したというような事実はなく、干拓地がことさら地震に弱いという事実も承知していない。

三の9について

 昭和四十九年三月に作成された長崎南部地域土地改良事業計画書(案)は、農林水産省九州農政局が試案として取りまとめたものであるが、この案では、干拓地及び諫早湾周辺地域の農業用水と長崎市や諫早市を中心とした長崎南部地域の都市用水の確保のため、調整池の管理水位を標高マイナス〇・八メートルとし、より多くの利水容量を確保しようとしたものであり、国営諫早湾干拓事業の事業計画とは管理水位が異なっているものである。
 国営諫早湾干拓事業においては、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理することにより、既に防災効果が発揮され、地元からも高い評価を得ているところであり、このような状況の下、調整池の管理水位を引き上げることは考えていない。

四の1について

 戦後の干拓事業の場所、完成時期、面積は別表2のとおりである。
 なお、現在の土地利用状況については把握していない。

四の2について

 昭和六十一年から平成七年までの十年間に農地から農地以外に転用された面積は、全国で約三十一万二千二百ヘクタール、長崎県で約四千百六十ヘクタール、関係市町である諫早市、森山町、高来町、吾妻町及び愛野町で約四百十ヘクタールである。

四の3について

 国土が狭小で、一人当たり可住地面積が小さいといった土地条件の下で高密度な社会経済活動が営まれている我が国においては、農地の確保という要請と公共用地や住宅地などの非農業的土地利用の要請との調整を図り、計画的な土地利用を図る必要があり、社会経済上必要な農地の転用を認めているところである。
 一方、耕作放棄は、高齢化などが進展する中で、中山間地の傾斜地など機械の利用が困難な農地等において発生しているものであり、これらは、自然的、社会的条件からみて、農業上の効率的な利用が見込めない土地に多く存在している。
 このような中で、我が国の農地は、昭和三十六年の約六百九万ヘクタールをピークに年々減少し、平成八年には約五百万ヘクタールとなり、現在も毎年四万ヘクタールから五万ヘクタールの農地が減少しており、我が国の食料の安定的供給及び地域農業の振興を図るためには、生産性の高い農業経営を実現し得る優良な農地を確保することが必要である。
 国営諫早湾干拓事業は、地形的に平坦な農地に乏しい長崎県において、長崎県や関係市町等地元の強い要望に沿って、かんがい用水が確保された大規模で平坦な優良農地を造成し、意欲ある農家による生産性の高い野菜、畜産等の農業を実現することを目的に実施しているものであり、土地改良法施行令(昭和二十四年政令第二百九十五号)第二条第一号の要件を充足したものである。

四の4について

 国営諫早湾干拓事業の事業計画における営農計画について、平成七年度の単価等に基づく試算による各営農類型ごとの一戸当たりの経営収支は別表3のとおりであり、長崎県の長崎県新農政プランにおいて目標とする所得が確保できる内容となっている。

五の1について

 災害防止効果は、伊勢湾台風級の高潮と諫早大水害級の洪水が同時に発生した場合における事業実施前と事業実施後の想定被害額の差を算定し、年当たりに換算したものであり、その想定被害内容及び効果額は別表4のとおりである。

五の2について

 潮受堤防の工事費は、事業計画策定時において約四百四十億円であったが、その後、資材費や人件費等の物価上昇による増額約百七十三億円、潮止め工において濁りの発生を抑制するためにゲートを用いた瞬時締切方式に変更したことによる増額約百六十一億円、当初南側一か所であった排水門を北側及び南側の二か所に変更したことによる増額約百二十五億円、潮受堤防の基礎掘削の追加による増額約七十六億円があったこと等により、約千百九十億円に増加したものである。

五の3について

 国営土地改良事業特別会計における「諫早湾(開畑工事等)」の事業計画策定時における事業費の内訳は、内部堤防が約三百億円、地区内整備が約百七十億円、補償費等が約二百三十億円、合計で約七百億円と見込んでいた。
 「諫早湾(開畑工事等)」の現在の事業費は、約八百三十億円と見込んでいる。

五の4について

 現在、総事業費については、二千三百七十億円と見込んでいる。平成九年度以降の事業費については、約八百億円を要するものと見込んでいるが、物価変動等の不確定要素もあり、枠をはめることは困難である。

五の5について

 「土地改良事業における経済効果の測定方法について」(昭和六十年七月一日付け農林水産省構造改善局長通達)(以下「構造改善局長通達」という。)に基づく国営諫早湾干拓事業の事業計画策定時における投資効率の計算式及び結果は別記のとおりであり、本事業は土地改良法施行令第二条第三号の要件を充足するものである。
 また、事業実施途中における現時点での投資効率の算定は行っていない。
 なお、農林水産省としては、事業採択後一定期間を経過した国営事業地区を対象に、事業の進ちょく状況、関係機関の意向、営農、事業効果を取り巻く情勢の変化等について再評価を行い、その結果を事業の実施に反映させる「再評価システム」を平成十年度から導入することとしている。

五の6について

 構造改善局長通達において、外部不経済の算定については、「事業により漁業等の経済活動が阻害される場合は減少効果として算定する」こととしている。この場合、「減少効果に対応する補償費が総事業費に計上されている場合には算定しない」こととしており、国営諫早湾干拓事業の場合は、漁業補償費として総事業費に計上している。
 また、干潟を喪失させることによって失われる干潟の浄化作用、鳥類や底生生物などの環境資源、干潟の持つ観光資源などの外部不経済については、食料の安定的供給、淡水系の生態系が生まれることによる新たな環境資源の創出等の効果と同様に、現時点では貨幣評価する手法が確立されていないことから、土地改良事業では測定方法を定めていない。
 なお、国営諫早湾干拓事業は、環境影響評価を実施した上で、適切に実施しているものである。

六の1の@について

 国営諫早湾干拓事業の事業計画において、潮受堤防内部の面積が三千五百五十ヘクタールであり、諫早湾全体の約三分の一に相当することを根拠として、諫早湾の相当部分が現状のまま残ることを報告したところである。

六の1のAについて

 農林水産省の統計で、平成六年の六トンから、平成七年には十三トン、平成八年には十九トンと増加していることを根拠として、佐賀県におけるムツゴロウの漁獲量は近年増加していることを報告したところである。

六の1のBについて

 農林水産省九州農政局北部九州土地改良調査管理事務所の調査結果を根拠として、佐賀県沿岸では一年当たり約四十ヘクタールの干潟の成長がみられることを報告したところである。

六の2について

 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(昭和五十五年条約第二十八号)は、具体的にどのような湿地を登録簿に掲げ、又は自然保護区として設定するかの判断を各締約国に委ねており、諫早湾は、同条約の登録簿に掲げられた湿地ではなく、また、同条約に基づき我が国が自然保護区として設定した湿地でもないこと、また、国営諫早湾干拓事業は、着工に先立ち環境影響評価を実施し、事業の実施に当たっては環境に配慮した工法を採用するなど、適正な利用の観点にも配慮したものとなっていることから、我が国が本事業を推進することは、同条約に反するものではない。
 「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(平成四年条約第七号)に関しては、諫早湾は、同条約に基づく世界遺産一覧表には掲載されていないこと、また、同条約上、具体的に、自国の領域内のどのような地域を学術的観点等から顕著な普遍的価値を有するものとするか、及びそのような地域の保護等のためにどのような措置をとるかについての判断は、各締約国に委ねられていることから、国営諫早湾干拓事業を推進することは、同条約に反するものではない。
 なお、本事業に係る環境影響評価は、長崎県環境影響評価事務指導要綱(昭和五十五年七月一日付け)に基づき、適切に実施したものである。

七の1について

 国営諫早湾干拓事業は、潮受堤防、干拓地及び調整池を一体的に整備することにより、かんがい用水が確保された優良農地の造成を行うとともに、高潮、洪水、排水不良等に対する防災機能の強化を図るものである。
 また、既に平成九年四月に潮受堤防を締め切り、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理して防災機能を発揮させており、同年の大雨においても、背後地で一部の湛水が生じたものの、その程度や湛水時間は大きく改善されたと地元から高い評価を得ていること、このような中で、潮受堤防の一部の機能を代替させるために、新たに多くの費用と期間を要する長大な海岸堤防や多くの排水ポンプ場を建設することは現実的な対応とはいえないこと、本事業の営農計画は、長崎県の目標とする農業所得額を十分確保できるものであり、増反、入植を希望する農家が相当数あることが調査によって明らかになっていること等から、本事業を中止する状況にはない。
 なお、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五号)において国営土地改良事業を中止する場合の規定はないが、中止した例もある。

七の2について

 調整池の水を造成農地のかんがい用水及び雑用水の水源とし、また、造成農地の除塩を促進するとともに農作物への潮風害等を防止するためには、調整池を淡水化することが必要であること、並びに防災機能を適切に発揮させるためには、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理することが必要であることから、一時的にせよ海水を調整池へ流入させることは想定していない。
 なお、現在の気象予測技術では、九州北部等の広い地域に大雨が降る可能性について、二十四時間程度前から予測することは可能であるが、どれくらいの量であるかを精度良く予測することは困難で、また、雷雨等による局地的な大雨を予測することは数時間前でも困難な場合があることから、天候の変化を事前に予知しながら排水門の操作を適切に行うことは困難である。

七の3について

 調整池の水を造成農地のかんがい用水及び雑用水の水源とし、また、造成農地の除塩を促進するとともに農作物への潮風害等を防止するためには、調整池を淡水化することが必要であること、並びに防災機能を適切に発揮させるためには、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理することが必要であることから、一時的にせよ海水を調整池へ流入させることは想定していないため、そのための方法を検討することは考えていない。
 なお、ガタ土は主に潮流により諫早湾外から運ばれてきた浮泥が湾奥まで運ばれ、流速が遅くなった時に沈降して堆積するものであり、排水門を開けて海水を流入させた場合、湾奥部でのガタ土の堆積等は避けられないと考えている。

七の4について

 国営諫早湾干拓事業は、潮受堤防、干拓地及び調整池を一体的に整備することにより、かんがい用水が確保された優良農地の造成を行うとともに、高潮、洪水、排水不良等に対する防災機能の強化を図るものであり、長崎県や関係市町等地元の強い要望に沿って実施しているものである。
 また、本事業地区の周辺の河川は水源として不安定である上、既耕地のかんがい用水等として利用されており、干拓地における新たな水需要をこれら河川に依存することはできない。
 さらに、調整池の水を造成農地のかんがい用水及び雑用水の水源とし、また、造成農地の除塩を促進するとともに農作物への潮風害等を防止するためには、調整池を淡水化することが必要であること、並びに防災機能を適切に発揮させるためには、調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理することが必要であることから、潮受堤防を全面開放することは想定していない。
 以上のこと等から、農林水産省としては引き続き本事業を計画どおり着実に推進すべきであると考えている。
 なお、国営土地改良事業について、土地改良法第八十七条の三の規定に基づき、関係都道府県知事や関係市町村長との協議を経て計画の変更を行うことは制度上は可能であるが、御質問のような事業内容の変更に対して、長崎県知事や関係市町長の同意を得ることは困難であると考えている。



別表1

別表1


別表2

別表2


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別表2


別表2


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別表2


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別表2


別表2


別表3
別表3
備考 酪農経営の設備投資額は、新規入植の場合の費用である。



別表4
別表4


別記

〔(作物生産効果+国土造成効果+災害防止効果+維持管理費節減効果+走行軽費節減効果)÷{還元率×(1+建設利息率)}−廃用損失額〕÷総事業費=〔(2,640百万円+1,478百万円+4,040百万円−145百万円+499百万円)÷{0.05773×(1+0.065)}−0円〕÷135,000百万円=1.03



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