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平成十年四月十四日受領
答弁第一五号

  内閣衆質一四二第一五号
    平成十年四月十四日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員青山丘君提出所得税ならびに法人税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員青山丘君提出所得税ならびに法人税に関する質問に対する答弁書



一について

 所得税における各種所得控除については、基礎的な人的控除のほか、特別な事情に基づく追加的費用の斟酌を通じて担税力に応じた負担を求めるため、あるいは基礎的な控除で対処し得ない担税力減殺要因を斟酌する等の見地から設けられているものであり、基本的に維持すべきものと考える。
 基礎控除、配偶者控除、扶養控除等の基礎的な人的控除は、課税最低限を構成する要素となっている。我が国の課税最低限は国際的に見ても高い水準となっており、また、個人所得課税は広く国民に負担を求めることが適当であること等を勘案すれば、これらの基礎的な人的控除を引き上げることは、税負担の在り方として慎重に検討を要する問題であると考える。
 配偶者特別控除は、片稼ぎの給与所得者世帯においては仕事に直接従事する者の所得の稼得に他方の配偶者も相応の貢献をしていることや、事業所得者においては青色事業専従者給与の支払による配偶者への所得分与を通じて負担緩和を図り得ること等を考慮し、主としてサラリーマン世帯の税負担の調整を図るとともに、パートで働く配偶者の所得が一定額を超える場合に、かえって世帯全体の税引後手取り所得が減少するという逆転現象にも対処する趣旨から設けられているものである。このような趣旨からすれば、配偶者特別控除を廃止することは適当でないと考えている。しかしながら、今後、所得税の人的控除の基本的な在り方を検討する際には、女性の就業等の社会情勢の変化も踏まえながら、配偶者特別控除の在り方についても検討していくべきものと考える。

二の1について

 法人税の基本税率(法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第六十六条第一項及び第百四十三条第一項に規定する税率をいう。以下同じ。)については、今回の法人税制改革において、三十七・五パーセントから三十四・五パーセントに引き下げられたところであり、アメリカ合衆国の連邦法人税率の三十五パーセントを下回る水準となっている。また、法人税の表面税率(調整後)(課税所得の計算において事業税が損金の額に算入されることにつき調整を行って算出した法人税の基本税率をいう。)は三十一・〇八パーセントとなり、アメリカ合衆国、連合王国、ドイツ及びフランスの法人税について同様の調整を行った場合の税率と比較すると、これらの国の中で当該税率が最も低い連合王国の三十一パーセントとほぼ同程度の水準となっている。
 さらに、国税と地方税を合わせた法人課税の表面税率(調整後)(課税所得の計算において事業税が損金の額に算入されることにつき調整を行って算出した法人税、道府県民税、市町村民税及び事業税の税率を合わせたものをいう。以下同じ。)は、今回の法人税制改革により、四十九・九八パーセントから四十六・三六パーセントに引き下げられたところであるが、この法人課税の表面税率(調整後)の在り方については、税制調査会の平成十年度の税制改正に関する答申(平成九年十二月十六日)において、「今後は、事業税における外形標準課税の検討が法人課税の表面税率(調整後)の議論にもつながることを念頭に置きながら、法人課税の表面税率(調整後)のあり方について検討を進めることが適当」とされているところである。

二の2について

 中小法人(法人税法第六十六条第二項又は第百四十三条第二項の規定の適用を受ける法人をいう。以下同じ。)の各事業年度の所得の金額のうち年八百万円以下の金額については、二十五パーセントの税率(以下「軽減税率」という。)が適用されている。
 中小法人に対する軽減税率については、累次の税制調査会の答申において、政策的観点から設けられているものであること、創設当初に比べ基本税率との格差が大きくなっていること等を踏まえ、基本税率との格差を縮小するという基本的方向に沿って検討していく必要がある旨指摘されているところであり、このような検討の方向を踏まえると、中小法人に対する軽減税率の適用所得限度を引き上げることは適当でないと考える。
 なお、今回の法人税制改革においては、このような税制調査会の答申で示された検討の方向も踏まえつつ、法人税の課税ベースの適正化による影響を考慮して、中小法人に対する軽減税率が二十八パーセントから二十五パーセントに引き下げられたところである。

二の3について

 同族会社(法人税法第六十七条第一項に規定する同族会社をいう。)に対する留保金課税制度については、税制調査会の法人課税小委員会報告(平成八年十一月二十六日)において、「同族会社の過大な所得の留保部分に対して一定の課税を行うことにより、間接的に配当支出の誘因としての機能を果たしつつ、法人形態による税負担と個人形態によるそれとの負担差を調整しようとするものである。現行の法人税と個人所得税の基本的仕組みを前提とする以上、当然に必要とされる制度であると考える」と指摘されており、これを廃止することは適当でないと考える。





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