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平成十年六月三十日受領
答弁第四〇号

  内閣衆質一四二第四〇号
    平成十年六月三十日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出組織犯罪対策法案と死刑に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出組織犯罪対策法案と死刑に関する再質問に対する答弁書



一の(1)について

 各種の国際会議において組織的な犯罪に対する対策と死刑存置の問題は別個に議論されているものであり、我が国が参加した組織的な犯罪対策に関する国際連合等の国際会議において組織的な犯罪に関し死刑を刑罰に規定することの当否が議論されたことはなく、また、我が国が参加していない他の地域における国際会議においてそのような議論が行われたという事実は承知していない。

一の(2)について

 国際連合に加盟する国は合計百八十五か国であるところ、そのすべての国について組織的な犯罪対策のための法律を制定しているか否かなどを調査することは困難であり、また、必要なこととは考えていない。
 組織的な犯罪に対処するための法整備に関する三法案を国会に提出するに当たっては、国際連合における会議を含む主要な国際会議の内容や主要国における法整備の現状等を調査して国際的な動向を把握しているものであって、何ら問題はないと考えている。

一の(3)について

 アメリカ合衆国、ドイツ連邦共和国及びフランス共和国において一定の組織的な犯罪の加重処罰、マネー・ローンダリング行為の処罰及び通信傍受を内容とする刑事法を整備した経緯については、次の事実を承知している。
 アメリカ合衆国の連邦法においては、千九百七十年(昭和四十五年)、一定の組織的な形態で行われる薬物犯罪についての加重規定が設けられ、千九百九十四年(平成六年)、犯罪組織と一定の関連をもって行われる殺人についてその刑罰に死刑を最高刑として定め、死刑が定められていない連邦法の第二級殺人や州法の殺人よりも加重する規定が設けられた。また、同国においては、千九百六十八年(昭和四十三年)、犯罪捜査のための通信傍受制度に関する法律が整備され、千九百八十六年(昭和六十一年)、法律で定める多数の犯罪を前提犯罪として、マネー・ローンダリング行為を処罰する規定が設けられた。
 ドイツ連邦共和国においては、千九百九十二年(平成四年)の法改正により、一定の組織的な盗品譲受け等の加重処罰規定及びマネー・ローンダリング行為の処罰規定が設けられ、また千九百六十八年(昭和四十三年)に導入された通信傍受の対象犯罪の拡大等が行われ、千九百九十四年(平成六年)の法改正により、一定の組織的な恐喝の加重処罰規定が設けられ、マネー・ローンダリング行為の前提犯罪の拡大、通信傍受の対象犯罪の拡大等が行われた。
 フランス共和国においては、一定の組織的な窃盗、放火等の加重処罰規定が設けられていたが、千九百九十二年(平成四年)に制定された新しい刑法典においては、これらのほか、麻薬の違法製造、強盗、詐欺等の罪についても、一定の組織的な類型の加重処罰規定が設けられた。また、同国においては、千九百九十一年(平成三年)、犯罪捜査のための通信傍受制度に関する法律が整備され、千九百九十六年(平成八年)、すべての重罪及び軽罪を前提犯罪として、マネー・ローンダリング行為を処罰する規定が設けられた。
 これらの法整備については、いずれも、組織的な犯罪等に適切に対処するために必要な措置として行われたものと承知している。
 ドイツ連邦共和国及びフランス共和国においては、死刑制度が廃止されているので、殺人罪につき、死刑は刑罰として定められていない。組織犯罪対策法案と死刑に関する質問に対する答弁書(平成十年五月二十九日内閣衆質一四二第二八号。以下「前回答弁書」という。)一の(2)及び(3)についてでは、殺人罪の加重類型につき死刑を法定刑として定めている国の例として、アメリカ合衆国の連邦法についてお答えしたものである。

一の(4)について

 死刑の必要性、情報公開などに関する再質問に対する答弁書(平成十年三月二十四日内閣衆質一四二第一〇号。以下「平成十年三月答弁書」という。)一の(6)についてでお答えしたとおり、死刑の選択は、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等各般の情状を併せ考察したとき、その罪責が誠に重大であって、極刑を科することもやむを得ないと認められる場合に行われるものであるところ、これは、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案(以下「組織的犯罪処罰法案」という。)第三条の殺人の罪の場合も同様であると考えている。

一の(5)について

 国際連合における会議や主要国首脳会議等における議論、主要国における法整備の状況等から、組織的な犯罪に対する厳格な対応を求めることが国際的な動向であり、国際的な要請であると考えている。
 死刑制度を廃止した国を含め、国際連合に加盟する合計百八十五か国において、組織的な犯罪に関し、刑の重罰化がどのように図られているかについては、そのすべてを把握しているわけではない。
 前回答弁書一の(5)についてでお答えしたとおり、それぞれの国の刑罰体系の中で組織的な犯罪について重い刑を定めることは、国際的な要請にかなった対応であると考えており、一定の組織的な殺人の罪の法定刑の上限を維持し、下限を引き上げることも、組織的な犯罪に対して厳格な対応を求める国際的な要請にかなったものであると考えている。
 なお、組織的犯罪処罰法案第三条において、一定の組織的な殺人の罪の法定刑の上限を刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十九条に規定する一般の殺人の罪の刑の上限と同一としたことについては、我が国の刑罰体系上当然のことであって、諸外国に対して特段説明を要するようなものではなく、また、諸外国から説明を求められたこともない。

二の(1)について

 国際連合の場では、千九百九十四年(平成六年)十一月二十五日の第四十九回国連総会第三委員会及び千九百九十七年(平成九年)四月三日の第五十三回国連人権委員会において、御指摘の趣旨の発言を行っているが、特に我が国の発言に対し、各国から反応があったという事実はない。
 第五十三回国連人権委員会における死刑問題決議は、イタリア共和国が本問題に関する国際連合での議論を継続させることを意図として提出したものと承知しており、千九百九十七年(平成九年)四月三日に、賛成多数により採択されたものである。
 第五十四回国連人権委員会における死刑問題決議の採択の経緯は、前回答弁書二の(1)及び(2)についてでお答えしたとおりであり、右採択に際し、我が国は、発言を行わなかった。

二の(2)について

 各国における国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等は、それぞれの国ごとに異なるものであり、また、死刑の必要性、情報公開などに関する質問に対する答弁書(平成十年二月十三日内閣衆質一四二第一号。以下「平成十年二月答弁書」という。)一の2についてでお答えしたとおり、死刑制度を廃止した国においても、その廃止に至る背景には様々なものがあると考えられるので、死刑制度を廃止した国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等と我が国のそれらとを単純に比較してその異同を明らかにすることは困難であると考えている。
 したがって、死刑制度の存廃の問題は、基本的に各国において当該国の国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて慎重に検討されるべきものであり、国際機関の場で死刑制度の是非を決するになじまないと考えているところである。

二の(3)について

 千九百九十八年(平成十年)四月三日付け国連記者発表によると、ロビンソン国連人権高等弁務官は、いつの日か死刑が全会一致により廃止されることを希望する旨発言したものと承知している。
 同弁務官の選出については、国連事務総長により指名され、国連総会により承認されたものであるところ、我が国は、同総会における承認に賛成した。

二の(4)について

 第五十四回国連人権委員会においては、イタリア共和国が宗教を理由として死刑を正当化することはできない旨述べるなど、七か国が死刑制度の廃止を目指す立場から意見を表明し、他方、シンガポール共和国が死刑の問題は最も重大な犯罪の被害者の身体の安全の問題との均衡を図るべきである旨述べるなど、九か国が死刑制度を存置する立場から意見を表明したものと承知している。
 反対票を投じた国のうち、他国と現実に武力紛争を行っている国があるとは承知していない。また、コンゴー民主共和国、ルワンダ共和国及びスーダン共和国について、我が国は、同委員会におけるそれぞれの国の人権状況の改善を求める内容の決議に賛成した。
 なお、お尋ねの「国際社会の潮流」とは具体的にいかなるものを指すのか判断しかねるので、「国際社会の潮流を理解しない国」については答弁を差し控えたい。

二の(5)について

 前回答弁書二の(5)についてでお答えしたとおり、死刑制度の存続が我が国の外交活動一般に影響を与えることはないと考えている。
 個別の逃亡犯罪人引渡し請求の事例に関しては、平成十年二月答弁書五の3についてでお答えしたとおりである。また、国際捜査共助に関しては、我が国における死刑制度の存続が影響を与えた例はない。

二の(6)について

 国会議員の間で死刑制度の存廃に関する意見が分かれていることは承知している。
 他方、総理府世論調査は、調査テーマについて広く国民全体の意識を把握することを目的として、統計的理論に基づき国民一般から無作為に抽出した者を対象に実施しているものであるところ、平成十年三月答弁書一の(1)について及び一の(2)についてでお答えしたとおり、昭和三十一年四月から平成元年六月までの間に五回にわたり行われた総理府世論調査の結果では、いずれも、「今の日本で、どんな場合でも死刑を廃止しようという意見に賛成か、反対か」という質問に対して反対意見が多数を占めた上、平成六年九月実施の総理府世論調査の結果でも、死刑制度の存廃について、「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えた者の割合が七十三・八パーセントであったことから、これまで「国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており」とお答えしているところである。

二の(7)について

 死刑の存廃や死刑に関する情報公開の具体的程度のような基本的には各国の決定、処理にゆだねられていると考えられる事項について、我が国が自らの判断でその在り方を決定することは、憲法前文中の御指摘の部分の趣旨とは関係がなく、これに反するものではないと考えている。

三の(1)について

 御指摘の責任者等に対し、死刑が執行されたとの情報は有していない。

三の(2)について

 我が国としては、ルワンダ共和国(以下「ルワンダ」という。)政府が、平和で安定した国家の再建に努力し、国際社会としてもかかる努力を支援していくことが重要と考えている旨を、関連の国際会議等の機会に表明し、また、ルワンダに対しても伝えている。
 死刑の執行に関する他国のコメントについては、その発出状況の詳細及び発出にかかわる判断の理由について承知していないため、我が国と同様の理由から大量死刑に対するコメントを差し控えた国があるかどうか、また、他国のコメントの発出状況と人権意識との関係については承知していない。
 なお、死刑の執行後に発出されたコメントとしては、フランス共和国の外務報道官が、「ルワンダの閣議が、ルワンダの司法当局により宣告された死刑の執行を許可する決定を行ったと承知している。フランスは死刑を廃止しており、それゆえこうした決定に同意することはできない。」旨述べたほか、イギリスが欧州共同体(EU)議長国として、「EUは、ルワンダにおける民族大量虐殺犯二十二名の本日の公開処刑に極めて失望した。」との議長声明を発出したと承知している。

三の(3)について

 我が国は従来から国連人権高等弁務官が各国政府との対話等を活発に行っていることを評価している。国連人権高等弁務官が千九百九十七年(平成九年)十二月にルワンダを訪問し、また、先般、ルワンダ政府に対し、公開処刑を行う旨の決定を再考するよう促す趣旨の声明を発出したことについても、このような同弁務官の積極的な姿勢を示すものとして評価している。

四の(1)について

 組織的な犯罪に対処するための問題は、国際連合における会議や主要国首脳会議等において、重要な課題の一つとして継続的に取り上げられていると承知している。
 例えば、千九百九十四年(平成六年)、中華人民共和国など主要国首脳会議非参加国を含む百四十二か国が参加した国際組織犯罪に関する世界閣僚級会議においては、国際組織犯罪と闘うことの宣言とそれに係る世界行動計画を提唱する「国際組織犯罪に関するナポリ政治宣言及び世界行動計画」がコンセンサスにより採択され、これは、同年の国連総会で、同様、コンセンサスにより承認されている。また、マネー・ローンダリング対策は、組織的な犯罪に対処するために必要かつ有効な施策として重要な意義を有するものであるところ、二十六の国及び地域並びに二つの国際的な機関が参加するマネー・ローンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)は、千九百九十六年(平成八年)、コンセンサス採択により、マネー・ローンダリング罪の前提犯罪を薬物犯罪から重大な犯罪に拡大すること等を内容とする勧告を行った。さらに、国連経済社会理事会の委員会の一つである国連犯罪防止刑事司法委員会は、千九百九十五年(平成七年)以降、国際組織犯罪条約の問題について継続して議論を行っており、千九百九十八年(平成十年)四月に開催され、中華人民共和国など主要国首脳会議非参加国を含む百か国以上が参加した第七回同委員会において、この条約を策定するための政府間の特別委員会を設置する旨の決議案がコンセンサスにより採択されたところである。
 このような国際的な動向から、前回答弁書四の(1)についてでお答えしたとおり、組織的な犯罪に対して各国が協調して対応することが喫緊の課題であることは国際的に一致した認識であると考えている。
 一の(1)についてでお答えしたとおり、組織的な犯罪に対する対策と死刑存置の問題は別個に議論されているものであって、前回答弁書四の(1)についてでお答えした組織的な犯罪に対処するための法整備を行うことと死刑制度の存廃の問題に関する我が国の立場については、諸外国に対してこれらを併せて説明を要するようなものではなく、また、この点に関し諸外国から説明を求められたことも異論が示されたこともない。

四の(2)について

 事実は、前回答弁書四の(2)についてでお答えしたとおりである。
 林郁夫被告人に対する論告の御指摘の部分は、「犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的悪影響といった、いわば犯罪行為とその結果又はそれと直接関連する量刑要素を考慮すれば、特段の事情のない限り、正しく極刑をもって臨むほかないと言うべきである。」旨述べたものであるが、これは、右文言に明らかなとおり、各般の情状のうち、いわば犯罪行為とその結果又はそれと直接関連する量刑要素に限って考慮した場合を仮定して述べたにすぎないものであって、検察官は、その他の情状を含めた各般の情状を併せ考察して、無期懲役が相当であると判断して、その旨の求刑を行ったものである。
 なお、司法取引とは、一般に、刑事事件において、検察官と被疑者、被告人とが交渉し、事件の処分等について合意することであると理解している。

五の(1)について

 林郁夫被告人に対する無期懲役の求刑は、前回答弁書四の(2)についてでお答えしたとおり、検察官において、各般の情状を併せ考察して、無期懲役が相当であると判断したことによるものであり、御指摘のように、組織的な凶悪犯罪の解明と将来における凶悪犯罪の防止に貢献したことのみを被告人に有利な情状として考慮したというものではない。
 一般に、裁判所による量刑は、それぞれの事案ごとに、その犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響等を含む各般の情状を併せ考察してなされるものであり、お尋ねのような裁判例は、承知していない。

五の(2)について

 組織的犯罪処罰法案第三条の規定による刑の加重は、現行法の法定刑では違法性の評価が不十分であり、その尺度の中では適切な量刑がなし得ないと思われる罪について、この規定に該当する場合の類型的な違法性の高さに着目して法定刑を引き上げることによってその違法評価を明示し、適切な量刑をなし得ることとするものである。このうち、法定刑の上限を引き上げる罪については、刑事責任の軽重に応じ、その重い者に対しては重い刑を、その軽い者に対しては軽い刑を求刑することが可能となるとの意味で、求刑の弾力化が図られると考えている。
 林郁夫被告人に対する無期懲役の求刑は、検察官において、刑法第百九十九条に規定する現行の殺人の罪の法定刑の範囲内で、当該事件における各般の情状を併せ考察して無期懲役が相当であると判断したことによるものであり、前記法定刑の上限の引上げによる求刑の弾力化と関係するものではない。

五の(3)について

 平成十年二月答弁書一の1についてでお答えしたとおり、我が国における死刑制度の存廃は、国民世論に十分配慮しつつ、社会における正義の実現等種々の観点から慎重に検討すべき問題であるところ、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については、死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人、誘拐殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況等にかんがみると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては、死刑を科することもやむを得ないと考えている。
 なお、国民の間に御指摘のような意見もあることについては、事実として受け止めている。

六の(1)について

 死刑制度、死刑に関する情報公開等については、御指摘の法務委員会における議論とそれに対する報道を始め、様々な議論があることを承知しており、これらの議論の動向には、今後とも関心を払ってまいりたいと考えている。
 なお、死刑制度の存廃の問題については、前回答弁書二の(6)についてでお答えしたとおりであり、死刑に関する情報公開については、事柄によっては、それを開示することにより、個人の生活の平穏等の私的な権利利益を害し、又は公務の適正な遂行等の公共の利益を損なうおそれも認められるのであり、これらの利益を保護するためには、事柄によっては開示しないことも必要であると考えている。

六の(2)について

 報道機関が、その独自の取材により捜査をめぐる情報を事前に報道し、捜査の遂行に深刻な影響を及ぼしたときには、検察当局として、その後の取材や取材のための庁舎内への出入りをお断りする場合もあるものと承知している。
 例えば、東京地方検察庁においては、従来より司法記者クラブとの間で、報道の自由と捜査の秘密及びその適正な遂行との調和を図るため、互いに意見を交換し、検察庁側から捜査妨害となるような取材は差し控えられたいこと及びそのような取材がなされた場合は不本意ながら取材をお断りする場合があることを要望するなどして、両者の間では、いわば紳士協定的な一定のルールができており、同検察庁ではこのルールにのっとって適切に対応しているものと承知している。

六の(3)について

 東京地方検察庁においては、かねて、次席検事のほか、各部の部長等が報道機関の取材に対応し、捜査、公判への影響や関係者の名誉等に慎重に配慮し、必要かつ相当な範囲の広報を行っているところであるが、お尋ねの事件の捜査当時、報道機関相互の激しい取材競争の下で、その独自の取材により捜査をめぐる情報が事前に報道される事態が生じた。このため、検察が捜査をめぐる情報を漏らして世論作りをしており、その結果、関係者が自殺に追い込まれるに至ったなどとの誤解に基づく批判が一部にあり、更に同様の批判を招きかねない状況にあると考えられたので、このような誤解を避けるとともに、報道機関にも捜査をめぐる取材及び報道の在り方について配慮を求める趣旨で、本年三月十三日から同月末日までの間、一時、取材の窓口を次席検事に一本化する措置を採ったものである。

六の(4)について

 刑事事件に関する情報を公判以外の場で明らかにすることは、現在及び将来における捜査、公判に対し不当な影響を及ぼしたり、事件関係者の名誉等を損なうおそれが大きいので、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十七条本文は、「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」と規定し、また、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百条第一項及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十四条第一項が公務員の守秘義務を定めており、検察及び警察としても、刑事事件に関する情報の秘密を厳守しているところである。
 しかしながら、刑事訴訟法第四十七条ただし書が、「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」としていることなどから、国民の関心の高い事件等につき、被疑者の逮捕、起訴等の重要な局面において、事後的に、広報の責任者である次席検事、都道府県警察の幹部等が、捜査や公判に支障を生じさせず、かつ関係者の名誉等を害することがないように、その範囲を慎重に判断しながら、逮捕の理由となった被疑事実や捜査経緯の概要等を公表することは、差し支えないものと考えている。
 組織的犯罪処罰法案等の法律案に関しては、その正確な理解を得るため、法案の趣旨、概要等について報道関係者に説明の機会を設け、また、個別の取材に応じて説明をしてきている。

六の(5)について

 個々具体的な死刑執行に関する事項については、答弁を差し控えたい。





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