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平成十年七月十七日受領
答弁第六〇号

  内閣衆質一四二第六〇号
    平成十年七月十七日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する再質問主意書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出池田町産業廃棄物処分場建設計画に関する再質問に対する答弁書



一の(1)について

 砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定に基づいて指定された土地(以下「砂防指定地」という。)においては、同法第四条第一項に基づき、治水上砂防の観点から一定の行為を禁止又は制限することができることとされており、同条に基づく都道府県の規則においては、砂防指定地の現状を変更して土砂の流出等を来し、又はそのおそれを生じさせる行為について禁止又は制限を行っている。
 砂防指定地内における施設の設置の可否については、砂防法上は、都道府県の規則の定めるところにより、当該施設の設置に伴って行われる砂防指定地の現状の変更が、土砂の流出等を来し、又はそのおそれを生じさせるものであるか否かによって判断されるものである。

一の(2)について

 砂防法及び香川県砂防管理規則(昭和二十八年香川県規則第四十五号)の条文中にいわゆる目的規定が存しないことは事実である。また、御指摘の「罰則と実効性の関係」及び「法整備上の課題」については、先の答弁書(平成十年六月九日内閣衆質一四二第三一号。以下「答弁書」という。)一の(2)についてで答弁したとおりである。

一の(3)について

 砂防法は、治水上砂防の観点から砂防設備、砂防指定地に係る行為の規制等について定め、土石流災害の防止、洪水の発生の防止等を図るものである。一方、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とするものである。両法はその趣旨等を異にし、それぞれの観点から必要な罰則を定めているものである。
 また、答弁書一の(3)についてで述べた「地域の実情」とは、各都道府県における砂防指定地の地形等に関する特質、当該特質を勘案した行為規制の内容等である。

二の(1)について

 建設省は、答弁書二の(1)についてで述べた「産廃施設」(以下「本件施設」という。)に対する「砂防指定地及び地すべり防止区域内における宅地造成等の大規模開発審査基準(案)」(以下「開発審査基準」という。)の適用の可否について、平成九年八月四日に香川県土木部砂防課長から問い合わせを受け、本件施設は盛土材料等が特殊であることから開発審査基準をそのまま適用できるものではなく、これを適用できない項目については同県において別途基準を作成する等により審査を行うべきことを指導したところであり、これを受けて、同県は、現在本件施設の設置に係る申請内容の審査を行っていると聞いている。
 したがって、この点について、国及び香川県の見解が異なるところはないものと考えている。

二の(2)について

 砂防指定地における一定の行為の禁止等に関する事務はいわゆる機関委任事務であり、国は、当該事務の執行に関し、都道府県知事に対し必要に応じて指導、監督等を行うものであるが、答弁書二の(2)及び(3)についてで述べたとおり砂防法に基づく都道府県規則の解釈及び適用は、基本的には都道府県知事が行うべきものと考える。
 また、建設省河川局砂防部砂防課建設専門官の発言については、平成九年九月十一日に保坂展人衆議院議員の要求に基づき、衆議院議員会館において建設省担当官が本件施設の予定地における砂防法に基づく行為規制に関連して行った一般論としての説明に際しての応答に関するものと理解している。

二の(3)について

 御指摘の「石積等による法止の施工」とは、具体的には、斜面の崩壊及び土砂の流出を防止するため、石材を用いて斜面を補強することをいう。
 また、御指摘の「植林」については、平成九年九月九日に香川県知事が発した砂防法第三十条に基づく命令に係る義務の履行の一環として行われたものであり、香川県砂防管理規則に違反するような行為はなかったと聞いている。
 さらに、答弁書二の(4)についてで述べたとおり、香川県知事は、砂防法第三十条に基づく命令として、治水上砂防の観点から、「土質等に適合した植栽」に加え、「石積等による法止」の施工等を命じ、その後現地を確認した上で、当該命令に係る義務が履行され、砂防指定地としての安全性が確保されたとの判断を行ったものであり、その後も定期的に植栽の状況について確認を行っていると聞いている。なお、当該命令における「原状回復」については、治水上砂防の観点から判断されるものであり、当該判断と森林法上の「復旧」に係る判断との間には相違があり得るものである。

二の(4)について

 産業廃棄物の最終処分場を設置しようとする者は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第十五条の規定に基づき都道府県知事(保健所を設置する市にあっては市長)の許可を受けなければならないこととされている。本件施設の設置については許可の申請がなされていない段階ではあるが、仮に許可の申請があった場合には、香川県知事は、廃棄物処理法第十五条の二の定めるところにより、本件施設が同条第一項第一号に規定する技術上の基準に適合しているか及び周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであるかを審査して、許可を行うか否かの判断を行うこととなる。当該技術上の基準としては、埋め立てる産業廃棄物の流出を防止するための擁壁等が土圧、水圧、地震力等に対して構造耐力上安全であること等が定められており、個別の産業廃棄物の最終処分場がその予定地において想定される土圧、水圧、地震力等に対して擁壁等が構造耐力上安全であると認められないときは、同項の規定により設置の許可をすることはできない。
 この場合、産業廃棄物の最終処分場が砂防指定地内にあるときには、砂防法上は、一の(1)についてで述べたとおり、その設置に伴って行われる砂防指定地の現状の変更が、土砂の流出等を来し、又はそのおそれを生じさせるものであるか否かによって、その設置の可否が判断されるものである。

二の(5)について

 香川県からは、同県土木部次長が御指摘のような発言を行った事実はないが、同部技監が、御指摘の「社会民主党調査団」に対し、「平成八年七月二十三日に香川県土庄土木事務所が現地で事前の伐採は確認したものの、当該伐採が砂防指定地内にまで及んでいる事実は確認していない。砂防指定地内での伐採や地形の変更等の違法行為は、平成九年七月九日の調査の結果確認したものである」という趣旨の説明をしたと聞いている。また、香川県知事は、違法行為が確認されたことを受け、同年九月九日に原状回復を命令したものであって、違法行為を黙認していたものではないと聞いている。
 また、香川県生活環境部廃棄物対策課長が御指摘のような発言をした事実はないと聞いており、御指摘の「業者」の発言についても承知していないと聞いている。なお、同県からは、御指摘の「業者」から同県土木部砂防課に対し、平成八年十月頃数回にわたって砂防指定地内における開発の手続について問い合わせがあり、同課は開発行為に係る技術基準等の内容について説明を行っているが、これは私人からの問い合わせに対応するという通常の行政サービスの域を出るものではなく、本件施設の設置を前提とした指導ではなかったと聞いている。
 さらに、廃棄物処理法は、産業廃棄物の最終処分場の設置の許可については都道府県知事等が二の(4)についてで述べた観点から行うものとしているところであり、厚生省としては、個別の産業廃棄物の最終処分場及びその予定地に砂防指定地が含まれているか否かを把握する必要はないと考えているが、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について」(平成四年八月十三日衛環二百三十三号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)により、産業廃棄物の最終処分場等が砂防指定地等の区域内において設置されることを許可する場合には、あらかじめ関係部局と必要な調整を図るよう、都道府県及び保健所を設置する市の廃棄物行政主管部局に対し指導を行っているところである。また、本件施設の設置については香川県知事が廃棄物処理法に基づく許可を行うか否かの判断を行っておらず、厚生省として見解を述べる立場にはないと考える。

二の(6)について

 仮に本件施設の設置について廃棄物処理法に基づく許可の申請があった場合には、香川県知事は、本件施設が埋立地からの浸出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための措置が講じられていること等の廃棄物処理法第十五条の二第一項第一号の規定に基づく技術上の基準に適合しているか及び周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであるかに関して審査を行い、許可を行うか否かの判断を行うこととなる。厚生省としては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について」(平成十年五月七日衛環三十七号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知)において廃棄物処理法第十五条第二項の規定による許可を受けようとする者が都道府県知事等に提出する申請書に添付すべき「生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類」の記載事項として、「申請に係る最終処分場等からの排水の排出口の直下流等の水道の取水地点等における利水上の支障等の影響について分析した結果」を掲げる等、都道府県等の廃棄物行政主管部局に対する指導を行っているところである。

二の(7)について

 厚生省においては、産業廃棄物の処理に関し廃棄物処理法第十六条に違反する廃棄物の投棄等の廃棄物処理法に違反する行為が行われた場合には、当該行為を行った者に対し厳しく対処するよう都道府県知事等に対し指導を行っているところであるが、本件施設の設置を計画している業者が行った不法投棄及び野焼きについては、香川県が当該業者にこれらによる生活環境の保全上の支障を除去するよう指導し、既に当該支障は除去されたものと承知している。
 また、平成九年六月の廃棄物処理法の一部改正により、産業廃棄物処理施設の設置の許可に際し、都道府県知事等は、その施設が生活環境の保全上の観点から国が定めた技術上の基準に適合しているかに加え、新たに当該施設の設置に関する計画及び当該施設の維持管理に関する計画が周辺地域の生活環境の保全について適正な配慮がなされたものであるかについても審査を行うこととされるとともに、施設の設置に関し利害関係を有する者は都道府県知事等に生活環境保全上の見地から意見書を提出することができることとされたところであり、都道府県知事等は、当該施設の周辺住民から意見書の提出があった場合にはそれも踏まえた上で許可を行うか否かの判断を行うものである。





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