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答弁本文情報

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平成十年七月二十一日受領
答弁第六一号

  内閣衆質一四二第六一号
    平成十年七月二十一日
内閣総理大臣 橋本(注)太郎

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員中村鋭一君提出中華人民共和国ベチューン医科大学病院に対する政府開発援助に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中村鋭一君提出中華人民共和国ベチューン医科大学病院に対する政府開発援助に関する質問に対する答弁書



一の1について

 中華人民共和国(以下「中国」という。)のべチューン医科大学に対する無償資金協力であるベチューン医科大学機材整備計画については、平成元年十月に、中国対外経済貿易部(現在の対外貿易経済合作部)から我が国政府に対し、正式な要請があった。
 無償資金協力については、我が国においては、「外交政策上の経済協力に関すること」(外務省設置法(昭和二十六年法律第二百八十三号)第四条第三十一号)を所掌事務とする外務省が所掌しており、同省においては、「経済協力に関する協定に関すること」(外務省組織令(昭和二十七年政令第三百八十五号)第十二条第一号)を所掌事務とする経済協力局が所掌している。また、中国においては、行政組織に関する中国の資料によれば、対外経済貿易部国際連絡司(現在の対外貿易経済合作部国際経貿関係司)が、我が国からの無償資金協力を含む二国間無償援助の受入れに関する政策について所掌している。これらの点は、御指摘の無償資金協力についても同様である。

一の2及び3について

 中国側からの正式な要請を受け、国際協力事業団が、外務省の指示に基づき、平成元年十二月に、本件計画の背景及び内容の確認等のための事前調査団を、平成二年四月に、本件計画に関する基本設計、概算事業費の積算等に係る調査のための基本設計調査団を、同年八月に、その基本設計調査を踏まえて作成された計画案の概要を説明し、中国側関係機関との間で同案の内容について基本的な合意を得るための基本設計概要説明調査団をそれぞれ中国に派遣し、必要な協議及び調査を行った。
 各調査団の日程並びに団員及び面談者の氏名及び肩書については、別添資料の国際協力事業団の事前調査報告書及び基本設計調査報告書の各関連部分のとおりである。

一の4について

 橋本内閣総理大臣から、御指摘の無償資金協力について政府機関に対して指示があったという記録はない。

一の5及び6について

 御指摘の無償資金協力に係る中国側からの我が国政府に対する要請及び我が国政府機関又は国際協力事業団による交渉、調査、視察等の場に橋本内閣総理大臣が出席した事実はない。
 なお、橋本内閣総理大臣の記憶によれば、自由民主党幹事長代理であった昭和六十三年八月に中国を訪問しており、その際、ベチューン医科大学を訪問しているとのことである。橋本内閣総理大臣の記憶によれば、右訪中は中国衛生部の招待であったのではないかとのことであり、また、その際、ベチューン医科大学に対する協力について意見交換がなされたことがあるとのことである。

一の7について

 無償資金協力の所掌については、一の1についてで述べたとおりである。
 御指摘の無償資金協力については、外務省の指示に基づき、国際協力事業団による基本設計調査が実施され、外務省は、同調査による基本設計を妥当と判断し、平成二年十一月、外務大臣から、同基本設計に基づく無償資金協力に係る取極の締結に関する閣議請議が行われ、内閣として閣議決定を行った。

二の1及び2について

 我が国の無償資金協力に係る生産物及び役務の購入については、通常、被援助国政府が一般競争入札方式により日本国民(日本国の自然人又はその支配する日本国の法人をいう。)と契約を締結することとしている。
 御指摘の無償資金協力についても、一般競争入札を経て、伊藤忠商事株式会社が受注したものである。

二の3及び4について

 我が国の無償資金協力に係る生産物及び役務の購入について被援助国政府との間で契約を締結した者により調達される個々の生産物及び役務の名称、価格及び調達先については、被援助国政府と当該契約者との具体的な契約及び当該契約者と調達先との具体的な契約に関する事項であり、直接の契約当事者でない我が国政府がこれらを公表することは適切ではなく、答弁を差し控えたい。

二の5について

 中国政府から本件無償資金協力の正式な要請があった平成元年及び本件無償資金協力に係る取極が締結された平成二年について確認したところ、当時の政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第十九条の七第一項の規定により提出されたこれらの年に係る保有金の収支報告書の要旨を公表した官報には、橋本(注)太郎衆議院議員の保有金の収支報告書の記載はなく(保有金の収支報告書は、寄附を受けた年において、その年において受けた寄附に係る金銭等の全部を自己の指定団体に寄附した場合には、提出の義務はない。)、当時の政治資金規正法第十二条第一項の規定による同議員の指定団体の収支報告書の要旨(平成二年九月十四日付け官報及び平成三年九月六日付け官報)にも御指摘の献金又はパーティー券の購入に係る記載はない。
 また、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百八十九条の規定による同議員の平成二年の衆議院議員総選挙に係る選挙運動費用収支報告書の要旨(平成二年五月二十九日付け岡山県公報)にも御指摘の献金又はパーティー券の購入に係る記載はない。

三の1について

 平成元年(千九百八十九年)六月のいわゆる天安門事件後、中国情勢の流動化、渡航自粛勧告等により、円借款を含む協力案件の多くは事実上の中断状況に置かれた。
 その後、平成二年(千九百九十年)一月に戒厳令が解除され、中国情勢の安定化が見られるとともに、同月十六日に来日した鄒家華国務委員が、当時の海部内閣総理大臣ほか我が国要人に対し第三次円借款を進めるよう要請し、同月十八日には、平成二年度の新規の案件に関する意見交換を行うべく、外務省の経済協力局長が中国に派遣された。また、中国側が改革、開放政策を継続する姿勢を示し、経済面において、対外関係の改善のための努力を示す動きを見せたことにかんがみ、経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省の四省庁が協議の上、同年七月のヒューストン・サミットの際に、海部内閣総理大臣から、第三次円借款を徐々に進めていくとの考え方を表明し、サミット参加国の理解を得た。
 こうした経緯を経て、同年七月三十日から八月一日までの間、中国に政府調査団を派遣した上、同年十一月に第三次円借款の初年度である平成二年度第一回分の供与に係る取極を中国政府と締結することにつき閣議決定した。また、海部内閣総理大臣は、平成三年八月の訪中の際に、中国の改革、開放政策に基づく近代化努力に対しできる限りの協力を行うとの方針が不変であることを表明した。

三の2について

 三の1についてで述べたとおり、平成二年(千九百九十年)一月に戒厳令が解除され、中国情勢の安定化が見られたこと、また、同月に鄒家華国務委員が来日し、外務省の経済協力局長も中国に派遣されたこと等の動きがあり、こうした流れを受けて、同年四月九日の衆議院予算委員会において、藤田高敏議員の質問に対し、当時の中山外務大臣が「現在、九〇年度の新規の案件に関する予備的準備行為として事前調査等を進めておるような段階でございまして、先般も経済協力局長を北京に派遣をいたしまして、事務的な調査も始めておる、このような状況でございます。一日も早く日中間の健全な関係が回復することを私どもも期待をいたしておるものでございます。」と発言した後、当時の橋本大蔵大臣が「第三次円借款の中において、幾つかの条件はありながら、日本として考えてもいい時期に参っておると思います。」と発言している。
 また、橋本大蔵大臣は、同年五月三日、ニュー・デリーにおける第二十三回アジア開発銀行年次総会での総務演説において、「なお、我々の友人である中国と先進諸国との経済協力関係が、現在、かつての関係と若干様相を異にしているのは残念なことであります。我が国としては、アジアに位置し、中国と長い交流の歴史を持つという立場を踏まえ、中国と各国及び国際機関との関係が双方の努力により速やかに旧に復することを強く希望しております。」と発言している。
 御指摘の円借款について、橋本大蔵大臣が内閣総理大臣若しくは外務大臣との協議又は閣議若しくは閣僚懇談会において発言したという記録や橋本大蔵大臣が事務当局へ検討を指示したという記録は見当たらない。

三の3について

 円借款の正式要請については、途上国政府から外交ルートを通じて在外公館等我が国政府に対して公式文書をもって行われることとされており、大蔵大臣が中国政府から正式要請を受ける立場にはない。
 なお、御指摘の円借款に関する中国政府関係者から当時の橋本大蔵大臣に対する非公式要請は、次のとおりである。

 (一) 第二十三回アジア開発銀行年次総会時の平成二年(千九一百九十年)五月三日において、橋本大蔵大臣は、李貴鮮中国人民銀行行長から、国際復興開発銀行及びアジア開発銀行の対中融資再開並びに第三次円借款の開始について日本の理解を求める旨の要請を受けている。

 (二) 第四十五回国際通貨基金、国際復興開発銀行年次総会時の平成二年(千九百九十年)九月二十五日において、橋本大蔵大臣は、王丙乾財政部長から、いわゆる天安門事件以来の厳しい環境の中で第三次円借款についての弾力的な対応を求める旨の要請を受けている。

四の1について

 平成八年一月十九日である。

四の2について

 平成八年十二月十六日である。

四の3、4及び6について

 御指摘の帰化許可申請事件の具体的内容については、プライバシー等の問題もあるので、答弁を差し控えたい。

四の5について

 出入(帰)国記録は、プライバシー等の問題もあって、非公開を原則としているので、答弁を差し控えたい。



別添資料

    ベチューン医科大学機材整備計画に関する事前調査報告書及び基本設計調査報告書の関連部分
 (目次)

  一 事前調査報告書(平成二年(千九百九十年)二月、国際協力事業団刊行)における関連部分
   1 調査団の構成と日程(事前調査報告書二頁及び同三頁)
   2 面会者一覧表(事前調査報告書四頁及び五頁)

  二 基本設計調査報告書(平成二年(千九百九十年)八月、国際協力事業団刊行)における関連部分
   1 調査団の構成(基本設計調査報告書九十三頁)
   2 調査日程(基本設計調査報告書九十四頁及び九十五頁)
   3 面談者リスト(基本設計調査報告書九十六頁及び九十七頁)

一.事前調査報告書(平成2年2月、国際協力事業団刊行)における関連部分
 1.調査団の構成と日程(報告書2〜3頁)


  調査団構成

・団長 北川 定謙 (厚生省病院管理研究所長)
・病院計画 鈴木 幸雄 (厚生省保健医療局国立療養所課 課長補佐)
・医療機材計画 大場 正巳 (北里大学教授)
・無償資金協力 下田 五郎 (外務省無償資金協力課 課長補佐)
・通訳 高良 さとみ (国際協力サービスセンター)



                 調 査 日 程 表

調査日程表



2.面会者一覧表(報告書4〜5頁)

面会者一覧表 1/2


面会者一覧表 2/2



二.基本設計調査報告書(平成2年8月、国際協力事業団刊行)における関連部分
1.調査団の構成(報告書93頁)

調査団の構成


2.調査日程(報告書94〜95頁)

調査日程


調査日程



3.面談者リスト(報告書96〜97頁)

面談者リスト


面談者リスト




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