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平成十年九月十八日受領
答弁第五号

  内閣衆質一四三第五号
    平成十年九月十八日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員大野由利子君提出PCB使用電気機器の保管状況並びに汚染防止対策の早急な実施に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員大野由利子君提出PCB使用電気機器の保管状況並びに汚染防止対策の早急な実施に関する質問に対する答弁書



一について

 ポリ塩化ビフェニル(以下「PCB」という。)が含まれた廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)の保管状況に関しては、厚生省において、昭和六十一年度と平成四年度の二回調査を行っている。昭和六十一年度には、各都道府県及び保健所を設置する市(以下「都道府県等」という。)を通じて、廃棄物とされた感圧複写紙のうちPCBを使用したもの(以下「廃感圧複写紙」という。)の保管状況に関する調査を行い、また平成四年度には、都道府県等を通じて、廃棄物とされた高圧トランスのうちPCBを使用したもの(以下「廃高圧トランス」という。)、廃棄物とされた高圧コンデンサーのうちPCBを使用したもの(以下「廃高圧コンデンサー」という。)、廃感圧複写紙並びに廃PCB及びPCBを含む廃油(以下「廃高圧トランス等」と総称する。)の保管状況に関する調査(以下「都道府県調査」という。)を行うとともに、財団法人電気絶縁物処理協会が管理する「PCB使用電器台帳」の登録の対象でないため都道府県調査の対象とならなかった旅客鉄道株式会社各社及び日本貨物鉄道株式会社、日本電信電話株式会社、電力会社各社並びに防衛庁(以下「大量保管者」という。)の保管する廃高圧トランス及び廃高圧コンデンサーの保管状況についての調査(以下「厚生省調査」という。)を直接行ったところである。
 平成四年度の都道府県調査及び厚生省調査の結果、廃高圧トランス及び廃高圧コンデンサーについては、調査に回答した二万八百二十七事業所において十万六千九百九十八台が、廃感圧複写紙については、五百五十一事業所において七百六十八トンが、廃PCB及びPCBを含む廃油については、調査に回答した百五十二事業所において五千三百三十四トンが、それぞれ全国で保管されていること等が判明した。また、これらの廃高圧トランス等のPCBの量については、個々の廃高圧トランス等のPCB使用量が不明であるため、把握していない。
 厚生省としては、廃棄物の適正な処理を確保する観点から、廃高圧トランス等の全国の保管状況について、調査結果に基づいて公表したところであるが、お尋ねの個別の事業所名等については、PCB廃棄物は適正に保管すれば生活環境に影響を与えるおそれがないにもかかわらず、事業所名等の公表により個々の事業者の活動に影響を与えるおそれがあることから、公表は差し控えたい。
 なお、平成五年度以降は、PCB廃棄物の保管状況に関する調査は実施しておらず、現在の保管状況については、把握していない。

二について

 御指摘のPCB廃棄物を保管している事業所名等の公表及び閲覧については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第十条第一項の規定に基づき自らの産業廃棄物の処理について責任を負っている個々の事業者が、その判断に基づき行うものと考えている。

三について

 お尋ねのPCB廃棄物を保管していた事業所で倒産したか又は不明になったものの数については、都道府県調査及び厚生省調査において調査対象としておらず、把握していない。
 また、お尋ねのPCB廃棄物が不明であるか又は紛失した事業所数及び個数等は、平成四年度の都道府県調査及び厚生省調査の結果によれば、廃高圧トランス及び廃高圧コンデンサーについては四千七十六事業所において六千四百七十四台、廃感圧複写紙については二百三事業所において三十四トンであった。これらの廃棄物のPCBの量については、個々の廃棄物のPCB使用量が不明であるため、把握していない。
 次に、御指摘の追跡調査については、平成五年度に、都道府県等を通じて、都道府県調査において不明又は紛失と報告のあった事業所を対象として、不明又は紛失の理由についての調査を行った。この調査において不明又は紛失の理由については、事業所の改築若しくは移転等又はPCB廃棄物の売却若しくは業者による引取り等の際にPCBを使用した製品ではないと誤認されたこと、機器交換時に紛失したこと等との回答があった。また、平成五年度以降は、PCB廃棄物の保管状況に関する調査は実施しておらず、その後現在までに、PCB廃棄物を保管していた事業所で倒産したか又は不明になった事業所数及び不明になったか又は紛失したPCB廃棄物の個数等については、把握していない。
 なお、厚生省において、平成四年度の都道府県調査及び厚生省調査の結果を踏まえ、PCB廃棄物の適正な保管について、大量保管者を含めた事業者に対する指導を徹底するよう、平成五年度以降、都道府県等に対して指示を行っているところである。

四について

 厚生省において、阪神・淡路大震災に際し災害救助法(昭和二十二年法律第百十八号)に基づく救助が行われた市町村の区域内において廃高圧トランス及び廃高圧コンデンサーを保管している事業所に対し、平成七年五月までの間に、その保管状況を調査した結果、一事業所において一台の廃高圧コンデンサーが紛失したと報告を受けている。この廃高圧コンデンサーに含まれていたPCBの量については、把握していない。
 また、お尋ねの阪神.淡路大震災におけるPCB廃棄物を保管していた事業所の火災や倒壊等の被害については、把握していない。

五について

 PCB廃棄物の保管状況については、平成十年度に厚生省において調査を実施する予定としている。その調査の方法については、対象となる事業所数が膨大であることから、平成四年度の調査と同様に、都道府県等又は厚生省から調査表を事業所に送付する方法を基本とすることを考えているが、回答が得られない事業所等については、必要に応じ、御指摘のように担当職員が直接当該事業所を訪問する等の方法により再度調査を行うことを検討する必要があるものと考える。

六及び七について

 PCB廃棄物の処理は、自らの産業廃棄物の処理について責任を負っている個々の事業者の責務であり、廃棄物処理法第十二条の二の規定に基づき事業者が自ら又は他人に委託して行うべきものである。政府としては、必要に応じ、御指摘の化学的処理技術に関する情報を事業者等に提供する等の技術的支援、税制上の措置等の施策を講じ、御指摘の中小事業所を含め事業者における適正な処理の推進を図ってまいりたい。

八について

 PCBと総称される化学物質には二百九種類の異性体があるが、その一部について世界保健機関(WHO)等において毒性等価係数(二・三・七・八 ― TCDD(テトラクロロジベンゾジオキシン)の毒性の強さを一として、他のダイオキシン類及びダイオキシン類似化合物の個々の異性体の毒性の強さを表した換算係数)が示されていることは承知しているが、実際に使用され又は廃棄物として保管されているPCBは多数の異性体の混合物であり、その組成比が一定でないことから、お尋ねのPCB一グラムの毒性を二・三・七・八 ― TCDDの毒性に換算した値を示すことは困難である。
 したがって、御指摘の昭和四十九年時点で保管されていたPCB廃棄物及び不明であること又は紛失したことが判明したPCB廃棄物の毒性を二・三・七・八 ― TCDDの毒性に換算した値を示すことは困難である。





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