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平成十年十一月六日受領
答弁第一四号

  内閣衆質一四三第一四号
    平成十年十一月六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員中川智子君外一名提出ダイオキシン汚染と国の対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員中川智子君外一名提出ダイオキシン汚染と国の対策に関する質問に対する答弁書



1の(1)の@について

 環境庁が平成八年度に実施した有害大気汚染物質モニタリング調査の結果によると、大気中のダイオキシン類(ポリ塩化ジベンゾフラン及びポリ塩化ジベンゾ ― パラ ― ジオキシンの混合物をいう。以下同じ。)の濃度の年平均値が、環境庁においてダイオキシン類についての施策実施の指針として平成九年九月に設定したダイオキシン類に係る大気環境指針の値(環境大気中のダイオキシン類の濃度が年平均値で一立方メートル当たり〇・八ピコグラム以下。以下「大気環境指針値」という。)を超えた地点は、二十一か所の測定地点中十一か所であり、また、平成九年度における同調査の結果では、十四か所の測定地点すべてにおいて大気環境指針値を超えたものはなかったところである。
 これらの調査は、ダイオキシン類による大気汚染の概況を把握するため、特定の地点を選定してダイオキシン類の大気環境中の濃度の状況を調査したものであり、全国の各地域を調査したものではないこと及び特定の測定地点の測定結果からこれと同様の濃度を有する地域範囲を特定することは困難であることから、当該調査結果に基づいてお尋ねの大気環境指針値を超える地域に居住している人数を算定することは困難である。

1の(1)のAについて

 埼玉県所沢市におけるダイオキシン類に係る大気環境の濃度については、所沢市が平成九年度に実施したダイオキシン類の環境調査の結果によると、年平均値を測定した十一か所の測定地点のうち、二か所においては大気環境指針値を超過していたが、その他の九か所においては大気環境指針値以下であった。
 また、廃棄物焼却炉の排出ガスにおけるダイオキシン類の濃度に係る基準については、全国にわたって大気汚染を防止する観点から大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)附則第九項の規定に基づき、及び全国にわたって廃棄物の適正な処理を確保する観点から廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第八条の三及び第十五条の二の二の規定に基づき、技術的な対応可能性を考慮して、全国的に共通の基準を定めているところであり、御指摘の地域においてもこの排出基準を適用することは適当であると考えている。なお、大気汚染を防止する観点から、法令に反しない限りにおいて、地方公共団体において地域の実情に応じて条例で必要な基準を定めることができるものである。

1の(1)のBについて

 御指摘のダイオキシン類に関する発生源インベントリーについては、環境庁が本年九月に設置した「ダイオキシン排出抑制対策検討会」において来年春を目途に取りまとめるべく、現在、検討を行っているところである。

1の(2)について

 御指摘の「ごみ焼却施設からのダイオキシン排出実態等総点検調査の実施について」(平成八年七月十二日衛環第二百十四号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課長通知。以下「総点検通知」という。)による調査の結果については、市町村(一部事務組合を含む。以下同じ。)が設置するごみ焼却施設の排ガス中のダイオキシン類の排出実態に関する情報をできる限り速やかに国民に提供するという観点から、調査を行った七十二項目のうち、ごみ焼却施設の基礎的諸元である施設名、焼却炉の形式、施設の処理能力及び集じん器の形式、施設の使用開始年月並びに排ガス中のダイオキシン類の濃度の各項目について、平成九年四月十一日、六月二十四日及び十月十七日の三回にわたり、その時点までの回答の集計結果を取りまとめて公表したところである。また、その後に報告のあったものについては、本年九月二十一日に、生活環境審議会廃棄物処理部会に設置されたダイオキシン対策技術専門委員会(以下「ダイオキシン専門委員会」という。)の第二回の資料として取りまとめ、公表したところである。なお、当該資料においては、既に回答を行った施設で、厚生省が平成九年一月に策定した「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(以下「新ガイドライン」という。)における排ガス中のダイオキシン類の濃度についての緊急対策の判断基準である一立方メートル当たり八十ナノグラムを超えた施設のうち平成九年以降に再測定したものについて、その結果を掲載しているところである。
 これ以外の項目のうち飛灰中のダイオキシン類の濃度については、飛灰にダイオキシン類がどの程度の濃度で含まれるかについての科学的知見を得るために行ったものであり、新ガイドラインにおいて、濃度度数分布の形で全体的な状況を既に公表しているところであるが、それ以外の項目については、現在回答内容の精査を行っているところである。
 次に、御指摘の平成九年度測定分のデータについては、平成九年十二月一日から、廃棄物処理法第八条の三(本年六月十七日前においては、第八条第五項)の規定に基づいて定められた廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和四十六年厚生省令第三十五号。以下「廃棄物処理法施行規則」という。)第四条の五第一項第二号カにおいてごみ焼却施設の排ガス中のダイオキシン類を年一回以上測定することがごみ焼却施設の設置者に義務付けられたところであり、その結果は廃棄物処理法第八条の四の規定に基づき閲覧に供されることとされている。また、このうち市町村が設置するごみ焼却施設に係るものについては、今後厚生省において集計し、公表する予定である。
 御指摘のデータの改ざん等に関しては、厚生省において都道府県を通じて事実関係を確認したところ、御指摘の秋田県十文字町の属する横手平鹿広域市町村圏組合、大阪府の豊能郡環境施設組合等においては、総点検通知に基づいて行われた測定に関して一部測定結果の未報告や濃度低減のための操作があったことが判明したが、兵庫県の宍粟郡広域行政事務組合における測定においては、御指摘のような事実はなかったと承知している。
 これらの行為は、施設の設置者である両組合の責任において行われたものであり、このような事態が生じた原因については、厚生省としては承知していない。厚生省においては、データの隠蔽等の不適当な事態が判明し次第、ごみ焼却施設を休止している等やむを得ない場合を除き、当該不適当な操作を行った者に対して再度測定するよう指示を行うこととしており、両組合に対しても再度測定するよう指示する等の措置を行ったところである。

1の(3)について

 御指摘の宍粟郡の最終処分場におけるダイオキシン類の検出結果については、設置者である宍粟郡広域行政事務組合の測定により、埋立地で採取された土壌から一グラム当たり六十四ナノグラム、浸出液の原水から一リットル当たり〇・八七ナノグラム及び浸出液の処理水から一リットル当たり〇・〇〇一六ナノグラムのダイオキシン類が検出されたものと承知している。最終処分場におけるダイオキシン類の検出に関しては、現在比較すべき他の測定結果が少ないため、当該検出結果の評価を一概には申し上げられない。また、現在の知見においては、最終処分場の残さ並びに浸出液の原水及び処理水中に含まれることとなるダイオキシン類の量を事前に予測することは困難である。
 最終処分場における汚水漏れ及び残さの対策については、廃棄物処理法第八条の二第一項第一号の規定に基づき、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令(昭和五十二年総理府・厚生省令第一号)により、本年六月から遮水シート等の遮水工、浸出液処理設備等の最終処分場の構造基準及び維持管理基準の強化を図ったところであり、ダイオキシン類対策についても、浸出液処理設備の強化により対応できると考えているが、現在、最終処分場からの放流水に含まれるダイオキシン類の濃度の実態を調査しているところであり、その結果を踏まえて、必要があれば更なる対策について検討してまいりたい。なお、遮水工又は浸出液処理設備を有しない既設の最終処分場については、その改善が図られるよう設置者である市町村に対し都道府県を通じて指導を行い、財政支援を行っているところである。

1の(4)について

 豊能郡環境施設組合の設置するごみ焼却施設である豊能郡美化センター(以下「豊能郡美化センター」という。)周辺のダイオキシン類による土壌汚染の現状については、同組合が設置した豊能郡美化センターダイオキシン対策検討委員会の本年四月十七日の報告書においては、同検討委員会が平成九年十二月に豊能郡美化センターの周辺一キロメートル以内の三十七地点において土壌中のダイオキシン類の濃度を測定したところ、最高値として施設南側の法面において一グラム当たり八・五ナノグラムが測定されており、また、厚生省が本年七月十五日に実施した現地調査においては、豊能郡美化センターの北側の近傍の土壌で一グラム当たり〇・三九ナノグラムから八・八ナノグラムまで、同センターの西側建屋とフェンスの間の土壌で一グラム当たり三十一ナノグラム及び冷却水槽の周辺土壌で一グラム当たり五万二千ナノグラムが測定されたところである。
 このダイオキシン類による土壌汚染の原因については、ダイオキシン専門委員会において、焼却炉における不完全燃焼等により高濃度のダイオキシン類を含む排ガスが発生していたこと、排ガスを洗浄した排水を焼却炉における燃焼ガス冷却用に循環利用したこと等により排ガス中のダイオキシン類が濃縮されていたこと及び湿式洗煙塔における排ガスの冷却水を屋上で外気により空冷する装置であったことから、ダイオキシン類を高濃度に含む冷却水の飛沫が環境中に排出されたことによるものと推定されている。
 土壌汚染対策としては、現在、汚染土壌の除去等について、大阪府及び豊能郡環境施設組合において検討及び協議を行っているところであると聞いている。厚生省においては、この検討及び協議結果を踏まえて必要な支援を行っていくこととしており、また、本年九月二十一日には、大阪府を通じて豊能郡環境施設組合に対し、土壌の除去の範囲及び方法が決まるまでの間、冷却水槽周辺をロープ等で区画し、地表をシート掛けするとともに、立入りを防止するための表示をするよう指示したところである。
 御指摘のダイオキシン類を一グラム当たり一ナノグラム以上含む土壌を除去する対策については、豊能郡美化センターダイオキシン対策検討委員会が本年四月十七日に取りまとめた報告書において、人へのダイオキシン類の暴露量について現地の実情を勘案して専門的な見地から検討された結果に基づくものであり、環境庁としては、その検討結果は十分に尊重されるべきものと考えている。
 御指摘の土壌汚染対策の基準については、環境庁が本年五月に設置した「土壌中のダイオキシン類に関する検討会」において、現在、対策の推進に必要な指針の設定を含めて検討を進めており、本年度内を目途に、報告書を取りまとめることとしている。

1の(5)について

 母乳中のダイオキシン類については、厚生省が設置した「母乳中のダイオキシンに関する検討会」が平成八年にまとめた報告によると、健康影響の観点から、乳幼児期を含めた一生涯にわたって摂取しても耐容される一日当たりの摂取量である耐容一日摂取量(以下「TDI」という。)の適用について、母乳からダイオキシン類を摂取する期間は短期間であるため、そのままTDIを用いて母乳の安全性を検討することは妥当でないとしているところである。また、同報告によると、@現在の母乳からのダイオキシン類の摂取が乳児に与える影響は直ちに問題となる程度ではないこと、A母乳が乳児の身体的・精神的発育、感染症の防止及び栄養素の補給に及ぼす効果が大きいこと及びB諸外国においても母乳栄養を規制していないことから、我が国においては、今後とも母乳中のダイオキシン類濃度の継続的な監視等を行いながら母乳の安全性を確認していくとともに、母乳栄養を推進していくべきであるとしている。この報告を踏まえ、引き続き母乳ほ育を推進するとともに、母乳の安全性について確認するため調査研究を行う必要があると考えている。
 母乳中のダイオキシン類の調査及び対応については、厚生省において、平成六年度から厚生科学研究費補助金等による母乳中のダイオキシン類濃度に関する調査研究により、我が国における母乳中のダイオキシン類濃度の把握を行ってきたところである。平成九年度においては、調査対象人数等を増やすとともに、大阪府が昭和四十八年以降保存していた母乳脂肪を用いて母乳中のダイオキシン類濃度の年次変化を把握したところであり、平成十年度においては、調査対象地域を二十一都府県に拡大し、あわせて、平成九年度に調査対象とした者の母乳でほ育された乳幼児の甲状腺機能、免疫機能等を測定するとともに身体発育状況等の調査を行い、母乳中のダイオキシン類が乳幼児の健康や発育に与える影響について調査しているところである。
 御指摘の母親の母乳ほ育の安全性に関する不安への対応については、厚生省においては、これまでの調査の結果及びその評価等について、正確な情報を提供するため、これを公表するとともに、本年十月九日に「全国母子保健担当者会議」を開催して都道府県の母子保健担当者に周知を図ったところである。今後、現在実施している調査研究についてその結果がまとめられ次第公表するとともに、調査研究の結果を踏まえ、適切な対策を講じてまいりたい。
 御指摘の血液調査の結果は、本年六月に京都市で開催された日本環境化学会主催の第七回環境化学討論会及び本年九月につくば市で開催された日本環境化学会の会議において、摂南大学の宮田秀明教授が発表した御指摘の地域の住民の血液調査等の結果であると承知しているが、住民の健康への影響等について検討するために必要な調査対象者の職業歴、居住歴、食生活の状況等の生活環境に関する十分な情報がないこと及び血中のダイオキシン類濃度からダイオキシン類の健康影響を評価する手法が確立されていないことから、現時点で、当該調査結果について見解を示すことは困難であると認識している。
 厚生省においては、現在、ダイオキシン類による人体の汚染状況の把握及びその健康影響の評価に関する調査研究を推進しているところであり、平成九年度からは厚生科学研究において血液等の人体の汚染状況に関する調査研究にも着手したところであり、引き続きこれらの調査研究を推進してまいりたい。

2の(1)について

 御指摘の「廃棄物処理に係るダイオキシン等専門家会議」は、昭和五十八年十二月に厚生省が設置し、同月八日の第一回の会議において鈴木武夫国立公衆衛生院院長(当時)を座長に選出したものである。同専門家会議の議事録については、その作成の有無について、厚生省として確認はできなかった。
 また、同専門家会議は、昭和五十九年五月二十三日に取りまとめた報告において、廃棄物処理に係るダイオキシン類問題を評価考察するため、ダイオキシン類のうち最も強い毒性を示すとされる二、三、七、八 ― 四塩化ジベンゾ ― パラ ― ジオキシン(以下「二、三、七、八 ― TCDD」という。)について、米国の環境保護庁の研究報告等を基に、人体への影響についての評価指針として一日の摂取量を暫定的に体重一キログラム当たり百ピコグラムとしたものである。この際のお尋ねの安全率については不明である。

2の(2)について

 御指摘の厚生省が平成二年に策定した「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(以下「旧ガイドライン」という。)は、厚生省が設置した「ダイオキシン類発生防止等ガイドライン検討会」(以下「旧ガイドライン検討会」という。)におけるごみ焼却施設等のダイオキシン類対策についての検討結果に基づいたものである。旧ガイドラインは、当時の知見において廃棄物処理に係るダイオキシン類の発生の状況が人の健康に直ちに影響を与えるといった状況にはないものの、ダイオキシン類の環境中への排出を極力抑制することが望ましいことから、技術的に実施可能な限りダイオキシン類の発生防止等を図るという観点から取りまとめたものである。当時においては、旧ガイドラインに基づいてダイオキシン類の排出を削減するために市町村が行うごみ焼却施設の改造について、その費用の一部を国庫補助の対象とすることにより、可能な限りその推進を図ってきたところであるが、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合における排出濃度の低下に関する定量的な知見に乏しかったため、法令に基づく規制措置を導入するに至らなかったものである。
 また、旧ガイドライン検討会において、市町村に対する指導のために排出濃度の目標値を定めることについての議論はあったと承知しているが、御指摘の記事にある炉の機種ごとの目標値及び削減計画が旧ガイドライン検討会又はその委員から示されたという事実は承知していない。
 なお、旧ガイドラインにおいては、新設の全連続式ごみ焼却施設については、技術的に可能な限り値を設定する方が望ましいとの観点から、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合に排ガス中のダイオキシン類の濃度が一立方メートル当たり〇・五ナノグラム程度以下になることが期待される旨を記載したが、新設のごみ焼却施設のうち全連続式ではないもの及び既設のごみ焼却施設については、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合における排出濃度の低下に関する定量的な知見に乏しかったため、目標値又は期待される値を設定しなかったものである。

2の(3)について

 御指摘の事実関係については、承知していない。
 旧ガイドライン策定時点においては、旧ガイドラインに示した対策を講じた場合における排出濃度の低下に関する定量的な知見に乏しかったため、排ガス中のダイオキシン類の濃度の目標値を定め、これにより測定結果を評価することができなかったことから、報告を求めることはしなかったものである。
 したがって、厚生省においては、旧ガイドラインにより主として施設の維持管理の適正化を図ることによってダイオキシン類の削減を図ろうとしたところである。

2の(4)の@について

 御指摘の訴訟については、昭和六十三年に宝塚市が、ごみ焼却施設の新設を機に、それまで不燃ごみとして取り扱ってきたプラスチックごみを可燃ごみとして当該焼却施設において他のごみと混合して焼却するとしたことに対し、宝塚市民が、ダイオキシン類の発生が懸念されること、試運転時に測定した排ガス中のポリ塩化ジベンゾ ― パラ ― ジオキシンの濃度が一立方メートル当たり〇・一三八ナノグラムとスウェーデンのダイオキシン類許容基準である一立方メートル当たり〇・一ナノグラムを超えていること等を主張してプラスチックごみの焼却差し止め請求を起こしたものと承知している。厚生省においては、プラスチックごみの焼却とダイオキシン類の発生との関係については、その因果関係が不明であることから、プラスチックごみを他のごみと混合して焼却することを停止する必要はないと認識していたものである。

2の(4)のAについて

 厚生省においては、都道府県を通じて、市町村が旧ガイドラインに示す燃焼管理等の維持管理対策を徹底する等の対策を講じるよう指導を行っていたが、廃棄物処理法第十九条第一項の規定に基づいて都道府県知事が行う立入検査並びに都道府県が行う指導及びこれに従って講じられた対策について個別には把握していない。
 なお、本年六月十七日に施行された改正後の廃棄物処理法においては、市町村の設置するごみ焼却施設が、第八条の二の規定に基づく構造基準又は第八条の三の規定に基づく維持管理基準に適合しないと認められる場合には、第九条の三第九項の規定に基づき、都道府県知事は必要な改善を命じ、又は期間を定めて使用の停止を命ずることができることとされているところである。

2の(4)のBについて

 御指摘の平成四年の廃棄物処理法第八条第五項の規定に基づくごみ焼却施設の構造基準及び維持管理基準の一部改正においては、主要な燃焼室の出口における炉温を摂氏八百度以上とするよう改めたが、この改正は、より完全燃焼を達成することによりダイオキシン類の発生を削減することを目的としたものである。
 一方、排ガスの冷却装置については、平成四年以前から構造基準として「連続燃焼式の焼却施設にあつては、燃焼室において発生するガスにより排ガス処理設備の腐食及びばいじん除去能力の低下が生じないように発生ガスを冷却することができる冷却設備が設けられていること。」が定められており、同年に御指摘のような構造基準の改正は行っていない。

2の(4)のCについて

 御指摘のごみ処理施設構造指針(以下「指針」という。)は、厚生省からの委託に基づき社団法人全国都市清掃会議が昭和六十一年にまとめたものであり、厚生省においてごみ処理施設の建設に係る国庫補助事業を採択する際の技術上の基準として使用しているものである。
 御指摘の水噴射式ガス冷却設備に関する能力の基準は冷却温度の基準であり、昭和六十一年に策定した当時の指針には記述されておらず、平成四年の指針の改正により追加されたものである。また、指針には炉頂型のガス冷却設備の構造について特に記述はない。御指摘の回答(平成十年六月二十三日内閣衆質一四二第三八号一の(5)について)は、新ガイドライン策定時に、炉頂型ガス冷却設備については、ダイオキシン類の排出濃度が高い場合には水噴射ノズルを上方へ移設すること等の改造がダイオキシン類の発生を抑制する観点から有効であるとの知見を得たため、新ガイドラインに当該内容を盛り込んだことについて述べたものである。

2の(4)のDについて

 御指摘の平成九年十二月に厚生省が公表した数値は、平成八年度の厚生科学研究費補助金により行われた「食品中のダイオキシン汚染実態調査研究」の結果に基づくものであり、標準的な食事により国民が摂取するダイオキシン類の量について国民栄養調査に基づいてモデル献立を設定し、これについてダイオキシン類の分析定量を行い、体重一キログラム当たり一日につき〇・四四ピコグラムから〇・七五ピコグラムまで、及びコプラナーPCBを加えると一・一〇ピコグラムから一・八九ピコグラムまでと推定したものである。
 一方、御指摘の環境庁の「ダイオキシンリスク評価検討会」で採用した食物から摂取されるダイオキシン類の量の数値は、平成八年に環境庁が行った抽出された一般家庭において実際に作られた食事を試料として分析する方法による摂取量調査の結果である体重一キログラム当たり一日につき〇・二六ピコグラムから二・六〇ピコグラムまで、及び「食品衛生学雑誌」第百八十一号に掲載された摂南大学の高山幸司外四名の研究である「日本における食事経由のダイオキシン関連物質の摂取量」における推定値である体重一キログラム当たり一日につき三・二六ピコグラムの二つの結果を範囲として示したものである。なお、リスク評価検討会においては、コプラナーPCBを入れた数値は採用していない。
 お尋ねの数値の相違の原因については、これらの調査における調査方法、検体の採取時期、検出限界値等が異なっていることにあるものと考えている。

2の(4)のEについて

 御指摘の平成九年度の調査結果については、当該調査は過去四回の調査と比較して測定地点数及び調査回数が少ないため、この結果をもってダイオキシン類に係る大気環境濃度が低減したと評価することは困難である。当該調査において過去四回の調査結果に比較して低い濃度が検出された理由については、測定当日の気象条件等による影響が大きいものと考えている。

2の(5)について

 ダイオキシン類の毒性評価については、平成二年に世界保健機関(WHO)欧州地域事務局がTDIを体重一キログラム当たり十ピコグラムと設定した後も、発がん性、作用メカニズム、ダイオキシン類の毒性等価係数(二、三、七、八 ― TCDDの毒性の強さを一として、他のダイオキシン類の個々の異性体の毒性の強さを表した換算係数)等科学的に未解明な部分が多く残されており、国際的な評価が定まっていない状況にあった。厚生省においては、従来から、厚生科学研究費補助金によりダイオキシン類の毒性評価を行い得る知見の収集等の調査研究に努めてきたが、平成八年六月に「ダイオキシンのリスクアセスメントに関する研究」の研究班(以下「厚生省研究班」という。)からその中間報告として御指摘の我が国におけるTDIが提案されたものである。厚生省研究班が提案したTDI体重一キログラム当たり十ピコグラムという値については、当時の最新の知見に基づいたものであり、この時点においては、WHO欧州地域事務局のほか、英国、オランダ、カナダ等の諸外国においても同様の値を採用していたことから、国際的にも妥当なものであったと認識している。
 御指摘の米国の関係機関により提案されている実質安全用量(VSD)は、ダイオキシン類の毒性発現に関する用量と反応との関係において、その値以下では毒性が発現しないとされる用量の限界値(以下「閾値」という。)が存在しないという考え方に基づいて算定されたものと承知しているが、厚生省研究班が提案したTDIは、WHO欧州地域事務局のほかオランダ、ドイツ等の諸外国と同様に、ダイオキシン類の毒性発現には閾値があるという考え方に基づいて算定したものである。

2の(6)について

 御指摘の緊急対策値は、厚生省研究班が提案したTDIである体重一キログラム当たり十ピコグラムに基づいて、新ガイドラインにおいて、ごみ焼却施設の影響を最も受ける最大着地濃度地点においてもダイオキシン類の摂取量がTDIを超えることのないよう対策を講ずる必要性を判断するための排ガス中のダイオキシン類の濃度として定めたものである。
 一方、廃棄物処理法施行規則第四条の五第一項第二号ワに規定する既存ごみ処理施設における平成十年十二月一日から平成十四年十一月三十日までの間の排ガス中のダイオキシン類濃度の基準値である一立方メートル当たり八十ナノグラムについては、生活環境審議会廃棄物処理部会廃棄物処理基準等専門委員会が当該基準値についての報告を行うに当たり中央環境審議会大気部会が大気汚染防止法附則第九項に基づく指定物質抑制基準に関し、既設の廃棄物焼却施設について「概ね一年以内に達成可能な当面の基準をあわせて設定することとし、この基準は排出実態を勘案して一立方メートル当たり八十ナノグラムとすることが適当」とする答申を行ったことを踏まえ、これと同等のレベルとすることとしたことに基づいて設定したものである。
 御指摘のWHO欧州地域事務局が設定したTDIの見直しに伴う我が国におけるTDIの取扱いについては、3の(1)の@について及び3の(1)のAについてで述べるとおり専門家による検討を既に開始したところである。
 廃棄物焼却施設におけるダイオキシン類の排出基準や廃棄物処理の在り方等については、その検討結果を踏まえ、必要に応じ、国民の健康確保の観点から検討することとしている。

3の(1)の@について

 ダイオキシンのTDI並びに御指摘のコプラナーPCB及び臭素化ダイオキシン類(ポリ臭化ジベンゾフラン及びポリ臭化ジベンゾ ― パラ ― ジオキシンの混合物をいう。以下同じ。)の取扱いについては、厚生省においては、本年六月に食品衛生調査会及び生活環境審議会が合同でダイオキシン類健康影響評価特別部会を設置したところであり、同部会において、御指摘の内分泌かく乱作用や発がん作用の観点も含め、最新の知見に基づき、専門的見地から検討を行うこととしている。
 また、環境庁においては、環境保健部に設置した「ダイオキシンリスク評価検討会」等において、ダイオキシン類の健康影響について検討を行っているところであるが、御指摘のコプラナーPCB及び臭素化ダイオキシン類の取扱い並びに内分泌かく乱作用や発がん作用の観点も含め、最新の知見に基づき、専門的見地から検討を行うこととしている。

3の(1)のAについて

 本年五月のWHOの専門家会議において、WHO欧州地域事務局が平成二年に設定したダイオキシン類に係るTDIの見直しが行われたところであり、この見直しを踏まえ、環境庁が設置した「ダイオキシンリスク評価検討会」において平成九年五月に示された健康リスク評価指針値については、その見直しの必要性も含めて、現在、「ダイオキシンリスク評価検討会」等において検討を行っているところである。環境庁が平成九年九月に設定した大気環境指針値については、「ダイオキシンリスク評価検討会」等における検討結果を踏まえ、必要な見直しの検討を行うこととしている。また、排出ガスにおけるダイオキシン類の濃度に係る大気汚染防止法附則第九項に基づく指定物質抑制基準については、「ダイオキシンリスク評価検討会」等における健康リスク評価についての検討状況と併せて、環境庁においてダイオキシン類及びコプラナーPCBの排出実態や技術的対応可能性等を考慮しつつ必要な検討を行う予定である。
 次に、御指摘の大気汚染防止法附則第九項に基づく指定物質排出施設の追加やダイオキシン類についての土壌や水質に係る基準等の設定については、環境庁においてダイオキシン類の環境汚染状況や排出実態の把握に努めており、その結果を踏まえ、必要な対策の検討を順次進めることとしている。

3の(2)の@及びBについて

 厚生省においては、廃棄物の適正処理及び資源の有効な利用を図る観点から、廃棄物処理法、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)等により、廃棄物の抑制、減量化及びリサイクルを進めているところであるが、排出抑制及びリサイクルを進めた場合であっても焼却せざるを得ないごみは発生することから、ごみの焼却は必要となるものである。したがって、新ガイドラインにおいては、ダイオキシン類の削減、余熱利用の推進、公共事業の費用縮減等の観点から、ごみ焼却施設が行うべき対策として焼却炉の大型化やごみ発電の推進を図ることとしたものである。

3の(2)のAについて

 御指摘の塩化ビニル等も含め、焼却されるごみに含まれる物質の種類と当該ごみの焼却によるダイオキシン類発生との因果関係については、調査研究を進めているところであるが、現在のところ明らかではない。このため、現段階では、ダイオキシン類の発生を抑制するため高度の排ガス処理設備を備え、完全燃焼させることが可能である大規模なごみ焼却施設において完全燃焼させる等の対策を講じてきているところである。





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