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答弁本文情報

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平成十年十一月六日受領
答弁第一八号

  内閣衆質一四三第一八号
    平成十年十一月六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員石井紘基君提出徳山ダムに関する質問に対する答弁書



一の1、3及び4について

 建設省は、昭和五十一年十月一日に、昭和四十六年十二月二十七日付け「徳山ダム実施計画調査申入書に関する確認書」(以下「確認書」という。)記9に基づき、確認書を水資源開発公団(以下「公団」という。)に引き継いでおり、建設省中部地方建設局(以下「中部地方建設局」という。)及び公団は、確認書の趣旨を遵守して徳山ダム建設事業を実施してきたところである。
 確認書の趣旨である藤橋村との合併前の徳山村(以下「旧徳山村」という。)の住民の生活再建を図るため、公団は、徳山ダム建設事業の実施に伴い住居の移転が必要となった旧徳山村の全世帯である四百六十六世帯(以下「旧徳山村全世帯」という。)について、各世帯の意向に沿った代替地を数か所に用意する等により各世帯の生活再建のための話合いを進め、平成元年三月三十一日までに建物等移転補償契約の締結並びに移転補償金等の支払及び代替地を求めた世帯への代替地の提供を終えたところであり、これにより旧徳山村全世帯は旧徳山村内から代替地等に住居を移転している。
 建設省は、こうした経緯等に照らして、旧徳山村全世帯の生活再建が図られたものと考えており、徳山ダムの事業用地のうち、隣接地との境界確認等の問題から建物等移転補償契約締結時に住居の存する土地等と一括して用地買収契約を締結することができず現在も買収が完了していない山林等の早期取得を図るため、公団が徳山ダム建設事業について土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第十六条に基づく事業の認定(以下「事業認定」という。)を申請したことは、確認書記8並びに昭和四十六年十二月二十七日に旧徳山村長及び徳山ダム対策委員長から建設省中部地方建設局徳山ダム調査事務所長に提出された差入書(以下「差入書」という。)記2の趣旨に反するものではないと考えている。

一の2について

 差入書は、旧徳山村長、徳山ダム対策委員長及び建設省中部地方建設局徳山ダム調査事務所長が合意して作成された文書である確認書とは性格が異なるものであるが、差入書の趣旨も踏まえ、旧徳山村全世帯の生活再建のための措置を既に講じたところである。

一の5について

 徳山ダムの事業用地の買収が現在もなお完了していないのは、旧徳山村の住民の生活再建を図るための措置の内容の決定に時間を要したこと、徳山ダムの事業用地が約千四百ヘクタールと極めて大規模であること、事業用地の約四割を占める共有地は隣接地との境界の確認に相当の期間を要した等により住居の存する土地等と一括して用地買収契約を締結することが著しく困難であったこと等の理由によるものと認識している。また、未買収の用地の取得に際しては、正当な損失補償がなされるべきであると考えている。

一の6について

 中部地方建設局及び公団は、旧徳山村及び旧徳山村全世帯と対話を重ね、また、揖斐川流域住民に対しても理解及び協力を求めつつ徳山ダム建設事業を進めてきたところである。今回の公団による事業認定の申請は、こうした経緯も踏まえて行われたものであり、国民との対話を重視する姿勢に逆行するものではないと考えている。

二の1のア及びイについて

 建設省中部地方建設局河川部(以下「河川部」という。)は、木曾川水系磯谷川に係る河川予定地等における有限会社オヅリンサンによる作業道路の設置(以下「本件作業道路の設置」という。)については、徳山ダム建設事業に係る立木移転補償契約に基づく水没地の立木の伐採のために行われるものであること等から、河川区域内の土地においても河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)第二十四条に基づく許可を受ける必要がないと判断していたものであるが、当該判断は、河川法に照らし、結果的に不適切なものであったと考える。
 御指摘の河川部担当職員は、こうした河川部の判断に従い、平成九年七月二十五日に徳山ダム建設中止を求める会(以下「中止を求める会」という。)の会員に対し、本件作業道路の設置について、治水上問題がない旨及び河川一時使用届(以下「一時使用届」という。)が提出されている旨を口頭で回答し、その後も法的に適切に処理されている旨の回答を行ったものであるが、河川法上の根拠を有しない任意の届出である一時使用届の期限が切れていたことを告げなかったことをもって、当該職員の対応が、御指摘のように「市民による検証の機会を奪い、必要な是正措置を遅らせた」とまではいえないと考えている。

二の1のウについて

 二の1のア及びイについてで述べたとおり、河川部は、本件作業道路の設置について河川法第二十四条に基づく河川管理者の許可を要しないとの判断を行っていたものであり、当該判断に基づいて中止を求める会の会員への対応を行った職員には、本件作業道路の設置に当たり河川法第二十四条に基づく河川管理者の許可がなされていないことを隠ぺいする意図はなかったものである。

二の1のエ及び二の4について

 建設省所管公共事業の実施に当たっては、国民に対する説明責任を果たすため、分かりやすく丁寧な情報の提供を行うことが重要であると考えており、この点における職員の一層の意識向上に努めてまいりたい。

二の2のアについて

 河川区域内における土地の占用の許可に係る建設大臣の権限は、河川法施行令(昭和四十年政令第十四号)第二条第三号の特定水利使用に関するものを除き、河川法第九十八条及び同令第五十三条第一項に基づき地方建設局長に委任されている。本件作業道路の設置については、河川部は、建設本省に意見照会をする必要があるような特別の内容を有する事例ではないと考え、河川部の判断で、河川法第二十四条に基づく許可を必要とする行為ではないとしたものである。
 建設省においては、このような事例が発生したこと等を踏まえ、平成十年六月十八日に建設省河川局水政課長等名で通達を発して、ダムによる水没予定地内の占用許可手続に関し地方建設局等の間の取扱いの統一を図ったところであり、今後とも、行政実務の積重ね及び組織間での情報の共有化に努め、法令の統一的運用に努めてまいりたい。

二の2のイについて

 御指摘の「有限会社オヅリンサンによる保安林不法伐採」(以下「本件不法伐採」という。)は、磯谷川に係る河川区域等の外で行われたものと承知している。
 河川法第二十四条に基づく許可は、河川管理上の支障の有無等を判断することによって行われるものであり、河川管理者は、本件不法伐採について責任を負うものではないと考える。

二の3について

 建設省大臣官房監察官は、平成九年十二月二十二日の中止を求める会からの問い合わせに係る案件(以下「本案件」という。)は中部地方建設局で取り扱うべきものと判断し、建設省中部地方建設局主任監査官(以下「主任監査官」という。)に対応を指示したものである。主任監査官は、本案件について、事実確認のための調査を行い、改善すべき点があるか否かを自ら検討するとともに河川部に対しても再検討を促したところ、河川部は本件作業道路の設置は河川法第二十四条に基づく許可を必要とする行為ではないとした判断に疑義を生じ、建設本省に当該判断の是非について照会をした。これに対し、建設省河川局は当該判断とは異なる見解を示し、二の2のアについてで述べたとおり、通達によりダム水没予定地内の土地の占用許可手続に関する河川法第二十四条の運用の適正化を図ったものである。
 また、中部地方建設局は、中止を求める会の会員への対応を行った担当職員の対応について、当時の経緯を慎重に検証しつつ検討を行ったが、当該職員は河川部の判断を基に対応を行ったのみで河川法第二十四条に基づく河川管理者の許可がなされていなかったことを隠ぺいする意図はなく、公務員の信頼を失墜させるような行為はなかったとの判断に達したことから、本案件に対する回答としては河川行政の在り方に関する判断を示すことで足りると考え、本案件については御指摘の答弁書のとおりである等の回答を主任監査官名で行ったものであるが、当該回答は回答方法としては必ずしも十分なものでなかったと考える。
 本案件については、主任監査官の指摘を契機に中部地方建設局における業務の改善が図られていることから、御指摘のような監査機能の放棄というのは当たらないと考える。





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