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答弁本文情報

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平成十年十月十六日受領
答弁第二〇号

  内閣衆質一四三第二〇号
    平成十年十月十六日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員秋葉忠利君外一名提出ドミニカ共和国日本人移住問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員秋葉忠利君外一名提出ドミニカ共和国日本人移住問題に関する質問に対する答弁書



一の1について

 政府としては、ドミニカ共和国における日系移住者の利益のために、従来から、土地問題に関するドミニカ共和国政府関係当局に対する現地大使館を通じての働き掛けや移住者への援護措置を実施してきている。平成六年三月の日本弁護士連合会からの要望書も受けて、政府は、移住者支援のために更なる努力を行ってきており、具体的には平成六年七月の日系人協会からの要望書を受けてそれぞれの分野について実現可能な支援措置を検討し、その結果、@国際協力事業団の農業及び小工業分野の融資(平成九年七月から三年間の申請分)の利率の四パーセントから二パーセントへの引下げ、A高齢者福祉対策として日系人協会に対する邦人保護謝金の適用、B子弟教育、人材育成支援への更なる配慮等の措置を実施してきている。また、これらの援護措置のほか、移住地を含む地域の経済社会インフラ整備のための協力を実施してきている。さらに、地権の問題についても、平成六年当時、旧国営入植地において六件の農地について区画確定前本地権が取得されていないことを踏まえ、ドミニカ共和国政府農地庁への働き掛けを行ってきたが、その後、現在までに三件の区画確定前本地権が取得されるに至っている。

一の2について

 御指摘の要望書には、政府とドミニカ共和国政府との間の外交文書について言及されているところ、このうち、一部のものについては外交文書として保存されていることがこれまでに確認されている。存否が確認されていない外交文書もあるが、御指摘の要望書の中に言及されていることをもって、ドミニカ共和国に対し確認を行うことは考えていない。

二の1について

 昭和二十四年五月、衆議院本会議において、国民生活の向上に役立つとともに世界の福祉に寄与することを目的とした「人口問題に関する決議」がなされているところ、政府としては、昭和三十年四月に海外移住振興に関する閣議了解を行って海外移住の推進を図った。
 政府は、昭和二十七年以来希望者に渡航船賃を貸し付けてきたが、昭和三十年七月、外務省内に移住局を設け、また、内閣に内閣総理大臣を長とする「海外移住審議会」を設置するとともに、同年九月、海外移住振興株式会社を設立して同社において移住に必要な資金の貸付けを行うこととした。また、昭和二十九年一月、移住者の選考、送り出しを行うための機関として財団法人日本海外協会連合会が設立され、さらに、選考された移住者に対して出発前に、移住先国の歴史、習慣、言語を教えるために神戸及び横浜の二港に移住斡旋所を設置した。昭和三十八年七月、移住行政の一元化を図るため、財団法人日本海外協会連合会及び日本海外移住振興株式会社の業務を統合し、これらの業務を引き継ぐ海外移住事業団が設立され、さらに、同事業団の業務は、昭和四十九年、国際協力事業団に継承された。
 政府は、移住を安定した軌道に乗せ、かつ、移住者の保護を強化するために、次のような移住協定に署名した。
 (一) ボリヴィア共和国(昭和三十一年)
     移住者数は協定の署名の日から五年の期間(以下五年ごとにこの期間を延長)において千家族又は六千人とする。
 (二) パラグァイ共和国(昭和三十四年、平成元年に一部改正)
     移住者数は協定発効の日から年齢のいかんを問わず八万五千人とする。
 (三) ブラジル連邦共和国(昭和三十五年)
     移住者数は日本の移住者送り出しの可能性とブラジル労働市場の必要性、配置の実際的見通しに従って決定される。
 (四) アルゼンティン共和国(昭和三十六年)
     移住者数は特に規定していない。
 戦後、昭和二十七年末に海外移住が再開されて以来、平成五年度末までに国際協力事業団が支援した移住者数は七万三千三十五人である。

二の2について

 ドミニカ共和国への移住は、昭和二十九年八月二十七日、ドミニカ共和国政府トルヒーリョ元帥から在ドミニカ共和国日本国公使館福島代理公使に対し、日本移民二万家族について受入れ方の申入れがあった。その後、昭和三十一年三月の在ドミニカ共和国日本国公使館吉田公使とドミニカ共和国政府メルカード農務人臣との間の往復書簡に基づき本件移住は開始された。

二の3及び4について

 ドミニカ共和国への移住は、二の2についてでお答えしたとおり、昭和三十一年の吉田公使とメルカード農務大臣との間の往復書簡に基づき開始された。その後の受入れ及び送り出しの時期、地域、人員規模等については、その後両国間の打合せにより八か所の入植地ごとに順次確定された。
 例えば、右の昭和三十一年の往復書簡においては、ドミニカ共和国政府からは、次の諸点が伝えられた。
 (一) 一定の数の日本人移住者を受け入れる用意があること。
 (二) 受入れに当たっては、@国有地を整備し、日本人移住者一家族当たり三百タレアを超えない十地を供給する。A住宅、必要な作物種子を供給し、生産をもたらすまでの間、補助金を与える。B移住者の携行する営農器具、身の回り品等は免税とする。C移住者はドミニカ共和国農務省が地質に従って指示する耕作を推進し、その整地及び生産を良好な状態に維持する。D移住者にはドミニカ共和国法令を適用する等の方針で臨む考えであること。
 政府からは、ドミニカ共和国政府の方針に基本的に異存がない旨を通報している。
 なお、ドミニカ共和国移住業務については、財団法人日本海外協会連合会が行い、各都道府県等を通じ、移住者の募集、選考、送り出し等を行った。

二の5について

 昭和三十年九月には、外務省及び農林省の職員がダハボン地区、コンスタンサ地区等を調査している。昭和三十二年九月には、農林省職員がハラバコア、ネイバ、ドゥベルへ、コンスタンサ各地区を調査している。右調査の結論としては、ダハボン、コンスタンサ、ハラバコア、ドゥベルへ、ネイバの各地区はおおむね入植可能との報告がなされている。

二の6について

 募集要項は、財団法人日本海外協会連合会が昭和三十一年の移住開始から昭和三十四年まで作成したものであり、その内容は、外務省においてドミニカ共和国側から入手した情報や現地調査の結果に基づくものである。

二の7について

 当時の新聞報道及び財団法人日本海外協会連合会発行の新聞の報道は、財団法人日本海外協会連合会のドミニカ移住募集要項をも踏まえつつなされたものと考えられるが、その他個別にいかなる情報源に基づくものかは判別し難い。また、当時政府として記事内容の是正を求めたか否かについてを判断する記録はない。

二の8について

 移住者の入植した地区は、ドミニカ共和国政府が設定した国営入植地ではあったが、移住者は、そこにおいて一定の制約を受けたにせよ、基本的には自分の意思、責任で作物を栽培し、販売することができ、実質的には自営開拓農として入植したものと承知している。
 また、コロニア法については、当時外務省としても承知していた。移住者募集要項には、移住者がコロニア法の適用を受ける旨特段明記されてはいないが、ドミニカ共和国の法律を遵守すべき旨記載されている。

二の9について

 政府は、昭和三十年九月の事前調査において、主としてスペイン移住者と均等な条件が与えられること、移住地が国境地帯に限られないこと、一世帯当たり三百タレアの土地が供給されることについてドミニカ共和国側に要請し、当時は前向きな回答を得ていたものである。いずれにせよ、個々の移住に当たっては、いずれもドミニカ共和国の受入れ意思を確認の上実施されている。

二の10について

 政府とドミニカ共和国政府との間では、移住協定は締結されず、二の2についてでお答えしたとおり、吉田公使とメルカード農務大臣との間の往復書簡に基づき移住者の送り出し及び受入れが開始された。右書簡の内容については、二の3及び4についてでお答えしたとおりである。

三の1について

 第一次ダハボン移住者等から、約束どおりの土地が配分されていないこと、土地が乾燥地であること等に関し、在ドミニカ共和国日本国大使館に善処方要請があり、大使館は、ドミニカ共和国政府に換地、土地増配、灌漑施設の整備等善処を求めた。

三の2について

 政府としては、入植地について耕作に不適切な土地も見られたので、そのような土地についてはドミニ力共和国政府に換地、灌漑施設の整備等善処を求めた。

三の3について

 ドミニカ共和国への移住をめぐる問題は、入植当初予期し得なかった経済的、政治的事情の変化等が重なったことが大きく影響しており、政府としては、特定の者の責任に帰することはできないと考えている。
 一方、政府としては、現地大使館を通じてドミニカ共和国政府に対し、特に移住者に対する地権の付与手続の促進方について要請を行ってきている。このような申入れに対し、ドミニカ共和国政府も可能な範囲で問題解決に取り組んでいると理解している。

三の4について

 政府とドミニカ共和国政府との間では、二の3及び4についてでお答えしたとおりの移住の枠組みにおいて移住を実施してきたものである。その後、個々の移住について問題が生じた場合には、これを改善するため現地大使館を通じてドミニカ共和国政府に対し、灌漑施設の整備、土地増配、換地の提供等の措置を交渉し、ドミニカ共和国政府側からもこれらの改善措置につき一定の前向きな反応を得ていたものであり、そのような中で移住が進められていたという経緯もあった。しかしながら、その後の同国における政情の不安定化、経済的困難等によりドミニカ共和国政府による事態の改善が困難となったものである。

三の5について

 ドミニカ共和国政府との間で移住の中止も含めたやり取りはあったが、いずれにせよ、各移住者送り出しに当たっては、ドミニカ共和国側の受入れ意思を確認の上で移住が実施された。

三の6について

 昭和三十五年三月、ドミニカ共和国政府外務大臣から在ドミニカ共和国日本国大使館あて書簡により、当分の間、移住者の受入れは延期する旨の通報があり、同年以降、ドミニカ共和国への移住は事実上中止となった。
 ドミニカ共和国政府側は、右延期について、農業計画に全力を投入する必要があるとの理由を挙げている。

三の7について

 国の援助等を必要とする帰国者に関する領事官の職務等に関する法律(昭和二十八年法律第二百三十六号。以下「国援法」という。)による移住者全員帰国の決定が閣議でなされた事実はないが、当時、移住者側から集団帰国の要請があったことを踏まえ、昭和三十六年十二月十九日、ドミニカ共和国から帰国する者の上陸後の援護について海外からの一般引揚者に準じた取扱いをする等の閣議決定が行われた。

三の8について

 政府としては、帰国を希望した移住者に対して、国援法の適用による旅費の貸付け等を行ったほか、昭和三十六年十二月十九日の閣議決定を踏まえ、公営住宅への優先的入居、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の適用、職業あっせん等の措置を採った。

三の9について

 御指摘の点を理由とする損害賠償請求がされた記録はない。

四の1について

 ドミニカ共和国への移住者が、御指摘の点を含め、入植後現地において政治、経済情勢の混乱等予期せぬ事態が発生する中で、土地の問題等について大変苦労されたものと認識している。政府としては、このような事情を踏まえ、ドミニカ共和国に残られた方々に対して一の1についてでお答えしたような一連の援護措置を採ってきている。

四の2について

 政府としては、移住者がドミニカ共和国へ移住する際の募集要項に記載する情報については、当時ドミニカ共和国から提供された情報や調査により得た情報に基づき誠実にこれを提供するよう努めたものである。このような政府の行為は、法的な意味において国の責任が問われるものには該当しないと理解している。
 政府としては、移住者に対し、特に土地等の改善策が講じられるよう努めたが、現地において政治、経済情勢の混乱等予期せぬ事態が発生する中で完全を期せなかった面もあり、これを特定の者の法的責任に帰することはできないと考えている。

四の3について

 昭和三十六年十二月十九日のドミニカ移住者対策に関する閣議決定は、移住者全員の帰国を決定したものではなく、ドミニカ共和国から帰国する者の上陸後の援護及びドミニカ共和国以外の南米諸国に移住を希望する者について適当な措置を講じることを決定したものである。閣議決定の趣旨は、当時可能な限りの手段を講じてすべての移住者に伝える努力を行っている。

四の4について

 昭和三十六年の帰国者等への援護措置実施以降も、残留移住者に対し、融資、各種の援護指導、人材育成、高齢者福祉対策等の援護措置を採ってきており、これらの措置のほか、移住地を含む地域の経済社会インフラ整備のための協力等を実施してきている。
 これらの支援は、ブラジル連邦共和国、アルゼンティン共和国等の移住者に対して実施してきた支援と基本的に同趣旨のものであるが、ドミニカ共和国においては、移住当初以来移住者が置かれている困難な状況を勘案して検討した結果、平成四年十二月に移住者の国際協力事業団に対する債務負担を軽減するために債務返済軽減措置(延滞損害金の全部免除、元本返済優先等)を講じたほか、平成九年七月には農業及び小工業分野の融資(同月から三年間の申請分)について利率を四パーセントから二パーセントへ引き下げる等の特別措置を実施している。

五の1について

 政府は、入植当時からの困難な事情も踏まえ、地権を安定化したものとするため、ドミニカ共和国移住者の区画確定前本地権の取得につきドミニカ共和国政府に対して申入れを行う等の努力をしており、次第にこれが実現してきている。近年では、平成六年以降区画確定前本地権が未取得の六件の農地のうち三件につき新たに同地権が取得された。現状では、区画確定前本地権が取得された農地は旧国営入植地の農地面積の九割以上を占めるに至っている。
 外務省設置法(昭和二十六年法律第二百八十三号)は、同省の所掌事務として、「海外移住に関するあつせん、保護、促進その他必要な措置に関すること」(第四条第十五号)を、また、同省の権限として、「日本人の海外渡航及び移住に関しあつせん、保護その他必要な措置をとること」(第五条第八号)を規定しており、同省においては、これらの規定に基づき、四のーについてでお答えした認識を踏まえ、右のことを行っているところである。

五の2について

 現行のドミニカ共和国国内法上では、所定の手続を経た上で完全な所有権(区画確定後本地権)を取得することは可能であると承知している。

五の3について

 旧国営農業入植地における農地については、区画確定前本地権(その後、区画確定後本地権になったものも含む。)は、面積にしてダハボンにおいて八十五・二パーセント、コンスタンサにおいて九十八・二パーセント、ハラバコアにおいて百パーセント取得されている。農地について区画確定前本地権が未取得であるのは、ダハボン二件、コンスタンサ一件のみである。

六の1について

 国際協力事業団法(昭和四十九年法律第六十二号)第二十一条第四号へは、同事業団の業務として、「移住者若しくはその団体で海外において農業、漁業、工業その他の事業を行うものに対して当該事業に必要な資金を貸し付け、若しくは当該資金の借入れに係る債務を保証し、又は当該事業のうち政令で定めるものに必要な資金を供給するための出資をすること」を規定しているところである。

六の2について

 個人に対する貸付限度額は、移住者の平均的営農、経営規模を基準として設定されている。農林水産業貸付けの場合には、農地の購入、大型農機具の導入など、開拓の進歩と営農の形態、規模の変化に応じて限度額の引上げが行われてきた。
 現在の貸付限度額は、別紙一のとおりである。
 移住融資は、移住者の定着、安定に必要な生活基盤安定化のため、数次にわたり制度の改正を行ってきており、昭和五十五年(千九百八十年)以降では、昭和五十九年(千九百八十四年)及び平成三年(千九百九十一年)において貸付限度額の引上げを行った。これは、移住地経済の成長による移住者の経営規模の拡大への対応、業種の多様化への対応、生活基盤整備需要への対応、長期資金需要増への対応等の理由による。

六の3について

 ドミニカ共和国が変動相場制に移行した昭和六十年(千九百八十五年)当時の契約書は、ドル建てペソ払いの支払条件について規定している。
 すなわち、同契約書第四条は、「貸付金の各分割償還額を支払時における自由市場のペソ貨がドルに対し、貸付時の換算率よりも高い場合、債務者は支払時における換算率との差額のペソ額を増額して支払うことに同意する。」と規定しているところである。

六の4について

 平成九年度末でドミニカ共和国において移住融資を受けている移住者の数は百十一人であり、貸付額は八億九千五百三十二万二千三百七円である。

六の5について

 延滞率(貸付金期末延滞額を貸付金期末残高で除したもの)は、昭和六十年度(千九百八十五年度)末で三十二パーセント、平成二年度(千九百九十年度)末で三十二パーセント、平成九年度(千九百九十七年度)末で二十七パーセントである。
 延滞率がこのように高い水準にとどまっているのは、ドミニカ共和国における日系移住者の営農基盤が高い農地価格及び生産コスト、防疫体制の不備による輸出の不振等により安定化を図ることが容易ではないことに起因していると考えられる。

六の6について

 貸付けに係る事務は、別紙二の貸付事務実施要領、別紙三の海外移住者農林水産業貸付基準及び別紙四の海外移住者小工業貸付基準により実施しているところである。

六の7について

 二十九人である。

六の8について

 五十六人である。

六の9について

 移住者から申請された融資の審査に当たっては、貸付基準に基づき、定められた手順を踏んで厳正かつ公平に行っている。
 平成六年度(千九百九十四年度)から平成九年度(千九百九十七年度)までの間に貸付けをした移住者の名前は、プライバシーにかかわることでもあり明らかにできないが、その貸付者数は四十三人である。

七の1について

 政府は、現地大使館を通じ従来から土地の地権問題の解決促進についてドミニカ共和国政府関係者と協議を行ってきているが、今般のドミニカ共和国政府の措置については、そのような協議の中からドミニカ共和国政府が自主的な判断に基づき本件を具体化したものである。

七の2について

 ドミニカ共和国政府から政府への正式の通報があったのは、平成十年七月五日である。ドミニカ共和国政府は、本件措置の理由について、日系移住者の移住の経緯及び日本とドミニカ共和国との間の友好関係を踏まえ、日系移住者に対する誠意の証として採る措置であるとしている。

七の3について

 ドミニカ共和国農地庁から、対象地の性状及び評価に関しては、粘土質で良好であり、河川も近くにあり、降雨量が多く、地下水も豊富で農地として適しており、サトウキビ、カボチャ等が栽培できる土地であること、さらに、首都圏にも近いことから、その経済価値は高い旨の説明があった。また、所有権に関しては、区画確定後本地権を仮地権取得後六か月以内に取得し得るとの説明があった。右の土地に関し、今後何らかの形で現地の適当な機関による調査がなされるよう検討する予定である。

七の4について

 本件措置につき一部ドミニカ共和国内の地方紙に報道がなされていることは承知している。他方、ドミニカ共和国政府は、移住者の方々に対し、「現地においては、日系移住者は常に労働の鏡と評価され、尊敬されてきている。ドミニカ共和国の国民は、今回の措置により解消をねらった過去の負い目が何であるかをよく知っており、この点について国民の理解を得ることは可能であると認識している。」と説明したと承知しており、政府としては、本件措置はドミニカ共和国国民の理解が得られるものと考えている。

七の5について

 政府としては、本件土地無償譲渡はドミニカ共和国政府の移住者に対する誠意あふれる措置であると理解しており、心から歓迎している。土地供与を受けるかどうかは、個々の移住者が最終的に判断する性格のものであるが、政府としては、移住者の方々が本件措置を有効に活用されることを期待している。



別紙一

別紙一
(注)円表示額相当現地通貨額で融資される。


別紙二

貸付事務実施要領
〔昭和41年7月28日
昭和41年度要領第4号〕
事業団が業務方法書、農業貸付基準その他の規程に基いて行なう貸付にかかる事務は本要領により実施するものとする。
1.借入申込相談
 (1) (借入申込相談)貸付の事務は借入申込相談の受付から始まる。
 (2) (借入申込相談の目的)借入申込相談の目的は、借入希望者(以下「希望者」という。)の申出が諸規程の要請する条件に合致するか否かを予め審査し、爾後の貸付審査を円滑化させると共に、希望者が基準或いは要領の要請する条件を整えるよう指導することにある。
 (3) (借入申込相談票)借入申込相談は原則として事務所(支部・事業所・駐在員事務所。以下同じ)に於て、所定の借入申込相談票(以下「相談票」という。別紙様式1号)によってこれを行なう。
     但し、団体貸付にっいては相談票の作成を要しないこととし、又個人貸付の場合に於ても直営移住地入植者或いは既に借入の経験がある者については、事情により、相談票の作成を省略し得るものとする。
     この場合は責任者に口頭報告を行なわなければならない。
     (注1)従来、このような借入申込相談は口頭で処理され、又今後も本項但し書の通り、事情に応じて口頭で処理し得るものであるが、相談票の作成によって借入相談の内容を記録することにより、移住者の資金需要の動向及び資金量等を把握する資料としても役立たせようとするものである。
 (4)(相談票の作成)相談票の作成は、希望者記入欄を除き、係員が所定の項目に従って希望者から実態を聴取記入して作成する。
    相談票作成に当っては、希望者の現状をありのままに把握することに努め、記入は簡潔、明確に行なわなければならない。
 (5) (借入申込書用紙の交付)係員は相談終了後、その結果を希望者に伝え、借入申込の受理が妥当と認められた場合には借入申込書用紙を交付する。
 (6) (相談票の保管)作成した相談票は原則として作成当日又はその翌日その全部を当該機関の責任者迄回付し、事務所に於て適宜保管する。
2.借入申込の受理
 (1) (借入申込の受理)借入申込の受理は、所定の借入申込書(以下「申込書」という。個人貸付借入申込書様式2号、団体貸付借入申込書様式3号)に拠り行なうものとする。
     但し、本部承認を要する貸付については申込書の写ないし申込内容の一覧表に支部長が申込者の事情の概要及び意見を附し、本部に承認申請を行わなければならない。
     又、この場合借入申込者に対しては本部承認を要する旨を通知しなければならない。
 (2) (借入申込書)申込書には次の事項を記入させるものとする。
    ア 借入申込者住所・氏名
    イ 借入申込要項
      @ 借入申込金額
      A 資金の使途
      B 償還期間
      C 償還方法
      D 元利金の払込月及び返済財源
      E 担保
      F 連帯保証人
    ウ 借入申込者の概要(団体の場合のみ)
    エ 借入申込者自宅迄の略図(個人の場合のみ)
 (3) (申込書の記入)申込書は必らずしも申込者自身に記入させる必要はないが、代筆の場合には申込者に記載事項を確認せしめた上、署名させなければならない。
 (4) (申込書添付資料)団体貸付の借入申込書には原則として次に列記する資料を添付提出させるものとする。
    ア.所要資金並に資金調達計画を含む事業計画説明書
    イ.償還計画を含む資金計画
    ウ.過去3力年の比較貸借対照表並に比較損益計算書
    工.最近の合計残高試算表
    オ.借入申込者が法人の場合は定款
      但し、添付資料については、申込者と当団との取引状態その他の事情に拠り支部長の判断で適宜省略、変更或いは増補して差支えない。
 (5) (同一申込人の申込)同一申込人が設備資金、長期運転資金或いは短期運転資金を同時に申込む場合には、同一申込書で借入申込を受付けることができる。
 (6) (個人グループ貸付)同一地域の同種の個人資金需要は、これを一括して個人グループ貸付として借入申込を受理することができる。
     この場合は、申込書の「氏名又は名称」欄に個人グループ〇名と注記し、その他の事項の欄はグループの代表者名儀で一括して記入する。
     但し、この場合、借入申込金額、所要資金総額、資金使途並びに担保については個人別明細表を添付提出させなければならない。
3.貸付の審査及び決定
 (1) (個人貸付の審査)個人貸付の審査の方法は、申込者の居住地或いは経営地において面接審査する現地聴取審査を原則とする。
     但し、申込者の居住地或いは経営地が遠隔地で、かつ申込金額が少額である場合等で、支部長が特に認める場合に限り、書類審査をもって現地実査に代えることができる。
 (2) (個人グループ貸付の審査)個人グループ貸付の審査の方法は、個人貸付の審査の方法に準ずるものとし、原則として審査調書は個人別に作成する。
     但し、必要に応じ調書の内容を一覧表に総括することは差し支えない。
 (3) (団体貸付の審査)団体貸付の審査の方法は書類審査及び現地実査とし、原則として下記順序に従って行なうものとする。
    ア.借入申込書並に同添付書類の整理
    イ.借入申込書並に同添付書類の検討(書類審査)
    ウ.借入申込者及び関係者との面接 }(現地実査)
    エ.借入申込者の事務所・事業所の現地実査
     但し、審査の方法は、借入申込者と当団との取引状態、借入申込資金の性格、担保その他の事情により、支部長の判断によって適宜変更し得るものとする。
 (4) (審査調書の作成)審査担当者は、借入申込書に基づき最終的に貸付可否を決定する資料として、審査結果を総括する審査調書を作成し、関係者と合議の上貸付稟議を起こさなければならない。
 (5) (審査についての注意事項)担保価額の査定は、原則として、担保物件評価額の80%以内とする。
 (6) (審査調書の様式)審査調書の様式は支部(又は国別)の実情に即して定めることとするが、その場合、
    ア.借入申込者並にその事業の融資対象としての適格性
    イ.借入金の償還能力
    ウ.借入金債務の保証能力
    を判定するに足る必要最小限の審査項目を具備しなければならない。
    (注)このような観点から一例として作成したのが様式4号(個人用調書)及び添付説明書(審査実施上の注意)並びに様式5号(団体用調書)であり、支部に於て様式並びに審査要領作成の際参考にされたい。
 (7) (貸付稟議)貸付稟議は所定の貸付稟議書(以下「稟議書」という。様式6号)に拠って行なうものとする。
     稟議書の「貸付要綱」は審査の結果、適当と認められる貸付条件を記載する。
     稟議書の「決定内容」は(9)の貸付可否の決定後、その結果及び理由を記載する。
     (注)稟議書「決定内容」の記載の例示
    ア.廃案
    イ.再審査
    ウ.貸付期間を2年に短縮の上決定
 (8)(稟議書添付書類)稟議書には次の書類を添付するものとする。
    ア.借入申込書及び所定の添付書類
    イ.審査調書
    ウ.その他審査に用いた資料
 (9) (貸付可否の決定)貸付可否の決定は、原則として責任者、融資担当者及びその他関係者による決定会議を経て行なう。
 (10) (貸付金額の決定)貸付金額の決定は、査定現地通貨金額を決定日の公認外国為替銀行米貨電信買レートにより換算した米貨額に拠り行なう。
     但し、伯国については、現地通貨に拠るものとする。
    (注1) 貸付決定ドル額換算に際しては、ドル未満切り上げとする。
    (注2) 現在、伯国以外の在外支部にっいては日本の外為法上の制約もあり、現地通貨による資金回転が不可能であり、1件貸付毎に本部からの貸付資金の送金を行なわざるを得ない実情にある。従って、現段階において現地通貨に拠る貸付決定を行なうことには、爾後の資金送金手続上或いは経理処理上種々の困難が予想されるので当面は従来の通り米貨に拠り貸付額を確定することとした。この場合、資金交付は貸付決定ドル額を売却して取得した現地通貨額の全額を資金交付日に貸付先に交付することによって完了し、それが契約に表示されるべき現地通貨額となる。(例;〇〇〇ドル相当現地通貨額〇〇〇ペソ)
     但し、これは将来において、現在の外為法上の制約が除かれた場合は、それに伴って当然変更を予定するものであり、その方向としては、貸付決定を現地通貨に拠り行ない、契約におけるドル基準条項の目的となるドル額は、貸付先に交付する貸付決定現地通貨額を交付日の上記レートにより換算確定するということになるであろう。
    (例;現地通貨額〇〇〇相当米貨〇〇〇ドル)
5.貸付の実行
 (1) (契約締結の準備)貸付決定の決裁があったときは、直ちに契約締結の準備を進めなければならない。
 (2) (申込者より徴求する書類)契約の締結にあたっては予め申込者等より次の書類を徴するものとする。
    ア 署名証明書(債務者、連帯保証人並びに担保提供者全員のもの)
    イ 担保物件に関する権利書類
    ウ 抵当権設定登記に関する委任状(第3者が担保を提供する場合)
    エ 保険金請求権に対する質権設定承諾書(担保物件に保険をかける場合)
    カ 公正証書作成に関する委任状(署名証明書徴求者全員)
    キ 法人保証又は法人担保提供の場合は理事会又は取締役会議事録(抄)
 (3) (契約の締結)契約の締結は、原則として担保権設定金銭消費貸借契約書正・副2通の作成をもってこれを行なうものとする。
     但し、支部長が必要と認める場合には、金銭消費貸借契約書と担保権設定契約書と二本立にしても差し支えない。
 (4) (個人グループ貸付の取扱)個人グループ貸付の形態をとる場合であっても、契約の締結は個人別に行なうものとする。
 (5) (特約条項)契約にあたっては、下記事項を特約し契約書に明記するものとする。
    ア 弁済充当順序の指定権は事業団にあること。
    イ 利息の計算は原則として貸付資金の交付日から起算する年利計算とするが一年に満たない期間については、一年を365日(伯国の場合のみ360日)として経過日数に応じて日割計算を行なうこと。
    ウ 利払の方法は経過分後払とすること。
    エ 延滞損害金は、伯国を除き年利14.6%の割合で延滞元本について徴求すること。
      但し、最終期限後は、延滞元利額について同じ割合で徴求すること。なお、伯国に於ては、現地法制に従うものとする。
    オ 債務者が契約に定められた義務の履行を怠った場合は直ちに当該契約による利益及び期限の利益を失い直ちに全債務を完済する責を負うこと。
    カ 債務者は、本契約による債務を履行しないときは、催告を要せず直ちに強制執行を受けても異議ないことを確認すること。
 (6) (私署証書)契約書は、団体貸付契約或いは抵当権付契約の場合を除き、かっ支部長が債権保全上特に必要を認めない時は、私署証書で足るものとする。但し、債権保全上必要が生じた場合は、支部長は遅滞なく契約書の公正手続を行なわなければならない。
 (7) (登記等の手続)担保を徴求した場合は、抵当権或いは質権の設定登記その他第三者対抗要件を完備するために速やかに手続を行なわなければならない。
 (8) (将来取得する物件の担保)貸付後取得する物件につき担保提供が予約されているものについては、その取得日を特約し、同期日迄に当該物件につき抵当権或いは質権の設定契約を締結し、登記その他所要の手続を完了しなければならない。
 (9) (債務者に交付する書類)契約が締結され、登記その他の手続が完了した時は、債務者に次の書類を交付又は返却する。
    ア 担保権設定金銭消費貸借契約書副本
    イ 契約締結にあたって預っていた権利証その他の書類
 (10) (契約書等の保管)契約書正本その他の一件書類は支部でこれを保管する。但し必要ある場合は、写本を作成し事業所又は駐在員事務所で保有する。
 (11) (資金送金の申請)貸付が決定し、資金交付の準備が完了した時は、支部長は本部に対し文書又は電信によって貸付資金の送金を申請する。
     但し、伯国についてはこの限りではない。
 (12) (資金の交付)資金の交付は、契約が締結され、原則としてすべての現存担保物件について登記その他第三者対抗要件を完備するための手続が完了した時に、契約地において、契約の趣旨に従って行なうものとする。
     但し、上記第三者対抗要件を完備することは確実であるが、貸付先の責に帰し得ない理由で手続が遅延している場合は、支部長の裁量により手続完了前に資金を交付することができる。
     資金の交付に際しては、貸付先の発行する領収書を徴さねばならない。
6.補助簿の作成
 (1) (補助簿の作成)支部長は支部の貸付事務を統括し、爾後の債権管理を容易にするために次に定める補助簿を作成するものとする。
    ア 借入申込処理簿(様式7号)
    イ 貸付金元帳(様式8号)
    ウ 貸付金期日帳(様式9号)
    工 貸付金記入帳(様式10号)
    オ 延滞処理カード(様式11号)
 (2) (金額の表示)(1)(補助簿の作成)に定める補助簿の金額の表示は、伯国を除きすべて米貨に拠るものとする。
     但し、伯国については伯貨に拠るものとする。
 (3) (借入申込処理簿)申込書を受理した場合には、借入申込処理簿に記入し、爾後の処理過程を明らかにしておかねばならない。
 (4) (借入申込処理簿の区分)借入申込処理簿は、通常農業融資、災害融資並びにその他の融資に区分し、更に通常農業融資にっいては設備資金及び長期運転資金並びに短期運転資金に区別して整理することとする。
 (5) (貸付金元帳)貸付金元帳は貸付先別元帳とし、契約締結後直ちにその都度新しく作成するものとする。
 (6) (個人グループ貸付の取扱)個人グループ貸付の貸付金元帳は個人別に作成し、かつ同一様式によりその集計表を作成する。
 (7) (貸付金元帳の管理・保管)貸付金元帳は、個人貸付、団体貸付毎に通常農業融資、災害融資並びにその他の融資に区分し、更に通常農業融資については設備資金及び長期運転資金並に短期運転資金に区分して管理・保管する。
 (8) (貸付金期日帳)貸付金期日帳は貸付金元帳作成後直ちにその償還表に基いて作成する。
 (9) (期日帳の作成)期日帳は月別に、(4)(借入申込処理簿の区分)に準じて区分し、作成する。
 (10) (期限前回収に対する措置)期限前回収のあった場合は、直ちに爾後の期日元本或いは期日利息を算出し、その旨備考欄に注記の上、期日帳金額を修正し、新期日元本或いは新期日利息の金額を記帳しなければならない。
     (注) 期限前回収金の充当順序については「貸付金債権管理要綱実施についての注意事項」2の(2)のク参照。
 (11) (貸付条件の変更或いは支払猶予に対する措置)貸付条件の変更或いは支払い猶予の措置が取られた場合には、直ちにその旨備考欄に注記の上期日帳を修正しなければならない。
 (12) (貸付金記入帳)貸付金記入帳は、貸付金並びに回収金をその発生の日付順に記入して整理するものとする。
 (13) (貸付金記入帳の記入)貸付金記入帳の記入は、貸付或いは回収の行なわれたたびに貸付金元帳より転記するものとし、毎月末に締め切らねばならない。
 (14) (貸付金記入帳の作成)貸付金記入帳は貸付金元帳の管理・保管区分に準じて区分し作成する。
 (15) (利息、延滞損害金、その他の帳簿整理)利息、延滞損害金その他の融資業務にかかる収入又は支出についても、貸付金記入帳様式を準用して、その記入整理の仕方に準じて整理しなければならない。
 (16) (延滞処理カード)支払期日迄に返済が行なわれず延滞となった元利金については、直ちに必要事項を期日帳に注記の上、その都度新規に延滞処理カードを作成し、別途管理するものとする。
     (注) 延滞処理カードの記入の仕方については、様式添付の記入例参照のこと。
 (17) (延滞処理カードの管理・保管)延滞処理カードは、貸付先毎に区分し、(9)(貸付金元帳の管理・保管)に準じて管理・保管する。
 (18) (管理債権)最終期限到来後一年を経過してもなお延滞となっている元金又は利息のある場合には、当該債権を管理債権として、延滞処理カードを貸付先、貸付番号毎に一括し、貸付金元帳と共に別途整理して管理する。
 (19) (その他の補助簿)(1)(補助簿の作成)に於て定められた補助簿の外、支部長は債権管理要綱に定める所定の本部報告を容易ならしめるために報告書様式に応じて必要な補助簿を作成しなければならない。
 (20) (補助簿の管理・保管)補助簿の管理・保管は原則として支部で統括して行なうものとする。
      但し、貸付金元帳、延滞処理カードについては、その写を必らず貸付先を直接管轄する事業所或いは駐在員事務所に於ても保管しなければならない。
付則
 この要領は、昭和41年8月1日から施行する。


別紙三

海外移住者農林水産業貸付基準
(昭和57年3月23日
国協達第7号)
改正 昭和59年3月30日国協達第13号 平成3年7月30日国協達第37号
(趣旨)
第1条 国際協力事業団業務方法書(昭和49年規程第3号)第50条に規定する移住者又はその団体に対する貸付けのうち、農業、林業、畜産業若しくは水産業(以下「農業等」という。)を営む移住者又はその団体に対する当該事業に必要な資金の貸付け(以下「貸付け」という。)については、国際協力事業団の海外移住に係る資金の貸付けに関する業務方法書細則(昭和57年国協達第5号)に定めるところによるほか、この基準の定めるところによる。
 (貸付けの相手方)
第2条 この基準により行う貸付けの相手方は、次の各号に掲げる移住者又はその団体とする。
 (1) 農業等の自営者であって、未だ安定した経営の段階に達していないもの又は借地農若しくは分益農であって自営者として独立しようとするもの
 (2) 主として前号に定める移住者により構成された法定の農業協同組合等若しくは信用組合又はその連合体(以下「組合等」という。)
(貸付資金の種類)
第3条 貸付資金の種類は、設備資金及び長期運転資金とする。
(移住者に対する貸付資金の使途)
第4条 移住者に対し貸付ける資金の使途は、次の各号に掲げるとおりとする。
 (1) 自営者として独立するために必要な土地の購入資金
 (2) 経営拡張に必要な土地の購入資金
 (3) 土地の造成及び開墾に必要な資金
 (4) 灌漑、排水施設資金
 (5) 道路造成資金
 (6) 永年作物の管理資金
 (7) 家畜の購入及び飼育資金
 (8) 水産養殖事業に必要な資金
 (9) 牧野の造成及び管理資金
 (10) 植林及び管理資金
 (11) 生産用機械機具及び交通運搬機具購入資金
 (12) 農業等加工施設資金
 (13) 家屋、農舎、畜舎、養魚場、車庫、修理場等の建設資金
 (14) その他経営に必要な設備資金及び長期運転資金
(移住者に対する貸付金残高の限度)
第5条 移住者に対する貸付金残高の限度は、一貸付先につき設備資金及び長期運転資金を合わせて2,400万円相当額とする。ただし、前条第1号及び第2号に掲げる資金については貸付金残高の限度を2,400万円相当額、第11号に掲げる資金については貸付金残高の限度を1,600万円相当額、第3号から第9号まで及び第12号から第14号までに掲げる資金については貸付金残高の限度を1,000万円相当額、第10号に掲げる資金については貸付金残高の限度を800万円相当額とすることができるものとし、第1号又は第2号に掲げる資金と第3号から第14号までに掲げる資金を合わせて貸付ける場合の貸付金残高の限度は2,400万円相当額、第1号及び第2号を除く資金を合わせて貸付ける場合の貸付金残高の限度は1,600万円相当額とすることができるものとする。
(移住者の団体に対する貸付資金の使途)
第6条 移住者の団体に対し貸付ける資金の使途は、次の各号に掲げるとおりとする。
 (1) 設備資金
組合等の定款に定められた事業に必要な設備資金
 (2) 長期運転資金
前号の事業に必要な長期運転資金
(移住者の団体に対する貸付金残高の限度)
第7条 移住者の団体に対する貸付金残高の限度は、前条第1号及び第2号に掲げる資金を合わせて160万円相当額(ただし、植林事業に必要な資金については50万円相当額)にそれぞれ出資者数を乗じて得た金額(連合体の場合にあっては、加盟組合等の出資者の総数を算定の基礎として得た金額)とし、一貸付先に対し2億円相当額(ただし、植林事業に必要な資金については7,000万円相当額)を
超えてはならない。
(貸付金額)
第8条 貸付金額は、貸付けの相手方の事業計画、資金計画、自己資金調達能力等を勘案し、必要と認められる金額の範囲内に止めるものとする。
(自己資金の調達)
第9条 国際協力事業団は、貸付けの相手方に対し、原則として、所要資金の2割は自己資金で調達させるものとする。
(債権肩代わりの禁止)
第10条 資金の貸付けは、原則として、貸付けの相手方の既往債務肩代わりを目的とするものであってはならない。
(貸付けの方法)
第11条 資金の貸付けは、原則として証書貸付とし、必要に応じ、手形貸付の方法により行うことができる。
(貸付通貨)
第12条 貸付契約は、現地通貨表示とし、米貨基準条項(ドルスライド条項)を付するものとする。ただし、これによることが困難な場合は、適当な措置を講じ、為替変動による差損負担を防止するものとする。
(貸付金利率)
第13条 貸付金の利率は、年率4%とする。
(貸付けの期間及び償還方法)
第14条 貸付けの期間及び償還方法は、資金の使途、貸付けの相手方の償還能力等を勘案し、次の各号に掲げる範囲内で定める。
 (1) 第4条第1号及び第2号に掲げる資金の貸付けについては、15年以内の分割償還又は一括償還とし、分割償還による場合は、9年以内の据置期間を設けることができる。
 (2) 第4条第3号から第9号まで及び第11号から第14号までに掲げる資金並びに第6条に掲げる資金(ただし、植林事業に必要な資金を除く。)の貸付けについては、9年以内の分割償還又は一括償還とし、分割償還による場合は、5年以内の据置期間を設けることができる。
 (3) 第4条第10号に掲げる資金及び第6条に掲げる資金のうち、植林事業に必要な資金の貸付けについては、20年以内の分割償還又は一括償還とし、分割償還による場合は、10年以内の据置期間を設けることができる。
(延滞損害金)
第15条 貸付元利金の延滞に対しては、年率14.6%の延滞損害金を徴するものとする。ただし、天災等の不可抗力その他情状を酌量すべき特別の事由があるときは、その一部又は全部を減免することができる。
(担保及び保証人)
第16条 貸付けを行うに当たっては、物的担保を徴求し、かつ、保証人を立てさせるものとする。ただし、相当の理由があるときは、物的担保又は保証人のいずれかの設定を免除することができる。
2 貸付金の担保として徴求する物件は、債務者、保証人、又は第三者が提供する土地、建物、在庫品、永年作物、収穫物、植付け中の予想収穫物等の動産、不動産その他適当な財産及び貸付けた資金により取得される物件とする。ただし、担保のない場合又は不足する場合は、次の各号に掲げる措置をとることによって貸付けを行うことができる。
 (1) 土地を購入する場合であって将来当該土地の所有権を取得することが確実であると認められるときは、これを取得後、直ちにその土地に抵当権を設定することを条件とする。
 (2) 永年作物又は植林の将来価値を担保価値に織込んで評価しうるものとする。
3 貸付金の保証は、保証能力ある個人又は法人の連帯保証とする。ただし、貸付けの相手方が法人の場合は、事情により役員全員及び出資者の全員又は一部の連帯保証にて足りるものとする。
(天災等緊急時の特例)
第17条 豪雨、降霜、降ひょう、洪水、低温、干ばつ、野火、病虫害等に基づく天災又は動乱、暴動等の事変により直接経営上重大な被害を受けた移住者の経営復旧のため、資金の貸付けが緊急不可欠と認められる場合は、第4条、第5条及び第9条の規定にかかわらず一貸付先につき300万円相当額を超えない範囲で次の各号に掲げる資金を第14条を準用して貸付けることができる。
 (1) 耕地の整地並びに灌漑、排水施設等の捕修資金
 (2) 種苗、農薬、肥料等の購入その他作物(植林を含む。)の再植付け及び管理に必要な資金
 (3) 家畜及び飼料の購入に必要な資金
 (4) 家屋、農舎、畜舎、養魚場及び生産用機械機具の補修資金
 (5) その他経営復旧に必要な資金
 (その他)
第18条 この基準に定めるもののほか、農業等貸付けに必要な事項は、別に定める。
附則
 この達は、昭和57年3月23日から施行する。
附則(昭和59年3月30日国協達第13号)
 この達は、昭和59年4月1日から施行する。
附則(平成3年7月30日国協達第37号)
 この達は、平成3年9月1日から施行する。


別紙四

海外移住者小工業貸付基準
(平成3年7月30日
国協達第38号)

(趣旨)
第1条 国際協力事業団業務方法書(昭和49年規程第3号)第50条に規定する移住者又はその団体に対する貸付けのうち、独立して小工業、商業その他の事業を営む移住者に対し、現地の金融制度上事業資金の調達が不十分と認められる場合において、補完的に資金の援助を行うことにより、その経営の安定を促進することを目的として行う小工業等融資の貸付けについては、国際協力事業団の海外移住に係る資金の貸付けに関する業務方法書細則(昭和57年国協達第5号)に定めるところによるほか、この基準の定めるところによる。
(貸付けの相手方)
第2条 貸付けの相手方は、次の各号に掲げる移住者又はその団体とする。
 (1) 移住先国の製造業等の発展に寄与する別表に掲げる事業を営み未だ安定した経営の段階に達していない移住者又は営もうとする移住者のうち、適切な事業計画があり、事業の進展が確実であると認められ、現地金融機関より十分な資金調達が困難なもの(以下「移住者」という。)
 (2) 主として前号に定める移住者により構成された法人(以下「法人」という。)
(貸付金の種類)
第3条 貸付金の種類は、設備資金及び長期運転資金とする。
(貸付金残高の限度)
第4条 移住者及び法人に対する貸付金残高の限度は、一貸付先につき1,000万円相当額とする。
(自己資金の調達)
第5条 貸付けの相手方は、所要資金総額の2割以上を自己資金で賄わなければならない。
(債権肩代わりの禁止)
第6条 資金の貸付けは、原則として、貸付けの相手方の既往債務肩代わりを目的とするものであってはならない。
(貸付けの方法)
第7条 資金の貸付けは、原則として証書貸付とし、必要に応じ、手形貸付の方法により行うことができる。
(貸付通貨)
第8条 貸付契約は現地通貨表示とし、米貨基準条項(ドル・スライド条項)を付すものとする。ただし、これによることが困難な場合は、適当な措置を講じ、為替変動による差損負担を防止するものとする。
(貸付金利率)
第9条 貸付金利率は、年率4%とする。
(貸付けの期間及び償還方法)
第10条 貸付けの期間及び償還方法は、資金の使途、貸付けの相手方の償還能力等を勘案し、10年以内の分割償還又は一括償還とし、分割償還による場合は,4年以内の据置期間を設けることができる。
(延滞損害金)
第11条 貸付元利金の延滞に対しては、年率14.6%の延滞損害金を徴するものとする。ただし、天災等の不可抗力その他情状を酌量すべき特別の理由があるときは、その一部又は全部を減免することができる。
(担保及び保証人)
第12条 貸付けを行うに当たっては、物的担保を徴求し、かつ、保証人を立てさせるものとする。ただし、相当の理由があるときは、物的担保又は保証人のいずれかの設定を免除することができる。
 2 保証人は、原則として連帯保証人とする。
 3 担保掛目は、評価額に対し6割以下とする。
(商業貸付の制限)
第13条 商業分野に対する貸付けに当たっては、移住先国の社会情勢等を勘案のうえ地域住民又は業界との摩擦、過当競争等を惹起しないよう留意しなければならない。
附則
 この達は、平成3年9月1日から施行する。


別表 海外移住者小工業融資対象業種リスト

別表 海外移住者小工業融資対象業種リスト

別表 海外移住者小工業融資対象業種リスト




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