衆議院

メインへスキップ



答弁本文情報

経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成十一年四月二十七日受領
答弁第二五号

  内閣衆質一四五第二五号
    平成十一年四月二十七日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員保坂展人君提出身内に甘い法務・検察の調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出身内に甘い法務・検察の調査に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 御指摘の国家公務員の出張に伴う経費を含め、予算を執行するに当たっては、それが公費で賄われていることを認識し、いやしくも関係法令に違反することのないよう、これまでも徹底を図ってきたところである。

一の(2)について

 国家公務員は、本来、旅行命令に従って旅行すべきであるが、私用を済ませるために、命令による旅行の初日の前日又は前々日に出発することの是非については、個々具体の例に応じて判断すべきことである。
 なお、平成七年から平成九年までの三年間で、旅費の精算に係る虚偽の公文書を作成したことを理由として国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)に基づく懲戒処分を受けた者はない。

一の(3)について

 民間企業に関する件については、お答えする立場にない。

二について

 国家公務員は、その職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を厳に慎み、公務に対する国民の信頼を確保することが必要である。
 このため、平成八年十二月十九日の事務次官等会議において、職員が関係業者等(当該職員の職務に利害関係のある業者、当該職員の地位等の客観的な事情から当該職員が事実上影響力を及ぼしうると考えられる他の職員の職務に利害関係のある業者等)との間で接待を受けること、会食をすること、遊技、旅行をすること等の規制を含む公務員倫理規程を各省庁が制定することを申し合わせた。
 各省庁においては、これに基づいて公務員倫理規程を制定し、その遵守を図っているところである。

三の(1)について

 法令上又は服務上問題となるべき事実があるか否かを決定するために必要かつ十分な調査を行うべきものと考える。

三の(2)について

 大蔵省における内部調査は、平成十年一月から同年四月までの間に、過去五年にさかのぽる民間金融機関等との間における会食等について、千五十名を超える者を対象者として行われた。調査においては、資料や調査対象者の記憶等の制約から、一件一件の事実関係を正確に調べることが困難であったため、調査対象者各人の調査期間中の行為全体を総合的に勘案して行き過ぎがあったかどうかを判断することにその主眼が置かれ、調査対象者との個人面談、諸資料間の相互確認、相手方民間金融機関等に対する問い合わせ等の方法により行われたものである。

三の(3)について

 則定氏本人及び関係者からの事情聴取を行うとともに必要な裏付け調査を行うなど、同氏に法令上又は服務上問題となるべき事実があるか否かを決定するために必要かつ十分な調査を行ったものと考える。

三の(4)について

 公務員の服務の具体的範囲については、国家公務員法に定められており、服務の宣誓(同法第九十七条)、法令及び上司の命令に従う義務(同法第九十八条第一項)、争議行為等の禁止(同法第九十八条第二項)、信用失墜行為の禁止(同法第九十九条)、秘密を守る義務(同法第百条第一項)、職務に専念する義務(同法第百一条)、政治的行為の制限(同法第百二条)、営利企業の役員等との兼業の制限(同法第百三条第一項)、営利企業への就職の制限(同法第百三条第二項)、他の事業又は事務の関与制限(同法第百四条)がある。

三の(5)について

 今回の検察官の不祥事に関する調査と三の(2)についてで述べた大蔵省の内部調査とでは、その方法について基本的に異なるところはないが、今回の調査は、問題とすべき行動があったと指摘されている特定の個人を対象とし、法令上又は服務上問題となるべき事実があるか否かを決定することを目的とするものであるのに対して、大蔵省の内部調査は、千五十名を超える者を対象とし、過去五年にさかのぼる民間金融機関等との間における会食等について、行き過ぎがあったかどうかを判断することを目的としたものである。

三の(6)について

 事件捜査と不祥事に関する調査は、いずれも厳正に行われることが求められているが、事件捜査は、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するために、時には、被疑者の身柄を拘束したり、住居等を捜索し、証拠物等を押収するなどの強制権限を行使して実施するものであるのに対して、不祥事に関する調査は、法令上又は服務上問題となるべき事実があるか否かを決定するために、あくまでも関係者の任意の協力を得て行うものであり、両者は、その目的及び手段において異なる。

三の(7)について

 則定氏本人及び関係者からの事情聴取を行うとともに、銀行口座や帳簿類の確認等の必要な裏付け調査を行った上で、結論を導き出した。

三の(8)について

 御指摘の民間業者は、法務省職員倫理規程(平成八年法務省人訓第二千九百八十三号大臣訓令)にいう「関係業者等」ではなく、則定氏が同民間業者と御指摘のクラブで同席したことは、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、本来お答えする立場にないが、同民間業者との交際に疑念を持たれていることにかんがみ、あえてお答えするならば、三回程度であり、則定氏は、その飲食費用につき応分の負担をしていた。

三の(9)について

 則定氏は、御指摘の女性に対し、平成六年十月ころ、二回にわたり、最初は小切手で五十万円、次は現金三十万円の合計八十万円を渡している。その趣旨については、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

三の(10)について

 御指摘の民間業者は、則定氏が交際していた女性に三十万円を渡したことがある。その趣旨については、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

三の(11)について

 則定氏と同僚の検事の集まりの際に、御指摘の民間業者が同席したことがある。飲食費用については、同席した者が応分の負担をした。
 その他の点については、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

三の(12)について

 東京地検の幹部や法務省の局長などになっている検事が則定氏や民間業者らと一緒に銀座のクラブで遊興したか否かは、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

四の(1)について

 新任の検事に対しては、社会正義の実現という重大な職責を担っている検察官は、公私ともに国民の疑いや批判を受けることのないよう、自らを律しなければならないことを教育しており、その中で本件にも言及することとしている。

四の(2)について

 職員に対し、各種会議等あらゆる機会をとらえて、綱紀の保持を指示するとともに、研修等においても綱紀の保持に関する講義を行っている。

四の(3)について

 国家公務員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を有し、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることが求められている。
 特に検事等検察官は、社会正義の実現という重大な職責を担っており、公私ともに国民の疑いや批判を受けることのないよう、自らを律しなければならないものと考える。

四の(4)について

 検察庁職員の個人的な考えについては、お答えする立場にない。

四の(5)について

 法務省の所掌事務の中には、司法制度に関する法令案並びに民事及び刑事に関する法令案の作成に関する事項、民事及び行政に関する争訟に関する事項、検察事務及び検察庁に関する事項等法律的知識及び経験を要するものが多く、これらの事務を適正に行うためには、法律専門家として検察官の実務経験を有する者から担当者を任用することは相当の理由がある。

四の(6)について

 御指摘のような事実はない。

四の(7)について

 御指摘のような事実については、承知していない。

四の(8)について

 個人の退職手当の額については、お答えを差し控えたい。
 また、過去十年間で自己都合により辞職した省庁局長級以上の幹部職員のうち、退職手当を辞退したケースとしては、平成十年に大蔵省の元証券局長が退職手当の一部(三割)を辞退した例がある。

四の(9)について

 則定氏は、当座預金口座を開設しており、同口座を利用して、御指摘の女性に小切手を振り出した事実はある。
 御指摘に係るその他の点については、個人のプライバシーにかかわる事項であるので、お答えする立場にない。

五の(1)について

 則定氏本人及び関係者からの事情聴取を行うとともに必要な裏付け調査を行うなど、同氏に法令上又は服務上問題となるべき事実があるか否かを決定するために必要かつ十分な調査を行ったと考える。
 調査の結果、同氏には、国家公務員法上の懲戒処分に付すべき事由は認められなかった。
 調査内容は、個人のプライバシーにかかわる事項を多く含むことから、その詳細については、お答えを差し控えたい。

五の(2)について

 法務省及び検察庁は、社会正義の実現という重大な職責を担っており、その職員は、国民の疑いや批判を受けることのないよう、自らを律しなければならないと考えている。
 改めて、検察官に対し、自己の重い責務に対する自覚と自戒を促してまいりたい。

五の(3)から(5)までについて

 最高検察庁が、平成十一年四月十一日の時点で、「職務上の不正はない」と結論付けたことはない。
 法務大臣官房長は、同月十二日の記者会見において、則定氏が自己の負担で飲食店の女性従業員に八十万円を支払った事実等を具体的に説明した上で、同氏に国家公務員法上の懲戒処分に付すべき事実がなかったことを発表したものである。

五の(6)について

 堀口次長検事が、新聞の報道に関し、謀略の感がある旨発言した事実はあるが、本人は、全く不適切な表現であったとして、既にその発言を撤回している。
 法務省及び検察庁内部に派閥の対立や人事抗争はない。

五の(7)について

 堀口次長検事が、浮気が辞職の理由となるとすると、検事がこのような私事を過度に気にするようになって活力をそがれるとの趣旨から浮気に言及した事実はあるが、本人は、全く不適切な表現であったとして、既にその発言を撤回している。
 御指摘に係るその他の点については、承知していない。

五の(8)について

 則定前検事長の後任については、四月二十六日、村山弘義が就任したところである。





経過へ | 質問本文(HTML)へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.