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答弁本文情報

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平成十二年二月八日受領
答弁第二三号

  内閣衆質一四六第二三号
    平成十二年二月八日
内閣総理大臣 小渕恵三

         衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員山本孝史君提出偽造クレジットカード犯罪対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員山本孝史君提出偽造クレジットカード犯罪対策に関する質問に対する答弁書



一の(一)について

 金融監督庁、警察庁、法務省、大蔵省及び通商産業省においては、平成十一年十月、多数の国の金融機関等が加盟しているビザ・インターナショナルから、「日本において偽造カードの悪用による犯罪を防止するため、カード情報の窃取並びに偽造カードの作成、所持等の行為を直接規制するための法整備が早急になされること」等を求める要望を受けた。
 また、警察庁、法務省、外務省、大蔵省及び通商産業省においては、同月から同年十二月までの間に、多数の国の金融機関等が加盟しているマスターカード・インターナショナルから、「支払カード不正に関して必要な日本の法律を制定し、現在の法律を改定して最新のものにすること」等を求める要望を受けた。
 これらの要望に対する政府の回答は行っていない。

一の(二)について

 クレジットカードを含む各種支払カードの偽造等による被害の発生を防止するため、この問題に関する関係各省庁間の意見交換会を開催し、被害の実状や諸外国におけるこの問題に対する取組等の把握に努めるとともに、法整備を含めた所要の対策を講ずるための協議、検討を進めているところである。

二について

 各国の法規制についてすべては把握していないが、いわゆる偽造クレジットカードの作成及び使用については、アメリカ合衆国、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ及びイタリアにおいて処罰の対象とされていると承知している。偽造クレジットカードの所持については、アメリカ合衆国、カナダ、イギリス及びイタリアにおいて処罰の対象とされているが、ドイツにおいては、これが処罰の対象とされておらず、偽造クレジットカードの取得が処罰の対象とされていると承知している。クレジットカードの磁気ストライプ部分に記録されている電磁的情報(以下「カード情報」という。)の不正取得については、アメリカ合衆国においては、無権限のカード情報の所持が処罰の対象とされ、カナダにおいては、無権限のカード情報の所持、使用、取引等が処罰の対象とされていると承知している。
 我が国の現行法においても、偽造クレジットカードの作成については、有印私文書偽造罪(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百五十九条第一項及び第二項)又は私電磁的記録不正作出罪(同法第百六十一条の二第一項)として処罰の対象となり、偽造クレジットカードの使用については、偽造有印私文書行使罪(同法第百六十一条)又は不正作出私電磁的記録供用罪(同法第百六十一条の二第三項)として処罰の対象となり得る。しかし、カード情報の不正取得及び偽造クレジットカードの所持は、処罰の対象とされておらず、これらの行為に対する規制については、被害の実状等を十分に把握して、その必要性の有無について見極めた上、他の関連する規定との整合性、規制の対象とする支払力ードの種類及び行為の範囲等について、検討を進めてまいりたい。

三について

 現在、一部の保険会社が販売している保険商品には、デビットカード(「デビットカード」という新しいカードが発行される訳ではなく、預金者の保有するキャッシュカードをそのまま使って買物等の支払ができ、預金者の口座から支払代金が即座に引き落とされる。)が偽造されて使用された場合等にその損失を補てんすることを内容とする特約を付することができるものがあるが、これまでにそのような保険契約が締結されたという事実は承知していない。また、郵政省が発行しているデビットカードを使用した取引については、郵便振替法(昭和二十三年法律第六十号)が適用され、偽造カードが使用されて振替が行われた場合には、個々の事実関係に応じて国による損失補てんを行うか否かが判断されることとなり、民間の金融機関が発行しているデビットカードを使用した取引については、当該カードの利用方法等を定めたデビットカード取引規定のほか、キャッシュカード規定が適用されるところ、同規定においては、偽造カードが使用されて預金の払戻しが行われた場合に、預金者に帰責事由がないときは、民間の金融機関は免責を主張しないこともあり得る旨定められていると承知しており、預金者の損失が補てんされる場合もあり得ると考えている。
 個々の民間の金融機関が定めるキャッシュカード規定やデビットカード取引規定については、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等の法律上の認可事項ではなく、基本的には各金融機関の自主的な経営判断により決定されるべきものと考えているが、現在、郵政省、金融機関、流通企業等により構成される「日本デビットカード推進協議会」において、利用者保護の観点から、偽造力ードによる被害等に対応する保険商品について官民が連携して検討を進めるなど、利用者等が安心してデビットカードを使用した取引を行える環境整備に取り組んでいる。
 いずれにせよ、政府としては、デビットカードの偽造等による被害発生の防止や利用者保護の観点から、自ら主体的に取り組むことはもとより、金融機関等に対しても、不正防止策について注意を喚起するほか、カードの管理に何ら瑕疵のない利用者が被害にあった場合の補償方法等についても検討していくよう指導していく所存である。





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