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平成十二年一月二十八日受領
答弁第一号

  内閣衆質一四七第一号
  平成十二年一月二十八日
内閣総理大臣 小渕恵三

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員安倍基雄君提出特別公的管理下にある日本長期信用銀行をリップルウッド・ホールディングス社を中心とする二ュー・LTCB・パートナーズ・CVに売却する件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員安倍基雄君提出特別公的管理下にある日本長期信用銀行をリップルウッド・ホールディングス社を中心とする二ュー・LTCB・パートナーズ・CVに売却する件に関する質問に対する答弁書



一について

 金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号。以下「法」という。)第五十二条において、金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、預金保険機構(以下「機構」という。)に特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分を行わせること等により特別公的管理を終えるものとする旨規定されていることに基づいて、金融再生委員会において、株式会社日本長期信用銀行(以下「長銀」という。)のニュー・LTCB・パートナーズ・CV(以下「パートナーズ」という。)への譲渡を検討しているところであるが、法令上、株式の譲渡等に係る決定は、閣議決定を経るべきもの又は国会の承認を得るべきものとはされていないこと等から、金融再生委員会の判断と責任において行うことができるものと考えている。

二について

 長銀は、平成十一年三月期決算において、債務超過相当額を資産の部の特別公的管理勘定として約二・八兆円計上している。当該決算は、長銀が商法(明治三十二年法律第四十八号)等に基づいて作成し、監査法人による監査等を経たものであり、ここに計上されている債務超過相当額は、法令等に基づく適正な経理により算定されたものであると考えている。
 金融再生委員会が長銀のおおよその債務超過相当額として明らかにしている約三・六兆円については、長銀の保有する資産として適当でないと金融再生委員会が判定した資産の一部を長銀が平成十一年八月十六日に株式会社整理回収機構に売却した際に、同年三月期決算時の損失見込額と比較して約○・八兆円の追加損失が生じると見込まれたことから、前記の約二・八兆円にこの約○・八兆円を加えて算出したものである。

三について

 平成十一年十二月二十四日に機構、長銀及びパートナーズの間で締結された長銀の譲渡に係る基本合意書(以下「基本合意書」という。)においては、現在機構が保有している長銀の発行済みの普通株式(以下「既存普通株式」という。)をパートナーズに譲渡する日の前日の貸借対照表を企業会計原則等に基づき作成し、債務超過相当額を算定することとされている。長銀が保有する株式については、特別公的管理終了前に、その一部を売却して含み損益を実現させ、長銀の債務超過相当額に織り込むことが予定されているが、パートナーズの要望を踏まえ、株式含み益のうち二千五百億円相当分については、特別公的管理終了後に、必要な株式を売却することにより実現することとされており、これにより長銀の自己資本の充実が図られることとなる。
 他方、基本合意書においては、国民負担軽減の観点から、現在機構が保有している長銀の発行済みの優先株式(以下「既存優先株式」という。)の一部を引き続き機構が保有することとしたところであり、将来、この株式の価値が増大した場合に当該株式の売却により相応のキャピタルゲインを実現し得るものと考えている。

四について

 基本合意書における長銀の譲渡に係る枠組みにおいては、パートナーズは、既存普通株式二十四億千七百七万五千株を対価十億円で取得するとともに長銀の新規発行普通株式三億株を千二百億円で引き受けること等により、合計約二十七億千七百七万五千株の普通株式を保有することとなる。
 他方、機構においては、既存優先株式一億株のうち、二千五百四十七万二千株を消却し、残りの七千四百五十二万八千株を引き続き保有することとなり、また、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百四十三号)に基づき、六億株の新規発行優先株式を二千四百億円で引き受けることとなる。既存優先株式の転換により発行される普通株式は、七千四百五十二万八千株の既存優先株式の発行価額の総額九百六十八億八千六百四十万円を現在の転換価格百八十円で除した約五億三千八百二十五万八千株となる。また、新規発行優先株式の転換により発行される普通株式の最大数は、当該優先株式の発行価額の総額二千四百億円を最低転換価格三百円で除した八億株となる。
 この結果、優先株式の転換により発行される普通株式を含め、機構が保有することとなる普通株式の最大数は約十三億三千八百二十五万八千株となり、パートナーズが保有する普通株式約二十七億千七百七万五千株との合計株式数約四十億五千五百三十三万三千株に占めるその割合は約三十三パーセントとなる。これは、経営の自主性を確保するため普通株式への転換後の機構の株式保有割合を限定すべきであるとのパートナーズの要望を踏まえたものであり、また、既存普通株式及び既存優先株式のうち、既存優先株式を機構が継続して保有することとしたのは、民間金融機関の経営への介入を極力差し控えるべきであるとの考え方によるものである。
 なお、約二十四億株の既存普通株式の対価が十億円であるのはあまりに安すぎるのではないかとの趣旨の御指摘と考えるが、既存普通株式の対価も含め譲受けを希望する者の提案内容を比較、検討した結果、法第三条に規定する破綻処理に係る費用が最小となるようにすることとの原則(以下「破綻処理費用の最小化原則」という。)に照らし、パートナーズの提案が他の者の提案に比してより優位にあると判断したものである。

五の1について

 特別公的管理という特異な状況の下で長銀の抜本的な収益改善を図ることには困難な面があるが、法第四十五条の規定に基づき金融再生委員会の指名により機構が選任した長銀の現在の経営陣は、破綻処理費用の最小化原則等を踏まえつつ、法第四十七条及び第四十八条の規定に基づき長銀が作成し、金融再生委員会が承認した経営合理化計画や業務運営基準に沿って適切に対応しているものと承知している。
 長銀の譲渡については、法第五十二条において、金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、機構に特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分を行わせること等により特別公的管理を終えるものとする旨規定されていること、また、破綻処理費用の最小化原則に基づき、長銀の資産価値の下落等による国民負担の増大を極力回避する必要があること等を踏まえ、預金者等の保護、信用秩序の維持等を図る観点から、できる限り早期に長銀に係る特別公的管理を終了することが適当であると考えている。
 政府としては、法第七十二条第二項等の規定に基づき、預金者等の保護、信用秩序の維持等を図る観点から、金融債に係る債権は全額保護すべきものと考えている。

五の2について

 法第四十五条の規定に基づき金融再生委員会の指名により機構が選任した長銀の現在の経営陣は、破綻処理費用の最小化原則等を踏まえつつ、法第四十七条及び第四十八条の規定に基づき長銀が作成し、金融再生委員会が承認した経営合理化計画や業務運営基準に沿って適切に対応しているものと承知しており、特別公的管理の下でやむを得ず生じる長銀に係る種々の資産価値の下落等について責任を負うべき立場にはないと考えている。
 また、金融再生委員会においては、今後とも、長銀の経営状況を適切に把握し、必要な対応を行ってまいりたい。

六について

 パートナーズは、金融債の発行を認められていること等の長銀の特質を十分勘案した上で、長銀の買収に係る諸条件を提案してきたものと承知している。

七について

 一般的に、業況回復等により長銀に利益が生じた場合には、株主である機構及びパートナーズがその利益の相当程度を受けることとなると考えられる。
 また、基本合意書における長銀の譲渡に係る枠組みにおいては、長銀の保有株式の大部分は短期間のうちに機構に対し、又は市場で売却されることとなっており、機構が取得した株式に係る株価が上昇した場合、機構が当該株式に係る含み益を有することとなる。
 長銀の譲渡に係る枠組みにおいて、将来、国がどの程度の利益を受けることとなるかを予見することは困難であるが、既存優先株式のうち機構が留保した部分に関しては、相当程度のキャピタルゲインを実現し得るものと考えている。

八について

 日本政策投資銀行の発足や財投機関債の発行が、長期信用銀行にどのような影響を及ぼすのかについては、現時点で評価することは困難である。
 法第五十二条において、金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、機構に特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分を行わせること等により特別公的管理を終えるものとする旨規定されていること、また、破綻処理費用の最小化原則に基づき長銀の資産価値の下落等による国民負担の増大を極力回避する必要があること等から、できる限り早期に長銀に係る特別公的管理を終了することが適当であると考えている。

九について

 長銀の譲渡については、法第五十二条において、金融再生委員会は、平成十三年三月三十一日までに、機構に特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分を行わせること等により特別公的管理を終えるものとする旨規定されていること、また、破綻処理費用の最小化原則に基づき、長銀の資産価値の下落等による国民負担の増大を極力回避する必要があること等を踏まえ、預金者等の保護、信用秩序の維持等を図る観点から、できる限り早期に長銀に係る特別公的管理を終了することが適当であると考えている。

十について

 御指摘の「債権を整理する」が何を指すか明らかではないが、基本合意書における長銀の譲渡に係る枠組みにおいては、特別公的管理終了後三年間、長銀は、貸出関連資産についていわゆる瑕疵担保方式により軽減されるリスク以外のリスクを負うこととされているところであり、また、特別公的管理終了後三年間が経過した後においては、我が国における一民間金融機関として通常のリスクを負うこととなるものと考えている。

十一について

 株式会社日本債券信用銀行(以下「日債銀」という。)の譲渡については、現在、譲受けを希望する複数の金融機関等から提示された買収条件等に関して、逐次金融再生委員会において検討を行っているところであり、いかなる条件で日債銀を売却するかについて現時点でお答えすることは困難である。

十二について

 金融国会といわれた一昨年夏の第百四十三回国会での真剣な討議を経て成立した法の下で長銀の早期譲渡を実現することは、我が国の金融システムの安定及びその再生を図るため、また、我が国の金融システムに対する内外の信頼を回復するために極めて重要であると考えている。
 このため、できる限り早期に長銀に係る特別公的管理を終了するよう、現在、金融再生委員会及び機構において、基本合意書を踏まえ、長銀の譲渡に係る最終契約の締結に向けてパートナーズとの交渉が進められているところである。





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