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答弁本文情報

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平成十二年三月十四日受領
答弁第五号

  内閣衆質一四七第五号
  平成十二年三月十四日
内閣総理大臣 小渕恵三

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員坂上富男君提出新潟県警・女性長期監禁事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員坂上富男君提出新潟県警・女性長期監禁事件に関する質問に対する答弁書



一について

 新潟県警察においては、御指摘の女性(以下「被害者」という。)の所在不明を認知した後、犯罪及び事故の両方の可能性を念頭に置き、三条警察署に署長を本部長とする百七名体制の「女子小学生所在不明事案対策本部」(以下「対策本部」という。)を設置して、捜査及び発見活動に取り組んだものであり、十分な人員を投入して対応したものと承知している。

二について

 新潟県警察においては、年少者に対する略取及び誘拐、わいせつ行為等の犯罪を再び行うおそれのある者について、犯罪手口資料の活用及び県内全警察署の保有する捜査情報の集約により、捜査すべき者を把握の上、必要な捜査を行ったものと承知している。

三について

 本年二月十一日に本件未成年者略取及び逮捕監禁致傷事件の被疑者として逮捕され、同年三月三日に起訴された男性(以下「被告人」という。)は、被害者が発見される前には、新潟県警察において、捜査すべき者として把握されていなかったものと承知している。
 被害者が所在不明となった当時、被告人の犯罪経歴に関する情報は電子計算機に入力されていたが、犯罪手口資料が電子計算機に入力されていなかったことは事実である。

四について

 御質問の「変質者」の意義が必ずしも明らかではないが、新潟県警察においては、犯罪捜査のために必要な限度で、犯罪経歴に関する情報、犯罪手口資料等を電子計算機等を用いて管理し、捜査すべき者の把握等に活用しているものと承知している。

五について

 新潟県警察においては、被害者の所在不明を認知した直後から、刑事部門及び生活安全部門を中心に関係各部門が協力して捜査及び発見活動に取り組んでおり、三条警察署に置かれた対策本部も、県内の他の警察署と連携を図っていたものと承知している。

六について

 新潟県警察において、職務上知り合った女性に対して警察官としてふさわしくない行為があったという事案について、当該警察官に対して必要な調査を行った際、被害者が所在不明となっていることとの関連の有無を念のために確認したという事実はあるが、当該警察官は無関係であると判明したものであり、この事実により捜査が鈍ったなどということはないものと承知している。

七について

 一般的に、保健所においては、被告人にあったとされるような家庭内での暴力及び引きこもりへの対応について、精神保健福祉相談として、心の健康相談、診療を受けるに当たっての相談等を受け付けており、その内容に応じ、病院その他の関係機関への紹介、医学的指導等を行っている。
 被告人の母親(以下「母親」という。)からの相談に対する保健所の対応については、新潟県に聴取したところ、
@ 平成八年一月十九日に新潟県柏崎保健所に母親が来所し、同保健所の職員が被告人の家庭内での暴力及び引きこもりについての相談を受けたこと
A 同職員が、被告人本人に対する訪問指導や電話での相談を母親に提案したが、母親の承諾を得られなかったこと
B 同職員が、さらに、同保健所における精神科医による相談を受けるよう提案したところ、日程の都合がつかなかったため、同保健所が紹介した病院に母親が相談することとなったこと
C 同月二十二日に同保健所が同病院に対して、母親が同病院に相談に行く旨の連絡を行ったこと
D 同月二十六日に同保健所が同病院から、母親が同月二十四日に同病院に相談に行ったことを電話で確認したこと 等の報告を受けた。
 また、同病院に聴取したところ、同日から被害者が発見救出された平成十二年一月までの四年間、母親が、被告人への対応を相談するために、月に一、二回程度、同病院を訪れていたとの報告を受けた。なお、新潟県からは、母親が同病院を訪れていた四年間に、同保健所に対する母親からの相談はなかったことも報告を受けた。
以上のことから判断すると、平成八年一月に同保健所が母親からの相談に対して行った一連の対応は、被害者の発見救出には結び付かなかったが、同保健所としては、母親に訪問指導等を受けるよう提案し、その提案は受け入れられなかったものの、母親による病院への相談に結び付けることができたものであり、保健所が本来行うべき必要な業務が行われていたものと考える。

八について

 早期に犯人を検挙して被害者を発見救出できなかったことは非常に残念であり、警察においては、その原因を十分検証し、教訓となるべき事項を今後の捜査に生かしていくものと承知している。

九について

 登下校時を含む学校(小学校、中学校、中等教育学校、特殊教育諸学校、高等学校、高等専門学校又は幼稚園をいう。)又は保育所の管理下における児童、生徒等の災害については、日本体育・学校健康センター法(昭和六十年法律第九十二号)に基づく災害共済給付制度により、日本体育・学校健康センター(以下「センター」という。)が、当該児童、生徒等の保護者等に対し、医療費、障害見舞金又は死亡見舞金を支給する業務を行っている。
 本件による被害について、センターにおいて検討したところ、災害共済給付制度の対象となる災害に当たり得るとの見解であり、今後、新潟県三条市教育委員会又は被害者の保護者からの請求があれば、センターにおいて内容を審査の上、給付金の支払が行われることとなる。
 また、被害者が社会生活を送る上で、今後どのような教育上の支援が必要かについては、被害者の希望等を踏まえながら、新潟県教育委員会等と連携し、適切に対処してまいりたい。

十について

 前新潟県警察本部長が、長期にわたり被害者の発見救出に至らなかったという結果を重大に受け止めている旨及び発生当初からの取組の状況を十分に検証する旨の発言を行ったこと、さらに、現新潟県警察本部長が、犯罪手口資料の作成や対策本部への情報の報告がなされていれば、被告人を捜査すべき者として把握できていたと考えられる点について、ミスがあったと言わざるを得ないと考えている旨の発言を行ったことは承知している。
 本件に関する国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)上の責任については、事実関係の詳細を踏まえ、同法の規定に照らして適切に判断していくべきものと考えている。

十一について

 他にこのような長期にわたる監禁事件があったとは承知していない。





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