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平成十二年三月三十一日受領
答弁第一二号

  内閣衆質一四七第一二号
  平成十二年三月三十一日
内閣総理大臣 小渕恵三

       衆議院議長 伊(注)宗一郎 殿

衆議院議員濱田健一君提出米軍岩国基地滑走路の沖合移設事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員濱田健一君提出米軍岩国基地滑走路の沖合移設事業に関する質問に対する答弁書



一の1及び3から7まで並びに二の3及び4について

 (一) 岩国飛行場の滑走路を沖合へ千メートル程度移設する事業(以下「岩国沖合移設事業」という。)については、広島防衛施設局において、平成八年十一月二十八日、山口県知事から公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)に基づく埋立承認を得て、平成九年六月から工事に着手している。
    岩国沖合移設事業の計画地のうち南地区については、現在実施している敷地造成工事に引き続き飛行場施設等の整備を行うこととしており、現時点において、着手から十年程度で完了することを目途に工事を進めているところであり、同地区における工事の実施により、埋立部分の一部に存在する藻場は消滅することとなる。
    政府としては、このような埋立て等の事業の実施により、藻場及び干潟が消滅することとなる場合に、その回復のための措置を採ることは重要なことであると考えている。このため、広島防衛施設局において、同地区を含む岩国沖合移設事業の実施により消滅することとなる藻場及び干潟について、その回復を図ることとし、平成八年十一月十五日、学識経験者による「岩国飛行場藻場・干潟回復調査研究委員会」(以下「藻場等回復委員会」という。)を設置したところである。
    現在、岩国沖合移設事業の埋立承認の際の山口県知事の「専門家の指導、助言を得て、本埋立計画地周辺海域において、最大限、新たに藻場及び干潟の造成に努める」こととの意見も踏まえ、藻場等回復委員会において、岩国沖合移設事業に伴う藻場及び干潟の回復場所、範囲等の検討が進められているところであり、広島防衛施設局において、その検討結果を得て、最大限回復が可能となるよう、新たな藻場及び干潟の造成に努めることとしている。三の7についてで述べる岩国沖合移設事業の必要性を踏まえれば、これが現実的な選択であったと考えている。
    なお、藻場等回復委員会の検討結果が出るまで藻場及び干潟を埋める工程には入らないということになっているわけではなく、また、岩国沖合移設事業を凍結する考えはない。
 (二) 藻場及び干潟の機能を回復するための造成については、現在、各地でその事例が見られるなど、個々の環境に応じた実証的な調査及び研究が進められていると承知している。
    なお、現在、我が国において、ミティゲーションについて一般的に確立した考え方はないが、環境影響評価法(平成九年法律第八十一号)等に基づくミティゲーションの考え方は、環境保全措置の検討に当たっては、事業による環境への影響を回避し、又は低減することを優先するものとし、この検討結果を踏まえ、必要に応じ当該事業の実施により損なわれる環境要素と同種の環境要素を創出すること等により、損なわれる環境要素の持つ環境保全の観点からの価値を代償し、全体として環境への影響を低減するというものである。政府としては、ミティゲーションについては、環境保全という観点から重要なものであると認識している。

一の2について

 政府としては、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和四十八年法律第百十号)に基づき、瀬戸内海環境保全基本計画(昭和五十三年総理府告示第十一号)、化学的酸素要求量に係る総量削減基本方針(瀬戸内海)等を策定し、これらにより瀬戸内海の環境保全を図ってきたところである。
 その結果、化学的酸素要求量に係る環境基準の達成状況は、従前に比べ改善されたが、近年は横ばいに推移していることから、引き続き、その改善に努めていくこととしている。
 また、藻場及び干潟については、その消失速度は鈍化しつつあるものの、藻場は魚介類の産卵及び生育の場として、干潟は魚介類、鳥類等の生育及び生息の場として重要な役割を果たしており、引き続き、その保全に努めることとしている。

二の1及び2について

 御指摘のアスファルトマットの敷設面積約五千百平方メートルのうち、藻場部分の面積は約千五百平方メートル、アマモの株数は約十一万六千株と推定しており、これらアマモは消滅したものと考えている。
 なお、岩国沖合移設事業の実施により消滅することとなる藻場については、一の1及び3から7まで並びに二の3及び4についてで述べたとおり、藻場等回復委員会の検討結果を得て、岩国沖合移設事業の計画地周辺海域において、最大限回復が可能となるよう、新たな藻場の造成に努めることとしている。

三の1から3まで及び6について

 藻場等回復委員会の検討結果等については、報道機関の求めに応じ、審議の要旨を公表しているほか、第一回(平成八年十一月十五日)から第八回(平成十年七月八日)までの同委員会の取組及び検討結果を取りまとめ、岩国市基地対策課等において平成十年十一月二十六日から一か月間公開したところであり、これは、現在も広島防衛施設局において閲覧可能である。今後とも、同委員会の検討結果等の公開に努めてまいりたいと考えている。
 また、広島防衛施設局において、平成七年度に、学識経験者の助言を得て、岩国沖合移設事業の計画地に近接する同海域の水深零メートルから二メートルのアマモが生育していない裸地に、水ごけを主原料としたポットに入れて植え付ける方法等により、岩国飛行場地先海域において採取したアマモ四百五十株を移植し、平成八年二月以降、その活着状況についてモニタリング調査を実施しているところであり、今後とも同調査を継続し、アマモ場の回復措置に関する基礎資料とすることとしている。
 岩国沖合移設事業の実施により消滅することとなる藻場及び干潟については、一の1及び3から7まで並びに二の3及び4についてで述べたとおり、藻場等回復委員会の検討結果を得て、岩国沖合移設事業の計画地周辺海域において、最大限回復が可能となるよう、新たな藻場及び干潟の造成に努めることとしており、岩国沖合移設事業を停止又は凍結する考えはない。

三の4及び5について

 御指摘の環境監視報告書に記載している約四十五ヘクタールは平成九年十一月に、一方、岩国沖合移設事業に係る環境影響評価書に記載している約四十一ヘクタールは平成三年五月に、それぞれ撮影した航空写真を基に求めた数量であり、藻場の分布範囲については、経年又は季節により変動するものである。
 また、岩国沖合移設事業の北地区の工事開始時期については、現在実施している南地区の工事の進ちょく状況を踏まえつつ判断することとしている。
 岩国沖合移設事業の実施により消滅することとなる藻場及び干潟については、一の1及び3から7まで並びに二の3及び4についてで述べたとおり、藻場等回復委員会の検討結果を得て、岩国沖合移設事業の計画地周辺海域において、最大限回復が可能となるよう、新たな藻場及び干潟の造成に努めることとしている。

三の7について

 岩国飛行場の北側の進入表面下には工場群があり、アメリカ合衆国軍隊等は、航空機がこれを避けて飛行しなければならないため、運用上及び安全の確保上大きな制約を受けており、また、同飛行場には市街地が近接し、航空機による騒音問題が生じている。このような状況から、地元岩国市等の要望を受け、これらの問題を解決し、アメリカ合衆国軍隊の駐留を円滑にするとともに、岩国飛行場の安定的使用を図るため、岩国沖合移設事業を実施することとしたものである。

三の8について

 瀬戸内海における公有水面埋立法に基づく埋立承認に当たっては、関係府県知事は、瀬戸内海環境保全特別措置法第十三条第一項の規定により、瀬戸内海の特殊性につき十分配慮しなければならないこととされている。また、同項の運用に関する基本方針においては、埋立ては厳に抑制すべきであり、やむを得ず埋立てを認める場合においても環境保全に十分配慮することとされているところである。
 岩国沖合移設事業については、飛行場運用における安全確保上の問題や航空機騒音問題への対処、埋立て等に伴う瀬戸内海の環境への影響等を総合勘案してやむを得ないものと判断されたものであり、公有水面埋立法に基づく埋立承認に際しては、環境保全に十分配慮がなされたものと考えている。





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