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平成十二年八月八日提出
質問第一六号

財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書

提出者  保坂展人




財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問主意書


 通商産業省(以下、「通産省」とする)所管の財団法人 海外技術者研修協会(以下、「財団」とする)に関して、平成十二年五月二十三日に提出した質問主意書がある。その後、五月三十日に政府から答弁書が送付されてきたが、それらの答弁が要領を得ないため、次の通り質問する。

一 海外研修生の渡航費問題について

 (1) 「財団における平成十一年度の産業技術者育成支援研修事業の渡航費の実績は、五億一千七百二十一万六千円となる見込みであり、このうち、財団の実施する研修の修了者がそれぞれ自国において自主的に組織している団体(以下、「同窓会」とする)の推薦を受けた研修生の渡航費の実績は、三億二千五百七万八千円になる見込みである」というのが政府の答弁書である。同窓会による推薦研修生の渡航費の割合は六割を超えるが、政府はこれを財団の目的「国際経済協力を推進して相互の経済発展及び友好関係の増進に寄与する」に合致する補助金の執行と考えるか。
 (2) 財団による航空券の現地発券方式の導入は、会計検査院による研修事業に係る指摘によるものだが、その指摘は平成元年実施『会計実地検査記録』に記載されたものか。この方式導入の理由は「経済的な支払方法」とのことだが、具体的に説明してほしい。
 (3) 財団の規程においては、渡航費の支給に際しては、「航空券及び航空券購入の際の領収書を確認する」となっている。これを確認したい。
 (4) 通産省は毎年、財団に対して補助事業確定検査を行っているが、担当部局はどこか。
 また、今までの検査で、平成十二年三月までに同窓会による推薦研修生渡航費の申請の中には、航空券のみで渡航費金額が確定されていたケースや金額が表示されていない格安航空券などの購入航空券と金額が記載された領収書によって渡航費金額を確定されたケースがあったか。
 (5) 現在、通産省による本年度補助事業確定検査の経過での指導により、財団は過去五か年にさかのぼり全航空券や渡航費の調査を行っている事実はあるか。
 (6) 過去、在インド日本大使館に対して、インド研修生から正規の航空運賃を支払ったにもかかわらず、同窓会から配布された航空券が条件付きの格安航空券だったとの、訴えがあったのは事実か。
 (7) (6)をきっかけに渡航費問題が浮上したが、ここで別例を示す。
 ブルガリア同窓会推薦の研修生の渡航費申請には、ルフトハンザ航空の格安航空券(ITチケット)で金額が記載されていないものが提出されている。この格安航空券の現地実勢価格は一般にUS$1000前後(以下、すべてUS$とする)だが、セマ・エクスプレスという現地旅行代理店発行の領収書金額は$4346で、東京とブルガリアの首都ソフィア間のビジネスクラス料金に近い。この代理店はブルガリア同窓会会長の娘が勤めている旅行代理店であり、この代理店発行の領収書金額は数年来$4346で不変である。しかし、平成十一年九月に財団の役職員がブルガリアに渡航した後、渡航費は$2900になった。
 平成十一年九月に財団の役職員がブルガリアに渡航したのは事実か。またこの時、財団の役職員は同窓会または旅行代理店と接触したのか。その時、値下げ指示をしたのか。これらを確認したい。
 (8) 平成十一年度に来日したエジプト同窓会推薦の研修生の渡航費申請は、シンガポール航空のビジネスクラス、航空券金額は$3700での申請だった。そこでシンガポール航空東京支店に確認したところ、この研修生はエコノミークラスで予約されていたという。もしこれが事実ならば、研修生は別の航空券及び違う領収書を財団に提出して渡航費補助申請をしたことになるが、確認されたい。
 (9) カメルーン同窓会推薦の研修生の渡航費申請は、格安航空券だが領収書は$5000の金額だった。カメルーンにおける格安航空券の現地市場価格は$1500〜2000である。領収書の発行元はフランスのパリにある JULLY という旅行代理店で、そこに元研修生が勤めていて、実際は格安航空券代金が支払われ、$5000の領収書を造ったが、これは財団のアドバイスだったという。これは事実か。事実ならば政府の見解はいかがか。
 (10) 財団の海外業務部長と同窓会会長の参加費精算に関する契約について、答弁書によって「研修生の事務手続の負担の軽減を図る観点から、渡航費等研修の参加に要する費用の精算を同窓会との間で行うこととしている場合もある」との返答を受けたが、研修生は同窓会に航空券代として参加費を支払い、財団に来てからは実際の金銭の授受はないにもかかわらず、研修生個人が参加費精算に合意したという書類にサインをし、参加費精算差額は同窓会会長に送金されている場合があるというが、これは事実か。事実ならば政府の見解はいかがか。

二 同窓会への財政支援について

 (1) 財団の平成十年度、十一年度決算書の開発等事業費支出明細表に同窓会支援費としてそれぞれ一千二百七十六万三千五百十九円、一千三十一万九千五百十八円が計上されている。先の政府答弁書では「財団においては、同窓会に対する財政的支援は行っていないと聞いている」とのことだが、この科目、その内容は何か。確認したい。
 (2) 財団では新規に同窓会が設立された時には祝金として該当同窓会に五十万円支出しているそうだが、これは事実か。確認したい。
 (3) 在インド日本大使館によると、財団は財団事務所が入居するインド同窓会連合所有の建物(財団は賃料を定期的に支払っている)の建て増しに際して、財団が一千万円程度の金額を当同窓会連合に無担保で貸し付けをしたとあるが、これは事実か。事実ならば、政府の見解はいかがか。

三 研修生からの参加費徴収について
 「財団において、研修生から参加費として$500から$1000を徴収することを、同窓会に対して指示した事実はないと聞いている」との政府答弁書だが、実際、

 @ 『中小企業支援研修生受入特別企画「中小企業国際経営交流研修コース」手数料徴収について1998年6月22日 海外協力課 橋口真人』
 A 『2 November 1998
 The AOTS World Business Network Program for EFAAS(WBNP‐11)
 Masafumi Sato Director and General Manager Overseas Affairs Division』
 B 『ATTENDANCE INFORMATION』

の3種類の文書が存在し、研修生から参加費を徴収し領収書も発行している。
 また、平成十年十二月十六日に韓国同窓会役員が財団を訪問し、伊藤理事長など財団役員に「九月に KKC (関西研修センター)で実施した WBNP コース募集の際は、参加者各人から30万ウオンの参加費を徴収。30人で900万ウオンの収入となり財政的に助かった」と感謝している報告書も存在している。これは参加費の徴収ではないか。政府の見解を聞きたい。
四 その他
 日本の中小企業の国際化支援等を目的とした中小企業受入事業において同窓会推薦研修生が八割も占めているのは、補助金の執行において適正を欠くと考えるが、政府の見解はいかがか。
 以上、一部役職員による財団の運営(先述の質問主意書にあげた旅館業法違反を含む)は財団に対する背任行為であり、財団の存立基盤を危うくするものと考える。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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