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答弁本文情報

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平成十二年九月五日受領
答弁第一六号

  内閣衆質一四九第一六号
  平成十二年九月五日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員保坂展人君提出財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員保坂展人君提出財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問に対する答弁書



一の(1)について

 財団法人海外技術者研修協会(以下「財団」という。)の実施する研修の修了者がそれぞれ自国において自主的に組織している団体(以下「同窓会」という。)は、日本及び自国の経済発展及び友好関係の増進に寄与することを目的とする団体として財団の了承を得て設立されたものであり、また、財団の受入研修生については、同窓会の推薦の有無にかかわらず、財団に設置される外部の有識者を含む審査委員会において適正に審査されていることから、同窓会の推薦を受けた研修生の渡航費の割合が全体の六割を超えているとしても、財団の補助金の執行は財団の目的に合致すると考えている。

一の(2)について

 財団においては、平成元年に実施された当該研修事業に係る会計実地検査における会計検査院の指摘を踏まえ、同院の了承を得て、国際航空運賃の節減のために航空券の現地購入を認めることとしたものであるが、当該指摘は文書によるものではなかったと聞いている。
 お尋ねの「経済的な支払方法」とは、日本で航空会社に航空券代を円貨で支払い、その航空会社から通知を受けた出発地国所在の航空会社が航空券を発券し、研修生に交付するいわゆる日本PTA方式に比べて、安価に航空券を購入することを指すものである。

一の(3)について

 御指摘の「航空券及び航空券購入の際の領収書を確認する」旨を定める規程は存在しない。
 なお、財団においては、渡航費の支給に際して、金額の記載された航空券又は金額の記載されていない航空券と金額の記載された領収書を確認してきたが、例外的に、航空券の写しを紛失した場合において、搭乗証明書と領収書により渡航費を支給した例が数件あったと聞いている。

一の(4)について

 通商産業省において財団に対して交付する補助金の額を調査し確定するいわゆる確定検査を行う担当部局は、通商政策局経済協力部技術協力課である。
 平成九年度以前の通商産業省の確定検査においては、同窓会による推薦を受けた研修生について、金額の記載された航空券又は金額の記載されていない航空券と金額の記載された領収書によって渡航費を確認した上で補助金の額を確定している。なお、平成十年度及び平成十一年度における渡航費については、現在調査中であり、補助金の確定はまだ行っていない。

一の(5)について

 通商産業省においては、財団に過去五年間にさかのぼって渡航費の調査を行うよう指導したところであり、財団において現在調査を行っているところである。

一の(6)について

 在インド日本大使館に対して、インド研修生から航空券に関する訴えがあったとの事実はないと承知している。
 ただし、通商産業省においては、同大使館の館員から、伝聞として、研修生が普通料金の航空運賃を支払ったにもかかわらず、同窓会から制限付きの航空券が配布されたとの話があったことを聞いている。

一の(7)から(9)までについて

 平成十一年九月に財団の相談役及び職員がブルガリアを訪問し、同窓会会長と面会したと聞いている。また、財団の職員が、同会長に対して、航空券代の請求が実勢価格に比べて高すぎることについて是正するよう伝えたと聞いている。
 平成十一年度に来日したエジプトの研修生については、財団に対してビジネスクラスの航空券及び領収書を提出しているが、財団から航空会社に確認したところ、参加者の大半が、少なくとも旅程の一部についてはエコノミークラスに搭乗したことが明らかになったと聞いている。
 カメルーン同窓会推薦の研修生の渡航費については、不正な領収書が発行されていたが、財団が不正領収書の発行について助言したという事実はないと聞いている。また、カメルーンにあるJULLYヤウンデ支店及び同窓会会長も、財団から不正領収書を作成するよう助言されたことはないと言っていると聞いている。
 いずれにしても、渡航費については、財団において過去五年間にさかのぼり調査中であり、不当請求に対しては、通商産業省及び財団において適切に対応することとしている。また、財団においては、本年度から、このような問題の発生を防止するため、航空券の購入方法を改善したところである。

一の(10)について

 研修生が同窓会に渡航費を支払い、渡航費等研修の参加に要する費用の精算を財団と同窓会との間で行うことを了承する旨の書類に研修生が署名をしていることを財団が確認した上、精算差額を同窓会に返金することがあると聞いている。
 これは、研修生の事務手続の負担の軽減を図る観点から、研修生の了承に基づくことを確認の上、実施されているものであるが、透明性の向上等の観点から見直すよう財団を指導してまいりたい。

二の(1)について

 同窓会支援費の科目は、財団の決算書中の「帰国研修生関係費」中の「同窓会支援費」である。また、財団法人海外技術者研修協会の運営に関する質問に対する答弁書(平成十二年五月三十日内閣衆質一四七第三三号)二の(2)についてで、同窓会の人件費等に対する支援は行っていないことから、「財政的支援は行っていない」とお答えしたところであるが、同窓会支援費として、同窓会事務所開設祝金、同窓会地域連合会議等の開催費用等を支出していることは、御指摘のとおりである。

二の(2)について

 財団が、同窓会の設立に対して祝金を支出しているとの事実はないと承知している。
 なお、財団では、同窓会が独自の事務所を開設した場合に、財団の定める同窓会事務所開設祝金基準に基づき、研修機材・研修施設等の充実に充てることを条件として、事務所開設祝金五千米ドルを贈与していると聞いている。

二の(3)について

 財団が、財団事務所が入居するインド同窓会連合所有の建物の増築に際して、約一千万円の無担保貸付けを行ったことは事実であるが、これについては、同窓会の活動が日本と自国の経済発展と友好関係の増進を目的としており、財団の事業の推進に役立つこと、財団がインド同窓会連合の建物の一部を事務所として賃借しており、同窓会が当該貸付けを返済しない場合には、賃料債務と相殺できるため元本回収は確実であると判断したことから、貸付けを行ったものと聞いている。
 しかし、同窓会に対する無担保貸付けは、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成八年九月二十日閣議決定)に照らし望ましいものではなく、通商産業省においては、速やかに是正するよう財団を指導したところである。

三について

 御指摘の文書は、研修生の日本への派遣準備支援のために同窓会が事務手数料等を徴収する場合においては、それが高額にならないように、その上限を示したものであり、また、御指摘の韓国からの報告書の記述も、右の事務手数料等についてのものである。

四について

 財団が平成十年度に実施した中小企業研修生受入等事業は、日系中小企業に限ることなく、我が国の中小企業の取引先等である海外企業の技術者等に対しても研修等を行うものであるが、その受入研修生については、通商産業省と財団で構成する審査会において適正に審査されていることから、同窓会の推薦を受けた研修生の割合が約八割であるとしても、特段の問題はないと考えている。



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