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平成十四年二月六日提出
質問第一三号

「人権擁護法案(仮称)の大綱」に関する質問主意書

提出者  川田悦子




「人権擁護法案(仮称)の大綱」に関する質問主意書


(一) 法務省が所管する入国管理局の収用施設や刑務所等については、収容者に対する公務員による暴行等が国際的にも問題視され、日本政府は国連規約人権委員会等から改善の指摘を再三受けている。「人権擁護法案(仮称)の大綱」(以下、大綱という)では、法務省の外局として人権委員会を設置することとしている。しかし、人権侵害が問題視されている部局を抱える法務省の外局とするのでは、人権救済に対する十分な独立性を保てないと思われる。法務省・人権擁護推進審議会が公表した「人権救済制度の在り方に関する中間取りまとめ」(二〇〇〇年一一月)に対する意見でも「内閣府の外局とすべき」との意見も多くあったと聞く。にもかかわらず、法務省の外局としたその論拠となる理由を示されたい。
(二) 大綱・第3の2(1)エにある「報道機関」の定義を示されたい。また、「報道」と「機関」の定義を示されたい。
(三) また(二)の「報道機関」と、「個人情報の保護に関する法律案」(以下、個人情報保護法案という)の第五五条にある「報道機関」の定義の違いを示されたい。また、大綱でいう報道機関には報道に従事する個人(例:発表媒体を雑誌等を主としたフリーライターや、インターネットで報道活動を行う者等)も含まれるのか。含まれるとすれば、その範囲を例に従って具体的に示されたい。
(四) 大綱・第3の2(1)エにある「報道機関等」の「等」(例:日本新聞協会、日本民間放送連盟等)には何が含まれるのかを例に従って具体的に示されたい。
(五) 大綱・第3の2(1)エにある「尊重」とはどのような行為を示すのかを具体的に示せ。尊重の実効性を担保する措置は何かを具体的に示されたい。尊重する対象となる「報道機関等による自主的な取組」とは、日本雑誌協会が設置を予定している苦情受け付け窓口、朝日新聞社の報道と人権委員会等を指すのか。「報道機関等による自主的な取組」を具体的に示されたい。「自主的な取組」を「尊重」する際、「自主的な取組」かどうかを判断する基準を具体的に示されたい。
(六) 大綱の尊重と、個人情報保護法案の第四〇条にある「配慮」との違いは何かを具体的に示されたい。
(七) 大綱・第3の2(1)エにある「プライバシー」の定義を具体的に示されたい。
(八) 大綱・第3の2(1)エ(ア)の「犯罪被害者等」にある「犯罪」の定義(例:逮捕令状の請求、逮捕・拘禁、起訴、判決の確定)を例に従って具体的に示されたい(犯罪被害者等となる時期を含む)。また、事故等による被害者は犯罪被害者等に含まれるのか、その理由とともに見解を示されたい。
(九) 大綱の第3の2(1)エでは犯罪被害者等について公務員や政治家等公人と私人の区別をしていない。区別しない理由を示されたい。
(一〇) 犯罪被害者等について「被疑者・被告人の家族」を挙げているが、被疑者には政治家や公務員は含まれるか。元政治家や元公務員は含まれるか。元政治家秘書(公設、私設を含む)は含まれるのかどうか。それぞれその理由とともに見解を示されたい。含まれる場合、政官財の癒着を暴くための取材などが規制される恐れがあると考えられるが、どう考えるか。
(一一) 大綱の第3の2(1)エ(イ)に「取材を拒否している」とある。大綱が想定する報道機関に対する取材の拒否の明示あるいは表明方法を具体的に示されたい。
(一二) 大綱の第3の2(1)エ(イ)にある「反復・継続」は、何回以上を示すのか、その理由とともに見解を示されたい。反復・継続の認定を行う主体と認定方法を具体的に示されたい。また、「つきまとい、待ち伏せ」の定義について、次に挙げた例に従って具体的に示されたい。
 例えば「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」では、「つきまとい」の定義を「つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること」などと定義している。大綱・第3の2(1)エ(イ)の「過剰な取材」とは何か。「過剰な取材」の判断基準とその具体例を示されたい。
(一三) 人権擁護法案の特別救済手続の対象に報道機関による人権侵害行為を含めることについては、報道関係者を中心に反対が出ている。報道・取材の自由の重要性に鑑み、人権擁護法案においては、大綱・第3の2(1)エの規定を設けるべきではない、との主張に対し、「報道・取材の自由を制約しない」と考えるのかどうか。同規定を置いた理由とともに見解を示されたい。
(一四) 大綱・第3の2(3)〜(5)の措置に対する不服申し立ての制度について具体的に示されたい。
(一五) 大綱・第1の3(2)には、国勢調査など法令等に定められた行為も対象として含まれるのかどうかその理由とともに見解を示されたい。
(一六) 旧西ドイツの憲法裁判所は一九八三年一二月一五日、個人を全人格的に管理することにつながる連邦国勢調査法は人格権侵害であり憲法違反とする判断を示している。我が国では、住民基本台帳法の改正により住民票コードが今年から国民全員に割り当てられることになったが、改正住基法は大綱にいう「人権侵害行為等」に含まれるとする意見もある。見解を示されたい。
(一七) 大綱・第1の3(3)「差別助長行為等」の具体的な内容を示されたい。また、差別助長行為は法令に定められた行為も対象として含まれるのかどうか見解を示されたい。 戸籍、住民票の閲覧制度をプライバシー侵害とする意見もあるが、同制度は差別助長行為等に相当するかどうかをその理由とともに見解を示されたい。
(一八) 第3の1(2)に「関与することが適当でない事件」とあるが、具体的な内容を例示したうえで具体的に示されたい。
(一九) また、OECD(経済開発協力機構)加盟国において、報道分野を対象に専ら大綱・第3の2(1)エ(ア)(イ)に示された人権侵害について救済措置をとる行政機関等(行政府による資金助成を含む)を整備している国、または整備を行おうとしている国(州等の地方政府を含む)の名称とその機関名、設置期日を示されたい。OECD非加盟国ではどうか、OECD加盟国のケースと同様に示されたい。
(二〇) 大綱・第1の3(3)「差別助長行為等をしてはならない」としている中で「(差別的取扱いを助長する目的で不特定多数者の人種等の属性に関する情報を公然と摘示し)」とあるが、「差別的取扱いを助長」とは、どのようなことと考えているか。具体的に明らかにされたい。
(二一) 大綱・第3の2(6)「(1)カの行為をした者が勧告に従わない場合……請求する訴訟を提起することができる」として、(1)カの行為についてのみ人権委員会は提訴することができることとしている。その理由を示されたい。
(二二) 大綱・第3の2(1)オ「ア〜エに準ずる人権侵害」とは何か。具体的に示されたい。

 右質問する。



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