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平成十四年七月二十五日提出
質問第一五五号

死者の人権の保護に関する質問主意書

提出者  平野博文




死者の人権の保護に関する質問主意書


 著作者および実演家は、著作権法により、その死後も一定の人格的利益を保護される。しかし、わが国の法体系において、一般に死者の権利は保護されないとされる。
 従って、次の事項について質問する。

一 著作権法において、著作者・実演家がその死後も一定の保護を受ける理由について
 1 わが国の法体系上、一般に死者の人格権は認められるか。
 2 著作権法では、著作者人格権、実演家人格権そのものではないが、その人格的利益を保護するとして、死後もその利益を保護しているが、これはいかなる根拠によるものか。ベルヌ条約上の義務はさておき、国内的な必要性、及びその法的な許容性をお示しいただきたい。
 3 著作者や実演家の死後も一定の保護を加えることが妥当であるとしても、その手段として、第一二〇条に定める刑罰(罰金刑)のみならず、遺族に差し止め請求権及び名誉回復請求権を認める必要性、ならびに法的許容性をご説明いただきたい。
二 政府提出「個人情報の保護に関する法律案」等について
 1 「個人情報の保護に関する法律案」、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案」などは、「『個人情報』とは、生存する個人に関する情報であって」と定義し、この法案により保護される対象を、生存する個人に限定している。その理由としては、総務省より「死者には請求権がないため、遺族自身の個人情報を構成するような場合を除いては、法体系上保護することができない」との説明を受けている。
 しかし、著作権法における人格的利益の保護の考え方に見られるとおり、死者に人格権や請求権がなくとも、その必要がある限り、死後も法的保護を与えることは可能である。従って、個人情報の保護を死者に及ぼすか否かは、法体系上一概に否定されるものではなく、あくまでも立法裁量の問題であると考える。この点について、改めて政府の見解をお示しいただきたい。
 2 国民の自然な感情として、死後であればプライバシーないし個人情報を自由に利用・開示されてもかまわないと考えるのは一般的でない。むしろ多くの国民が、死後も自己に関する情報はきちんと保護されることを望んでいると考えるが、この点政府の見解は。
 3 現行刑法上、「名誉」については、名誉毀損罪により「生存する人」が保護されるだけでなく、死者の名誉毀損罪が設けられ、死後についても法的保護の対象となっている。
 名誉の問題と、個人情報・プライバシーとは密接に関わる問題である。すなわち、死者の名誉毀損罪との関係において、個人情報やプライバシーの保護につき死後も法的な保護を及ぼす方が、法的に均衡が取れるのではないか。
 4 以上のことから、「個人情報の保護に関する法律案」ほか個人情報保護に係る関係法律案においては、個人情報の定義を生存する個人の情報に限定することなく、死後についても法的な保護を与え、個人情報の適切な取扱いを確保すべきではないか。

 右質問する。



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