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平成十五年三月三日提出
質問第三二号

車椅子生活者に係る歯科診療に関する質問主意書

提出者  山田敏雅




車椅子生活者に係る歯科診療に関する質問主意書


 平成十四年四月一日施行の「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」改定及び同年五月一日付厚生労働省保険局医療課事務連絡「疑義解釈資料の送付について」等において、請求の適正化を図る観点から対象患者の明確化のための措置が講じられているが、同告示における「通院が困難な患者」の解釈については、文面上なお不明確であり、歯科医療現場における混乱が起こっている。
 特に、疾病、傷病のため車椅子での生活をしている身体障害者については、身体機能上の障害から歩行が困難であり歯科への通院が困難な場合がある。しかしながら、介助により車椅子を使って移動できるということのみを理由に通院が困難な患者とされず、訪問歯科診療の対象から外され、事実上、歯科医療を受けられないということが起こっている。また地域によっては介護保険での要介護度一乃至三だと訪問歯科診療の対象とならないとの解釈をされ、訪問歯科診療を受けることができない事態も起こっている。
 疾病、傷病のため車椅子での生活をしている身体障害者が訪問診療を断られた場合、自ら歯科医院へ通院しようとしてもバリアフリーの歯科医院が極めて少なく、車椅子での通院を受け入れることができる歯科医院の情報が不十分なため、歯科の治療をあきらめざるを得ないということがある。その上、医院まで来ることができても、車椅子から治療用チェアーへの移動介助に慣れているスタッフが医院にいないため治療器具のパイプやコード等に手足が絡まり転倒する等の危険に不安を抱いている者も多い。
 診療報酬支払報酬は社会保険診療報酬支払基金の審査委員又は国民健康保険診療報酬審査委員会の審査を受けることになっている。そのため歯科医師が訪問診療の要請のあった患者を個別に精査し、通院困難であると判断しても、その患者が車椅子を使っているとか要介護度を用いて判断をするか否かについて、関係者間における診療報酬の算定基準に解釈の相違があれば、最終的には歯科医師は面倒を避け泣き寝入りをすることになってしまい、ひいては訪問診療に消極的な歯科医師が多くなってくる可能性さえある。
 こうした事態は、真摯に患者の治療に取り組む現場の歯科医師の不安となるだけでなく、患者にとっても到底望ましいことではない。
 このような観点から、標記について以下質問する。

一 訪問歯科診療の対象となる「通院が困難な患者」とは、前出の事務連絡によれば、「常時寝たきりの状態又はこれに準ずる状態」であることが要件とされている。そこで「常時寝たきりの状態又はこれに準ずる状態」とは、「通院が困難な患者」の要件を限定列挙したものではなく、「通院が困難な患者」の要件を例示的に列挙したものであって、右の車椅子利用者の場合を排除する趣旨ではないと考えるが、かかる解釈に相違ないか、政府の見解を示されたい。
二 次に「通院が困難な患者」であるかないかは、歯科医師が患者の心身の状況を個別具体的に精査した上で判断するものであり、介護認定の要介護度が一乃至三の患者の場合は訪問診療を受けられないといった形式からの判断をするものではないと考えるが、係る解釈に相違ないか。
三 自力で通院をしようとする車椅子利用者が安心して歯科医療を受けられる医院を見つけることができるようにするために、身体障害者の治療を行っている実績がある歯科医療機関の所在地や電話番号などを記載したリストはあるのか。また、その情報を必要としている人に知らしめるためにどのようなことを行っているのか具体的に示されたい。
四 最後に、身体障害者の歯科治療については、障害者福祉の増進に資するだけでなく、症状の進行を食い止め、又は改善するという重要な意義を有するにもかかわらず、保険者等の関係者に、その治療の実態に関する理解が不足しているがために、診療報酬請求の場面において誤解を招く場合がある。また、地域による解釈の違いがあってはならない。関係者に然るべく通知すべきものと考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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