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平成十五年七月二十五日提出
質問第一四五号

防衛庁等による発注等に関する第三回質問主意書

提出者  川田悦子




防衛庁等による発注等に関する第三回質問主意書


一 T−4練習機における推力低下事故の原因究明および再発防止策について
 T−4練習機の推力低下事故が続き四件目が発生した昨二〇〇一年一二月、防衛庁監察部は同事故を問題として、同機のエンジン(F3)のメーカーである石川島播磨重工業(IHI)に対し調査を命じ同エンジンの燃料制御装置(以下FCU)をIHIにおいて全数修理することを決定した。修理は、IHIにおける修理を待てないためとして、各部隊に指示して全数を洗浄したことが、すでに明らかになっている。以下、質問する。
 (一) 洗浄を指示したこと自体が、この作業が答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)にある「日々行っている航空機の整備」でないことを示している。この費用負担をIHIに求めないのはなぜか。再度回答を求める。また「日々行っている航空機の整備」ではFCUの洗浄をどのようにして行なっているのか。具体的作業手順や方法等明らかにされたい。
 (二) この事故原因となった金属片がIHIにおける製造・修理の際に剥離したものであるならば、IHIにおけるそれらの作業の最後に行なわれる洗浄によって本来ならば除去されるべきものである。今回の事故以前にはこのような事故は発生していないのだから、実際に除去されてきたものと考えられる。IHIにおける突然の異常作業の原因について明らかにされたい。この解明なくして再発防止はありえない。再度回答を求める。
 (三) 防衛庁がIHIに聞くべきものとして回答を拒否したのは、調整ボルトのメーカーとパーツナンバー、部隊におけるFCU洗浄マニュアルなど基本的なことである。防衛庁がこうしたことを承知していないとすること自体怠慢であるが、そうであればなおさらIHIに説明を求め国民に対する説明責任を果たすべきである。再度回答を求める。
二 会計検査における防衛庁と契約企業との事前打ち合わせについて
 会計検査院の検査に備えて防衛庁調達実施本部が当該発注先と事前に協議したことについて、答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)では同協議自体を認めているが、その内容は「検査会場の確保等検査の実施に要する事務的な諸準備」であるとしている。問題の重要性に鑑み再度繰り返すが、この打ち合わせにおいて、「治工具貸し出し依頼表の一時格納」「治工具予約貸出票の格納」「J79VANE−ASSYラインの作業標準表の格納」、「見える範囲では工数報告を行わない」(質問第一〇八号・添付文書参照)などと申し合わせている。これを記した文書が実際の打ち合わせに用いられたことが確認できなくとも、また民間企業とはいえ防衛庁と契約関係にあるIHIにおいてこうした疑義のある文書が明らかになった以上、内容が会計検査院と会計検査を受ける防衛庁調達実施本部の業務の公正さに係る問題であり看過することはできない。以下、質問する。
 (一) 「治工具貸し出し依頼表の一時格納」と「治工具予約貸出票の格納」は専用治工具流用を隠蔽するためと考えられる。そうした疑惑がもたれる以上、治工具貸出台帳および治工具貸し出し依頼表と治工具予約貸出票について改めて調査し流用の事実がないかどうか確認すべきだと考える。また「御指摘の答弁の後、防衛庁において調査」した結果、専用治工具の流用が明らかになったことからも改めて調査すべきだと考える。見解を問う。
 (二) 「J79VANE−ASSYラインの作業標準表の格納」との申し合わせはJ79 エンジンVANE−ASSYの製造においてIHIが実際に作業者に指示している工数(標準作業工数)と防衛庁への報告との差異を隠蔽する目的だと考えられる。「見える範囲では工数報告を行なわない」との申し合わせは実際にかかった工数と防衛庁への報告との差異を隠蔽すると思われる。一九九八年の防衛庁調達実施本部を舞台とした水増し請求をめぐる背任事件も工数の水増しによって行なわれており、工数の水増しは最も注意しなければならないはずである。以上のように工数水増しを疑いうる状況証拠があれば、改めて調査すべきだと考える。調査する必要性があると考えるか。ないとした場合、その根拠は何か。述べられたい。
三 専用治工具の流用事案について
 防衛装備品の調達にかかわる専用治工具につき、IHIにおいて契約以外の目的で使用されているとの事実は把握していないとの答弁書(内閣衆質一五六第六四号)を受け、再質問主意書(質問第一〇八号)においてIHI呉第二工場において流用(契約目的外の使用)の事実があったことを指摘したところ、同答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)では当方が指摘した流用があったことを認めた。
 (一) 流用が発覚したIHI呉第二工場の専用治工具はガスタービンの運転設備である。この運転設備はイージス艦の建造開始に備えてその主エンジンであるLM2500などを独占的に納入することとなったIHIが、防衛庁の費用支出のもとで専用治工具として一九八六年に建設したものである。この運転設備が防衛庁以外(本件の場合は三菱電機)に納入するガスタービンの運転に使用されたこと、ならびにその事実を防衛庁が把握できていなかったことは、国有財産である専用治工具の管理に重大な欠陥があったことを示すものである。
 イ 答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)が述べる「必要な措置をとるべく、更なる調査及び検討を行っているところ」とは、どのような調査・検討を行なっているのか。また実施する「必要な措置」とは、いつ、いかなる「措置をとるべく」考えているか。明らかにされたい。
 ロ この専用治工具(運転設備)の損耗維持に関するIHIの報告と費用請求内容および防衛庁の支払い内容を、一九九八年七月の事故の前後にあたる一九九八年八月から二〇〇〇年七月までおよび直近一年間にあたる〇二年八月から〇三年七月までについて示されたい。また防衛庁がIHIの請求にもとづき損耗維持費用を認定する基準を明らかにされたい。
 ハ この専用治工具(運転設備)および隣接の民間用運転設備のそれぞれの運転保守管理台帳、および同工場の防衛庁向けと民間向けのガスタービン運転記録の内容をそれぞれ明らかにされたい。
 (二) 答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)は防衛庁調達実施本部広島調達管理事務所が当方の指摘までこの流用につき報告を受けていなかったとしているが、事故から九日後の一九九九年七月一二日に森孝彦IHI防衛事業部営業部長が同管理事務所の黒滝所長を訪ね専用治工具(運転設備)の流用および事故による同治工具破損の事実を報告しており(添付資料参照)、答弁書(内閣衆質一五六第一〇八号)は事実に反している。添付資料によれば、黒滝所長は、艦艇用「専用治工具が被害等にあった時の取扱いの規約を調べてみたが(略)特にこれという規定はないのではないかと思う」「専用治工具であっても(略)他の用途(民間工事)に使用したとしても官として異議を唱えること出来ないのではないか」(専用治工具の)「所有権は官にはないのではと」といった見解を表明している。以下、質問する。
 イ 黒滝所長の前記見解の表明は、専用治工具流用一般について述べたものであるが、当該事故における専用治工具流用の報告を受けてなされていることは明らかである。黒滝所長がIHIから報告を受けて本部に報告した事実はあるか。報告しなかったのであれば、それはなぜか。その理由を明らかにされたい。
 ロ 黒滝所長の前記見解自体が専用治工具を管理する政府の責任を放棄するものである。公費で負担されている専用治工具を管理する政府としての責任をどのように考えるか。
 ハ 一九九九年七月、事故の起こった当該専用治工具の被害状況の内容についてどのように把握しているか。また修理・復旧については、だれが、いつ、どのようにして行なったか。同事故およびその修理・復旧は、翌年度におけるこの専用治工具の損耗維持費の査定にどのように反映されているか。

 右質問する。


別紙


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