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平成十六年八月五日提出
質問第五〇号

徳山ダムおよび木曽川水系水資源開発基本計画に関する質問主意書

提出者  佐藤謙一郎




徳山ダムおよび木曽川水系水資源開発基本計画に関する質問主意書


 政府は、本年六月十五日に木曽川水系水資源開発基本計画を閣議決定した。水資源開発基本計画(以下「フルプラン」という。)とは、木曽川水系等の指定水系における水需給計画を定めるもので、各ダム計画に対して利水面での上位計画に当たる。
 閣議決定以前の木曽川水系フルプランは、二〇〇〇年を目標年次としており、木曽川水系においては、本年六月の閣議決定までフルプランが存在しない状態であった。よって、本来ならば新しい木曽川水系フルプランが策定されるまで、木曽川水系における利水目的のダム建設は中断されるべきであった。にもかかわらず、木曽川水系において徳山ダムの建設が強行されてきたことは、誠に遺憾といわざるを得ない。
 ついては以下の事項について質問する。

一 新しい木曽川水系フルプランの水需要予測について
 1 水需要予測を策定する際、過去の水需要実績を重視すると聞く。そこで、過去十年間の木曽川流域の都市用水需要を見ると、漸減若しくは横這いの傾向が続いている。ところが、新しい木曽川水系フルプランを見ると、都市用水需要が増加傾向に転じるとされている。なぜ、漸減若しくは横這い傾向の都市用水需要の実績があるにもかかわらず、増加傾向に転じると予測しているのか。
 2 実績と乖離した予測値になっているのは、予測を策定する際、一人当たり家庭用水、工業出荷額、工業用水の補給水原単位、水道用水の負荷率(平均/最大)、利用量率(給水量/取水量)などに、実績と異なるデータを用いているためと思われるが、過去十年間の木曽川水系流域の各県における、一人当たり家庭用水、工業出荷額、工業用水の補給水原単位、工場の水道用水の負荷率(平均/最大)、利用量率(給水量/取水量)について、実績値と予測値の実状を踏まえ政府のご認識を明らかにされたい。
二 新しい木曽川水系フルプランの水需要予測が実績と乖離していることは、これまで指摘したとおりである。ところが、以前の木曽川水系フルプランと比較すれば、需要予測が下方修正されており、著しい過大予測については、多少の改善がなされている。新しい木曽川水系フルプランと、以前の木曽川水系フルプランの水需要予測並びに水資源開発公団による徳山ダム事業認定申請時の水需要予測にこのような乖離が生じた理由について、政府のご認識を伺いたい。
三 新しい木曽川水系フルプランの水需給について
 1 新しい木曽川水系フルプランの水需給計画によると、二〇一五年において水道及び工業用水道を合わせて、徳山ダムの開発水量(六・六立方メートル/秒)を除いても、流域全体で約三十八立方メートル/秒の余剰が生じる。よって、徳山ダムは水需給計画上、全く不要といえるが、政府のご見解を伺いたい。
 2 工業用水道も合わせた水需給を見ると、二十年に二回の渇水年において、徳山ダムの開発水量(約四立方メートル/秒)を除いても、流域全体では約四立方メートル/秒の余剰が生じる。よって、工業用水道から水道への水利権転用を進めるとともに、各県間において余剰水源の融通を図れば、二十年に二回の渇水年においても、徳山ダムは不要であるが、政府のご見解を伺いたい。
 3 新しい木曽川水系フルプランによれば、各県間において余剰水源の融通を図ることが出来ない場合、岐阜県は、徳山ダムを建設しても二十年に二回の渇水年において水道の水需給がマイナスとなる。よって、徳山ダムの有無にかかわらず、岐阜県は他県から余剰水源を融通してもらう必要があると思われるが、政府のご見解を伺いたい。
四 河川法からの逸脱行為及び揖斐川の治水計画について
 1 河川法によると、河川整備基本方針及び河川整備計画によって、治水面におけるダムの必要性と規模を定めることと定められている。木曽川水系においては、これらはまだ策定されていない。ところが、新しい木曽川水系フルプラン策定に合わせて、揖斐川の治水計画を実質上策定し、治水面での徳山ダムの必要性と規模を定めてしまった。これは、国土交通省による河川法の定める手続きを逸脱する行為であると思われるが、政府のご認識を伺いたい。
 2 最近の最も大きな洪水であった二〇〇二年七月洪水において、徳山ダム及び横山ダムの上流域の雨量を根尾川流域と比べると、前者の雨量は半分程度であり、揖斐川・万石地点の洪水ピーク流量は、根尾川流域からの流入が大半を形成していた。そのため、二〇〇二年七月洪水の際に徳山ダムが運用されていても、その効果は小さなものとなっていたことが分かる。よって、国土交通省の方式で百年に一回の雨量を二〇〇二年七月洪水に当てはめて引き伸ばしを行えば、揖斐川・万石地点の洪水ピーク流量は、計画高水流量三九〇〇立方メートル/秒を大きく上回ると思われる。そこで、百年に一回の雨量を二〇〇二年七月洪水に当てはめて、洪水流量の引き伸ばし計算を行った結果(揖斐川・万石地点およびその他の基準点・流量観測点の毎時流量)を踏まえ、前記指摘に対する政府の所見を明らかにされたい。
 3 前項の結果、揖斐川・万石地点の洪水ピーク流量が計画高水流量を大きく超えることになれば、今回の徳山ダム事業実施計画が依拠した揖斐川治水計画は破綻することになる。その場合、揖斐川治水計画を白紙に戻す必要があると思われるが、政府のご見解を伺いたい。
 4 従前の揖斐川治水計画には、次の問題点が指摘されている。第一に、百年に一回の洪水流量(基本高水流量)(万石地点六三〇〇立方メートル/秒)が、実績流量から見て過大であること。第二に、上流域の人工林の間伐を全面的に進め、山の保水力を高めれば、洪水流量をより小さな値にすることが期待できること。第三に、河道整備後の揖斐川の洪水流下能力が過小評価されていること。よって、計画どおりに河道整備及び河川改修を進め、同時に人工林の間伐を全面的に推進すれば、徳山ダムなしで百年に一回の洪水に対応することが可能であるとの指摘もあるが、政府のご見解を伺いたい。

 右質問する。



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