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平成十七年二月九日提出
質問第一七号

文化審議会に関する質問主意書

提出者  川内博史




文化審議会に関する質問主意書


 一般に、政府が設置する審議会において学識経験者及び弁護士等より選出される委員は「諸課題を専門的かつ中立的な立場から評価する」ことが求められているものと解されるが、実際に選出されているこれらの委員には特定業界団体の理事もしくは顧問等に就任するなど特定業界との密接な関係を有する者も存在し、こうした委員が審議会の場において特定業界の意見を代弁する役回りに終始することも少なくない。
 そこで、文部科学大臣及び文化庁長官の諮問機関である文化審議会著作権分科会における議論の公平性の担保と言う観点より疑義を生じる点を中心に、以下質問する。
 なお、同様の文言が並ぶ場合でも、項目ごとに平易な文章で答弁されたい。

一 本年二月五日付で文部科学大臣より任命された文化審議会委員の内、新たに選任された学識経験者一名(以下「当該委員」という。)は著作権分科会(以下「分科会」という。)に配属される予定であると考えられるが、当該委員は文部科学省所管の社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会を始めとする複数の事業者団体において理事等の役職に就任している事実がこれらの団体の役員名簿等により確認される。
 当該委員の分科会長もしくは分科会に設置されるいずれかの小委員会主査への就任は、現時点で既に内定しているのか。内定している場合、係る「特定業界の利益代表」と言う側面を併せ持つ者をこれらの責任在る役職に就任させるのは、客観的に見て一般国民が学識経験者選出委員に対し諸課題を専門的かつ中立的な立場から評価することを求める要望に反するものであり、直ちに撤回すべきではないのか。
二 第一六一国会質問第三九号「文化庁著作権課が最近一年間に実施したパブリックコメント及び意見募集等に関する質問主意書」四の二 1)においても既に指摘している通り、昨年十一月二日の平成十六年度第五回法制問題小委員会において各委員もしくは専門委員(以下「委員等」という。)より提出された意見の中には「要望に対して専門的な立場から必要性・重要性を評価する」という小委員会の目的を逸脱し、委員等個人の要望又は委員等が特定業界の要望を代弁する形となっているものが散見されたが、文化審議会は委員等個人ないし委員等が代弁する特定業界の要望を実現する場ではないはずである。今後、学識経験者及び弁護士等を委員等に任命する際は「諸課題を専門的かつ中立的な立場から評価する」観点を重視し、特定業界の利益を代表する団体の役員等に就任しているか否かの状況も選考基準に加えるべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。
三 一において指摘した委員に代表される学識経験者及び弁護士等の「諸課題を専門的かつ中立的な立場から評価する」ことが求められている委員が特定業界の利益を代表する団体の役員等に就任している状況は審議会及び分科会委員名簿(以下「委員名簿」という。)を見てもその全容が把握し難くなっているが、学識経験者及び弁護士等より選出される委員が特定業界の利益を代表する団体の役員等に就任している場合又は過去に就任していた事実が存在する場合は委員名簿にその旨を記載すべきではないか。
四 第一六一国会質問第三〇号「文化審議会著作権分科会の委員構成に関する質問主意書」二において指摘した分科会委員は中央経済社発行「月刊ビジネス法務」二〇〇四年六月号のインタビューにおいて、当該インタビュー収録時に国会審議中であった著作権法の一部を改正する法律案(第一五九国会内閣提出第九一号)について次のように述べている。
 「あくまでも営利目的に貸与すると言うところについての権利行使であって、個人的な貸し借りは除外されて然るべきです。法律の条文では、私的なレンタルも禁止されますが、権利者はそこまで行使しません。」「貸与権が認められると、著作者は図書館に対しても、貸与に対する報酬を主張できます。」
 以下、前記の発言を踏まえて質問する。
 1) 本年一月一日施行の著作権法の一部を改正する法律(平成十六年六月九日法律第九二号。以下「改正法」という。)において著作権者の専有することとなった権利は「公衆」への書籍又は雑誌の貸与に関する権利であり、当該分科会委員の述べる「個人的な貸し借り」は「公衆」への貸与に該当せず、委員の述べる「法律の条文」上も禁止されていないと解すべきではないのか。
 2) 当該分科会委員が改正法により「図書館に対しても、貸与に対する報酬を主張」出来るとする現行法上の根拠は何か。当該委員が述べる「図書館」が図書館法(昭和二十五年四月三十日法律第百十八号)第二十八条に基づき利用者から入館料その他の対価を徴収している私立図書館を指すと解釈する場合であっても、著作権法第三十八条第四項の要件を満たす公立図書館が本項の「図書館」に含まれないことは図書館法第十七条において利用者から入館料その他の対価を徴収することが禁じられている点と併せて明白であり、当該分科会委員の法解釈は実際の立法趣旨と著しく乖離しているのではないか。
 3) 以上のように、当該分科会委員が自ら関係業界を代表して法制問題小委員会において要望し、国会へ提出された法案に対してこのような誤った解釈を市販されている雑誌において表明する行為は一般的に問題が有るものと考えられるが、以上の事実を踏まえると第一六一国会質問第三〇号に対する答弁書「二の2)について」における「お尋ねの委員は(中略)、著作権法及びその実務に精通している者であると考えており、御指摘は当たらないと考える。」との答弁は明白な失当ではないのか。
五 本年一月二十四日の第十四回著作権分科会において了承された「著作権法に関する今後の検討課題」の「2.デジタル対応」においては法制問題小委員会の下にワーキング・チーム(以下「WT」という。)を設置し、WTでの検討を踏まえて法制問題小委員会において検討することとされているが、京都地方裁判所において係争中である平成十六年(わ)第七二六号著作権法違反幇助事件のようにソフトウェア開発の技能を有する者がその開発行為について刑事責任を問われ、技術者間において摘発を恐れる余り新規の技術開発が萎縮する恐れが指摘されている等の諸状況を踏まえ、産業としてのソフトウェア業界の権利者を代表する者とは別に「技術革新」と言う観点からの意見を反映させるべくソフトウェア開発の技能を有する者の代表者を当該WTに参加させるべきではないかと考えるが、政府の見解を問う。

 右質問する。



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