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平成十八年二月十六日提出
質問第八一号

生存権に関する質問主意書

提出者  山井和則




生存権に関する質問主意書


 日本国憲法は、第二五条第一項において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としているが、生活を営むためには、生命を維持することは大前提となる。ところが、人工呼吸器を装着できれば生命の維持が可能であるにもかかわらず、社会的支援の不十分さから、人工呼吸器の装着を選択できずに死亡に至る国民がいる。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 人工呼吸器をつけている自力で動けない患者の呼吸器を外せば死亡すると認識している者が、呼吸器を外して死に至らせた場合、これは殺人の罪(刑法第一九九条)にあたるか。
二 一の場合、たとえ本人の同意があったとしても、同意殺人の罪(刑法第二〇二条後段)にあたるか。
三 人工呼吸器をつけなければ必ず死ぬが人工呼吸器をつければ確実に生存できることが分かっている患者が、人工呼吸器を拒否して死亡した場合、これは一種の自殺にあたるか。
四 三において、真に自己の尊厳の意思からではなく、経済的な理由や周囲への配慮から人工呼吸器を拒否したことが明白な場合はいかがか。
五 平成一五年度厚生労働科学特別研究事業「ALS患者にかかる在宅療養環境の整備状況に関する調査研究」報告書によれば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の約七割が人工呼吸器をつけていない。その中には、経済的な負担に耐えられないと考えたことや、夜間も含めて二四時間の吸痰などの介護の手が確保できない、あるいは家族の過重な介護負担を懸念して装着を拒否する人も少なくないといわれるが、この現状をどう考えるか。
六 五のような状態を放置することは、人工呼吸器を必要とするのに、それを選択できない患者の生存権を侵すもので、憲法第二五条第一項に反するのではないか。
七 一般人の観念から経済的な負担や介護負担の懸念なく、純粋に患者の生きる意思により人工呼吸器をつける選択が可能なよう、法律に基づく施策の運営が適切になされなければ、それは憲法第二五条第一項違反の常態にあると考えるがいかがか。
八 人工呼吸器をつけて生存が確保される場合であっても、痰の吸引を含む介護を受託する事業者が少ない等の社会的な制約から、家族が継続してほとんど毎日休みなく、夜間の定時の吸痰等の介護に従事しなければならない状況では、その家庭は「健康で文化的な最低限度の生活を営」んでいるとは言い難いのではないか。

 右質問する。



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