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平成十八年六月十五日提出
質問第三六五号

「国民保護法」に関する質問主意書

提出者  阿部知子




「国民保護法」に関する質問主意書


 国民保護法に基づく「国民保護計画」が全国の自治体で策定されようとしているが、国民保護法第九条第二項では「国際人道法の的確な実施を確保しなければならない」との規定があるにも関わらず、国際人道法の原則に反すると思われる箇所が随所に見受けられる。
 よって以下の事項について質問をする。

一 国際人道法の基本原則は、軍人・軍事物と文民・民用物を明確に区別し、文民・民用物を軍事目標への攻撃の巻き添えから防ぐことにあると理解しているか。そうでないのであれば、その理由、見解を明らかにされたい。
二 住民の保護、消防、応急手当等は、非軍事組織である文民保護組織の役割であることが、ジュネーブ諸条約第一追加議定書に明記されている。軍事組織の避難誘導等の介入は、国際人道法に反すると理解されているのか。反しないというのであれば、その根拠を明らかにされたい。
三 ジュネーブ諸条約第一追加議定書第四八条(基本原則)は、戦時には軍と民を厳密に区別することが大原則で、軍隊に文民の保護を求めるのは、戦時国際法の原則を逸脱するものである。この観点からすると国民保護計画に自衛隊が参加し、住民の避難誘導等にあたるのは戦時国際法に反すると理解されているのか。戦時国際法に反しないというのであれば、その根拠を明らかにされたい。
四 文民の避難誘導などへの自衛隊の介入は、軍事攻撃による文民の付随的損害を防ぐ「予防的措置」を講ずることを求めたジュネーブ諸条約第一追加議定書第一条、第五八条の締約国の責務に反するものと理解されているか。反しないというのであれば、自衛隊による文民の避難誘導等が国際人道法上認められる根拠を明らかにされたい。
五 東京・市ヶ谷にある防衛庁はじめ、自衛隊の諸施設及び在日米軍の諸施設が住宅地や民用施設などの密集地に所在しており、また隣接して住民の居住地域が密集している現状は、明らかにジュネーブ諸条約第一追加議定書第四八条および第五八条に反すると理解されているのか。もし反すると理解するのであれば、その改善方針を明らかにされたい。
六 五について、国際人道法の原則に反していない自衛隊及び在日米軍の諸施設があれば明らかにされたい。
七 二〇〇六年三月一六日の参議院内閣委員会での近藤正道議員の質問に対して、沓掛哲男国務大臣は、「国民保護計画の作成も、国民保護法及び基本指針におけるこれらの定め(国際人道法の的確な実施を確保しなければならない)に基づいて作ることになっておりますので、これらを通じて国際人道法の的確な実施が確保されていることとなるものと理解しております」と発言しているが、「国際人道法の的確な実施」とは、具体的に国民保護計画の何を指しているのかを明らかにされたい。
八 また、沓掛大臣は「国際人道法上の中身についてしっかり取り入れていかなければならないということは基本方針として指導いたしております」と発言しているが、これまでの各自治体での国民保護計画作成にあたって、具体的にどのように取り入れられているのかを明らかにされたい。
九 また、沓掛大臣は「無防備地区の宣言は、国民の生命、身体及び財産を保護する観点から、国民保護措置に関連はある」との認識を示していながら、「国民保護に関する基本指針ではなく、(武力攻撃)事態対処法第九条第二項の武力攻撃事態等への対処に関する基本方針(対処措置に関する重要事項)で定めることが適当である」旨発言しているが、無防備地域宣言は軍事攻撃、戦禍から住民を保護するための規定であり、「国民保護」をうたう「国民保護計画」であれば、無防備地域宣言の具体的な手続き、その際の地域自治体の役割等に関する規定を盛り込むべきであると考えるが、「国民保護計画」に手続きを盛り込まない理由を明らかにされたい。また、武力攻撃事態対処法第九条第二項第三号の対処措置に関する重要事項に盛り込むことが適当であると発言しているが、具体的にどう盛り込むのか明らかにされたい。

 右質問する。



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