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平成十八年九月二十六日提出
質問第一号

地方財政と下水道整備事業に関する質問主意書

提出者  市村浩一郎




地方財政と下水道整備事業に関する質問主意書


 下水道事業は、都市の健全な発達、公衆衛生の向上及び公共用水域の水質の保全を目的に、これまで国策として強力に推進されてきた。しかし、これまでの下水道整備手法は先の質問主意書(第一六四回国会質問第三〇九号)で指摘したように多くの問題点を顕在化させている。
 政府は、その教訓を今後の下水道整備手法に生かそうとはせず、依然、従前と変わらない手法で下水道整備を進めようとしている。この点において先の提言を含めた質問主意書への回答は全く納得ができるものではない。
 下水道整備の対象が五万人以下の市町村にその重点を移しており、これからの下水道整備を考える場合、@国及び地方公共団体が抱える多額の借金を増やさない、そのためには、A事前に経営見通しの立たない下水道事業は採択しない、B下水道事業計画の立案に際し、下水道事業と同様の効果を実現できる浄化槽による整備との比較検討を義務付けるなど、思い切った方針の転換が必要である。
 係る観点と先の質問主意書に対する回答を踏まえ、次の事項について再度質問する。

一 公共下水道の使用料は、下水道法第二十条第二項の原則によって条例で定めるとしているが、現規定は、下水道事業が抱えている経営上の問題を解決するものではなく、単に一般会計からの繰入を正当化するものに他ならない。受益者負担の原則を適用する下水道事業であれば、使用料を定める原則に次の趣旨、つまり「(使用料は)起債償還が終わるまでの期間を通じて収支が均衡する水準であること。」を加え、経営の安定を確保すべきと考えるが如何か。
二 処理計画人口約五万人規模及び約二万人規模の左記市町の下水道について、「下水道事業の管理・運営費用のすべてを回収できる水準の下水道使用料金」は標準世帯で年額いくらになるか伺いたい。
 ・約五万人規模の下水道
  北海道登別市  単独公共(五三、七七〇人計画) 昭和五十七年認可
  愛知県東海市  単独公共(六三、五六五人計画) 昭和四十六年認可
  岡山県津山市  単独公共(六二、一一〇人計画) 昭和五十三年認可
  広島県廿日市市 単独公共(四一、五四〇人計画) 昭和六十一年認可
  愛知県長久手町 単独公共(四一、一〇〇人計画) 平成三年認可
 ・約二万人規模の下水道
  兵庫県篠山市 単独特環(一八、〇三〇人計画) 平成四年認可
  愛媛県東温市 単独公共(一八、〇六〇人計画) 平成七年認可
  静岡県掛川市 単独公共(一八、三〇〇人計画) 平成五年認可
  長野県大町市 単独公共(二三、一〇〇人計画) 平成三年認可
  岐阜県美濃市 単独公共(一九、一〇〇人計画) 平成三年認可
三 平成十年度以降事業評価制度に付された下水道事業は三〇四ヶ所で、その結果、採択されなかった事業は〇であったということは、この制度が有効に機能していないことの証左である。下水道事業が地方財政を圧迫する大きな要因の一つになっている現下、事業評価項目に下水道事業が財政に与える影響等を加え、評価・審査することが必要と考えるが如何か。
四 下水道認可申請時に提出させている建設財源及び維持管理財源に関する書類は、認可にあたり考慮されないとのことであるが、何のために提出させているのか伺いたい。
五 北海道夕張市が財政破綻したことに関し、下水道の建設及び供用開始後の管理・運営に伴う財政負担が影響しているのではないかと危惧する。夕張市の下水道について、建設事業総額、平成十六年度における管理費(維持管理費、起債償還費)、同年度における料金収入、一世帯当たりの使用料年額及び平成十六年度までの管理費と料金収入の累積差額を伺いたい。
 又、同市の「下水道事業の管理・運営費用のすべてを回収できる水準の下水道使用料金」とは、標準世帯で年額いくらになるか伺いたい。
六 人口二万人規模の下水道を建設した場合の不足する財源措置について尋ねたのに対し、質問にまともに答えず、平成十六年度の決算を引用して「使用料収入は下水道事業債の元利償還金を含めた汚水処理経費の約六割」とあたかも二万人規模の下水道事業であってもこの程度の料金収入があるかのように誤った回答を行っている。改めて二万人規模の下水道を整備する場合、四五年間の管理・運営費不足額とその財源をどこに求めるのかについて伺いたい。
七 指導文書をもって地方公共団体を指導したからには、国はその結果(効果)を正確に把握する義務がある。当該通知を受けて地方公共団体の下水道事業の経営状況の公表等がどのように改善されているか、内容及び方法を具体的に示されたい。
八 浄化槽を下水道に繋ぎ込む必要のないものとすることによる経済効果は先の質問主意書で指摘した。浄化槽法の改正により同法の目的に水質の保全が明文化され、浄化槽が下水道と同等の処理機能を有することになったことを指摘して次の事項について伺いたい。
 ア 下水道処理区域において、浄化槽管理者が公共下水道管理者に許可を受けた場合、下水道へ繋ぎ込まなくてもよいと考えるが如何か。
 イ 地方公共団体が先行設置されている浄化槽を繋ぎ込まない政策判断をし、下水道整備計画を策定し認可申請した場合、認められて然りと考えるが如何か。

 右質問する。



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