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平成十八年九月二十九日提出
質問第二七号

安倍首相の日本国憲法についての認識に関する質問主意書

提出者  辻元清美




安倍首相の日本国憲法についての認識に関する質問主意書


 安倍新政権が成立したことを受けて、安倍内閣総理大臣の憲法についての見解や政治姿勢を明らかにすることは、多くの国民の要求するところである。
 従って、以下、質問する。

一 安倍首相の「憲法を逐条的に変えるのではなく白地から書いて、国のあり方を考えることが大切なんです。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)「基本的に全文脈です。すべてを見直し、書き起こしていく作業が必要だと考えております。」(「正論」二〇〇四年七月号)という発言について
 1 ここで安倍首相がいう「白地から書いて」「すべてを見直し、書き起こしていく」とは、日本国憲法を廃止して新しい憲法を制定するということか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
 2 日本国憲法は、第九六条第二項の改正に関する規定で「この憲法と一体を成す」としており、廃止改正することは日本国憲法自体が想定していないと考えるが、安倍首相の見解を明らかにされたい。
 3 日本国憲法第九六条第二項のもとで、どのような範囲の改正なら可能と考えるのか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
二 安倍首相の自著の「《平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した》(略)憲法前文は、敗戦国としての連合国に対する“詫び証文”のような宣言がもうひとつある。《われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい》という箇所だ。」(『美しい国へ』一二二頁)という記述について。また「白地から新しい前文を書きます。現憲法の前文は何回読んでも、敗戦国としての連合国に対する詫び証文でしかない。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)という発言について
 1 なぜ、日本国憲法前文が「詫び証文でしかない」と安倍首相は主張するのか。その理由を示されたい。
 2 日本国憲法前文が「詫び証文」でしかないという安倍首相の認識が、今後の日本政府としての公式見解と理解してよいか。
三 安倍首相の「憲法には国民の権利を保障するために、国家権力の手足を縛る側面もありえますが、他方、日本国民の生命、財産を守るために必要な規定も並置されているわけで、その実行力を奪うようなことをしてしまっては本末転倒です。」(「諸君!」二〇〇五年六月号)という発言について
 1 「日本国民の生命、財産を守るために必要な規定」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
 2 「その実行力を奪うようなこと」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
四 安倍首相の自著の「ふたつの保守党が合併したもうひとつの理由は、日本が本当の意味での独立を取り戻すことにあった。(略)まさに憲法の改正こそが、『独立の回復』の象徴であり、具体的な手だてだったのである。(略)第二の目標は、後回しにされてしまった。(略)その結果、弊害もあらわれることになった。(略)損得を超える価値、たとえば家族の絆や、生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまったのである。」(『美しい国へ』二九頁)という記述について
 1 安倍首相が「生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまった」理由が憲法改正が後回しにされたことにある、と考える根拠を示されたい。
 2 「生まれ育った地域への愛着、国に対する想いが、軽視されるようになってしまった」責任は誰にあると安倍首相は考えるのか。
 3 長年与党の地位にあった自民党に責任はあると安倍首相は考えるのか。
五 安倍首相の「日本の国は、戦後半世紀以上にわたって、自由と民主主義、そして基本的人権を守り、国際平和に貢献してきた。(略)日本人自身がつくりあげたこの国のかたちに、わたしたちは堂々と胸を張るべきであろう。わたしたちは、こういう国のありかたを、けっして変えるつもりはないのだから。」(『美しい国へ』六九頁)という記述と「戦後六〇年間の我々の『平和に対する貢献』という実績にもっと誇りを持って良いでしょう。」(「諸君!」二〇〇五年八月)という発言について
 1 「こういう国のありかたを、けっして変えるつもりはない」といいながら、なぜ日本国憲法を改正する必要があるのか。安倍首相の見解を明らかにされたい。
 2 安倍首相は、「戦後六〇年間の我々の『平和に対する貢献』という実績」は、日本国憲法第九条のもとで実現されてきたとの見解か。
六 安倍首相の「現行憲法の制定過程に問題があった。」(「論座」二〇〇四年二月号)という発言について
 1 ここで安倍首相がいう「現行憲法の制定過程」の「問題」とは何か。安倍首相の見解を具体的に示されたい。
 2 「現行憲法の制定過程に問題があった」という安倍首相の見解が、日本政府の公式見解としてよいか。
七 安倍首相の日本国憲法についての「時代にそぐわない条文、その典型的なものが九条だと思いますが、それ以外にも新しい価値観が生まれている中で見直していかなければいけない条文、あるいは改定しなければいけない条文がある」(「論座」二〇〇四年二月号)という発言について
 1 「時代にそぐわない」というのは具体的にはどの条文をさすのか。安倍首相の見解を示されたい。
 2 その条文があることによって、具体的にどのような国益を減じさせるのか。安倍首相の見解を示されたい。
八 安倍首相の自著の「国の骨格は、日本国民自らの手で、白地からつくりださなければならない。そうしてこそ、真の独立が回復できる。」(『美しい国へ』二九頁)「憲法第九条の規定は、いっぽうで独立国としての要件を欠くことになった。」(『美しい国へ』一二三頁)という記述について
 1 安倍首相の論理でいえば、日本国憲法第九条がある限り、日本は独立国ではないということになるが、今の日本は日本国憲法第九条がある以上、独立国ではないと考えるのか。安倍首相の見解を示されたい。
 2 「独立国の要件」とは何か。安倍首相の見解を示されたい。
九 日本国憲法第九九条の憲法尊重擁護義務により、安倍首相は日本国憲法を尊重し擁護する義務があると考えるが、安倍首相の見解はどうか。
一〇 過去の歴史に対しての認識を明らかにせず、憲法について議論することはできないと考えるが、安倍首相の見解を示されたい。

 右質問する。



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