質問本文情報
平成十八年十二月四日提出質問第二〇四号
タクシーの全面禁煙化に関する再質問主意書
提出者 小宮山洋子
タクシーの全面禁煙化に関する再質問主意書
前回の答弁書(平成十八年十一月二十一日付答弁第一五一号)において、政府は「タクシーの禁煙化は各事業者において自主的に取り組むべきことで、一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款を改正して導入しやすくしている」と答弁している。しかしながら、政府は、受動喫煙から人々を保護するため、公共的な場所における積極的な取り組みを義務づけられている「たばこ規制枠組条約」を批准し、健康増進法第二十五条において、多数の者が利用する施設の管理者は、受動喫煙の防止に努めなければならないと定めている。そして厚生労働省は、タクシーもその規定の適用対象になるとの見解を示している。さらには、運送利用者の保護を目的とする道路運送法や、職場における労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする労働安全衛生法等によって、タクシーの乗客と乗務員双方の保護を定めた法律も存在する。
このような観点から、政府は、早急にタクシーの全面禁煙化問題に取り組み、事業者の自主的な解決に期待するのではなく、率先して援助すべきと考える。
そこで、次の事項について再質問する。
二 現在、禁煙タクシーの導入は、タクシー事業者の裁量に任されているが、全国の法人事業者約九千社と個人事業者約四万五千人が意見を統一して禁煙化を図ることは困難である。そこで政府は、タクシー事業者に対して全面禁煙化の助言・指導をなすべきと考えるが見解を問う。
三 一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款を改正し、タクシー内の禁煙に関する規定を設けてから十八年経過した平成十八年三月末現在、全国の禁煙車両率はわずか三パーセントに過ぎない現実を、政府は是認するのか。
四 旅客が現在する車内において乗務員が喫煙することを禁じている、旅客自動車運送事業運輸規則第四十九条第二項第三号は、輸送の安全及び旅客の利便を図る観点から規定していると前回答弁している。では「旅客の利便を図る観点」に「乗務員の車内喫煙による旅客の受動喫煙被害の防止」が含まれているのか。
五 禁煙車と非禁煙車の混在する現状は、車内で喫煙する利用者が非禁煙車を選んで利用することから、禁煙車両が増えるごとに非禁煙車乗務員の受動喫煙被害が増すことは必然である。この観点からも早急なる一律の全面禁煙化が必要と考えるが見解を問う。
六 タクシー禁煙化訴訟の判決(平成十七年十二月二十日東京地裁)の時点において、一般乗用旅客自動車運送事業標準運送約款が、既に改正されていることを裁判所は承知の上で、なおかつ「タクシー事業者の自主性に任せず、国による適切な対応が期待される」と判決で指摘したが、いまだになんら適切な対応がなされていない。この現状を踏まえ、政府は今後どのような対応を考えているのか。
右質問する。