質問本文情報
平成二十年三月十九日提出質問第一九九号
食の安全・安心のためのトレーサビリティシステムに関する質問主意書
提出者 江田憲司
食の安全・安心のためのトレーサビリティシステムに関する質問主意書
昨今、食品からの農薬検出や、偽装表示事件等により、消費者の食品に対する不安が高まっている点に鑑み、食の安全・安心を担保するシステムの導入及び運用の適正化を図る観点から、以下の通り質問する。
農林水産省のホームページにて公開されている文書「トレーサビリティシステム導入促進対策(食の安全・安心確保交付金)」によれば、「すべての食品を対象に、各食品の特性を踏まえたトレーサビリティシステム導入のために必要なデータベースの構築、情報関連機器や分析機器の整備等を支援する都道府県に対し、交付金を交付する」とのことであるが、
1 いつから何年計画で行っているのか。
2 「すべての食品」とは、文字通り、すべての食品を対象とすると理解してよいか。農畜産物のみならず、加工食品等も含むと理解してよいか。具体的に答えられたい。
3 現在までのところ、この交付金でトレーサビリティシステムが構築され、稼働している食品の数と、全体の計画数からの達成率を答えられたい。
二 会計検査院の検査によれば、平成十五年度から十六年度にかけて実施されたトレーサビリティシステム導入促進対策事業において、「トレーサビリティシステム導入促進対策事業で構築したシステムが稼働しておらず、補助の目的を達していない」事業が多々見受けられる。以下に挙げる具体的事例につき、その後の是正状況、国庫への損害の総額につき、具体的に答えられたい。
1 平成十六年度決算指摘事項
@ 安全野菜栽培協議会(千葉県匝瑳郡野栄町)において、トレーサビリティシステム導入促進対策事業の実施に当たり、関連機器等を事業費五三二七万円(国庫補助金二五三七万円)で導入。しかし、事業主体が補助金を他の用途に使用し、機器等の導入に係る代金を業者に全く支払わなかったため、請負契約が解除されシステムが稼働しないまま機器等が業者に撤去された。よって、国庫補助金二五三七万円が不当(無駄遣い)と指摘された件。
2 平成十七年度決算指摘事項
@ 山形県豚肉トレーサビリティ協議会(山形県山形市)において、トレーサビリティシステム導入促進対策事業の実施に当たり、関連機器等を事業費一億二〇九六万円(国庫補助金五六六八万円)で導入。しかし、導入した機器等の一部しか設置しておらず、残りの機器等は、倉庫に保管されたままになっていた。また、生産履歴・加工流通情報の入力についても、豚肉加工食品に加工した豚十一頭相当分について行っていたに過ぎず、その後、豚肉加工食品の販売不振などから、システムの運用を停止し、設置した機器等についても、ほとんどを撤去していた。よって、国庫補助金五六六八万円が不当(無駄遣い)と指摘された件。
A 金印グループトレーサビリティ導入委員会(東京都中央区)が、トレーサビリティシステム導入促進対策事業の実施に当たり、関連機器等を事業費二六三六万円(国庫補助金八七三万円)で導入。しかし、本システム導入後、同企業グループ内にて開発する販売・生産管理システムと前記システムを連携させることとしたため、運用開始を延期したが、同グループの販売・生産管理システムの開発目途が立たず、税金にて導入したシステムの運用が停止されたままになっていた。よって、国庫補助金八七三万円が不当(無駄遣い)と指摘された件。
B 安心フードネット協議会(東京都千代田区)が、トレーサビリティシステム導入促進対策事業の実施に当たり、関連機器等を事業費三九三万円(国庫補助金一四九万円)で導入。しかし、同協議会において、システム導入当初より米の取引価格等について構成員相互間で調整がつかなかったことから、十六年度にシステムの運用を停止しており、導入した機器等は使用されておらず、また、同協議会の活動も停止していた。よって国庫補助金一四九万円が不当(無駄遣い)と指摘された件。
3 平成十八年度決算指摘事項
@ 東日本ユビキタストレーサビリティ推進協議会(山形県東置賜郡高畠町)が、トレーサビリティシステム導入促進対策事業の実施に当たり、関連機器等を事業費四億九〇〇六万円(国庫補助金二億四三五四万円)で導入。しかし、生産者の出荷拠点十八箇所に置かれるはずであった端末装置が四箇所にしか設置されず、また、加工流通・販売業者二者にいたっては実際には補助事業に参加しておらず、業者の配送センター等には端末装置が全く設置されていなかった。そして、設置されなかった端末装置は梱包されたまま倉庫に保管され、或いは所在不明となっていた等ずさんな運用実態が明らかとなった。よって、国庫補助金二億四三五四万円が不当(無駄遣い)と指摘された件。
三 「トレーサビリティシステム導入促進対策事業」により、導入された機器等の利用状況が、次のように、低位にとどまっている場合がある。この原因・背景について農林水産省はどう認識しているか。また、今後これらの機器を有効に活用していくために、どのような具体的対策を講じていくつもりか。
(平成十五年度実施事業)
出荷量の実績/出荷予定数量ベースで、機器の利用状況が五〇パーセントを切るものが、十六年度において三〇パーセント、十七年度において一七パーセント。利用者数の実績/利用予定者数ベースで、同じく機器の利用状況が五〇パーセントを切るものが、十六年度において二〇パーセント、十七年度において一七パーセント。
(平成十六年度実施事業)
出荷量の実績/出荷予定数量ベースで、機器の利用状況が五〇パーセントを切るものが、十七年度において二六パーセント。利用者数の実績/利用予定者数ベースで、同じく機器の利用状況が五〇パーセントを切るものが、十七年度において二〇パーセント。
右質問する。