質問本文情報
平成二十一年四月九日提出質問第二九二号
急激に悪化する日本経済に対応する経済政策に関する再質問主意書
提出者 滝 実
急激に悪化する日本経済に対応する経済政策に関する再質問主意書
前回の質問主意書に対する、答弁書(内閣衆質一七一第二一三号、以下「答弁書」という)において、日本経済の現状に関して政府の考え方が示された。特に「一及び二について」で、「経済の成長という点において、日本だけが世界から取り残されてきたのではないか」という質問に対し、実質GDPも含めて判断する必要があり、名目GDP成長率のグラフのみでは、一概に判断することはできないとの答弁であった。これに関して再度質問する。
二 図一ではドル換算した各国のGDP比較を示した。これも名目GDPではあるものの、ドル換算をすれば、実質的なGDPの比較と言っても良い。これでみても日本経済は一九九五年ごろから停滞が始まっていて、世界の中で経済成長という点において、取り残されたことは明らかである。図二では、日本のGDPが米国のGDPの何%であるかを示した。一九九五年には七一%あったものが、二〇〇七年には三一・七%にまで下がっている。やはり日本経済は停滞しているのは間違いないと思うがどうか。
三 図三では、世界のGDPに占める日本の割合を示した。これ以外にも「経済の成長という点において、日本だけが世界から取り残されてきた」証拠を示す客観的な経済データは多数存在する。これは、政府が十分な経済対策を行って来なかったことが原因していると思うがどうか。
四 過去において、成長率をもっと高める方法が無かったのかと言えばそうではない。例えば今回の一二兆円の財政支出を伴う景気対策であれば、一%の成長率を引き上げるとのことであり、名目成長率も実質成長率も同時に引き上げる。過去において景気対策をもっと強力に行っていたら、更に大きな成長率の増加が見込まれたし『失われた一〇年』を防ぐことができたのは間違いないと思うがどうか。
五 名目成長率の上昇は、日本経済へ様々な好影響を及ぼす。
@ デフレ時での景気対策は、名目成長率だけでなく実質成長率も引き上げるから、実質的な経済規模の拡大が見込まれる。
A 名目GDPの拡大は可処分所得の増加をもたらし、景気回復の実感がわいてきて、日本国民に将来への希望をもたらす。
B 経済の拡大が、年金への不安を解消する。
C 一時的に国の債務のGDP比が増加したとしても、一定の成長軌道に入れば、新たな景気対策無しにGDPが増え続け、GDPの増加は債務のGDP比を下げ続ける。
D 税収が増加するから、長期的には財政は健全化する。
このような経済への好影響を考えるなら、今後の景気対策は、名目成長率が少なくとも四%を超えるまでは続けるべきだと考えるがどうか。
六 三月二七日の記者会見で与謝野大臣は一一年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標(以下「旧目標」という)に代わる新目標『骨太の方針〇九』(以下「新目標」という)を、今夏ごろに策定する考えを示した。しかし、旧目標により歳出削減を行ったために、結果として日本経済は縮小し、国民を苦しめ、しかも財政健全化という意味では全く逆効果しかなかったのだから、旧目標を掲げたことは間違いだったのではないか。新目標を掲げることは、失敗を繰り返すことになるだけだと思うがどうか。
七 オバマ米国大統領は二月九日夜、就任後初めてとなる公式記者会見で一九九〇年代の日本の長期停滞にも触れ「迅速に行動しなかったために『失われた一〇年』と呼ばれる不況を経験した」と指摘。日本の教訓に学ぶ必要性を訴えた。
また、フレドリック・ミシュキン元FRB理事が三月二七日、ニューヨーク市内で講演し、日本はゴッド・ダム・ストゥーピッド(大バカ野郎)だと発言し、一九九〇年代の不況を長期化させた元凶として日本の財政・金融政策を厳しく批判した。
このような指摘に対し政府は過去の経済政策で反省すべきものはなかったのか真剣に検討すべきだと考えるがどうか。
八 政府は一五兆円規模、つまりGDPの三%以上の規模で補正予算を編成すると伝えられている。しかし、G二〇で決まったのはGDPの三%以上というのでなく、総額五〇〇兆円ということであり、日本が世界のGDPの八%であることを考えれば、四〇兆円規模を考えるべきではないか。それに日本は世界の中でも際だって経済が悪化していることを考えれば、四〇兆円よりも更に規模を大きくしなければならないのではないか。
右質問する。


