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平成二十一年十二月二日提出
質問第一五七号

鳩山内閣における政務三役の「権限」と「責任」等に関する質問主意書

提出者  高市早苗




鳩山内閣における政務三役の「権限」と「責任」等に関する質問主意書


 鳩山内閣は、「脱・官僚主義」「政治主導」の方針を掲げている。
 各府省において、大臣をはじめとする「政務三役」が主導して、前麻生内閣の手による平成二十一年度補正予算の組み替えや、平成二十二年度予算概算要求の見直し作業を行ったことは、連日、マスメディアで華々しく報道されたところである。
 例えば、直嶋経済産業大臣は、「第百七十三回国会における直嶋経済産業大臣挨拶」において、「来年度概算要求の見直しなど、副大臣、政務官とともに、政務三役が中心となって取り組んできておりますが、今後、税制改正や来年度予算編成などにおいても、国民目線に立って、無駄や非効率を排除するとともに、我が国の経済社会の将来の発展に向けた施策を重点的に推進してまいります」と述べられた。
 これは、平成二十二年度予算概算要求の見直し、税制改正、予算編成のいずれにおいても、大臣をはじめとする政務三役が省内での「権限」を持つと同時に、外部への「責任」を負う姿勢をアピールされたものであると考える。
 ところが、行政刷新会議が行った事業仕分けに際しては、そもそも来年度概算要求見直しの責任者であったはずの「政務三役」は、当該予算の必要性を説明する「説明者」とはならず、「局長または審議官クラス」の官僚が「説明者」とされていた。そればかりか、予算要求を行った張本人である副大臣や大臣政務官が、「評価者」(仕分け人)となっていたのである。
 前記の直嶋経済産業大臣の所信にあったように「来年度概算要求の見直しなど」に「政務三役が中心となって取り組んできており」ということであれば、事業仕分けの対象となった事業の「必要性」を認め、「要求すべき金額」を決定したのは政務三役に他ならないわけである。
 予算要求など各府省の意思決定プロセスにおいては、最高責任者としての「権限」をアピールしながら、既に外部に表明された各府省の意思に対する批判を受ける段になると、意思決定者としての「説明責任」を果たそうとせず、その役割を官僚に丸投げする政務三役の姿勢には、大いに疑問を感じている。
 一体、各府省の意思決定プロセスの中で、大臣、副大臣、政務官の「政務三役」は、如何なる「権限」を持ち、如何なる「責任」を負うのか。
 予算要求など各府省が表明する意思に対して、各府省の責任者であるはずの政務三役は「客観的な評価者」として、評論家的立場でいれば足りるものなのだろうか。私は、各府省が国民や国会に対して表明する意思は、大臣から職員に至るまで統一されたものであるべきだと考えるし、各府省内で十分な議論を行った上で最終意思を決定し、表明し、責任を負うのが、大臣の役割だと考えている。
 「政治主導」を標榜する鳩山内閣における「政務三役の位置付け」を早急に明らかにしておくことは、平成二十二年度税制改正や予算編成、平成二十三年度以降の予算概算要求について、その意思決定プロセスを正しく理解するためにも、各府省が打ち出す政策の信頼性を判断するためにも、必要な作業だと考える。
 右の点を踏まえ、次の事項について質問する。

一 平成二十二年度予算概算要求見直しに際しての政務三役の役割について
 次の事項について、全府省の答弁を求める。
 @ 鳩山内閣発足後に、各府省で実施された平成二十二年度予算概算要求の見直し作業について、各府省の最高責任者は、大臣か。
 A 前麻生内閣が取り組んでいた平成二十二年度予算概算要求の内容から、変更した点はあったか。
 B 変更した点があったとすると、それは大臣をはじめとする「政務三役」が主導したものか。
 C 見直し後の平成二十二年度予算概算要求の内容について、政務三役が了解した上で、要求したのか。
 D 見直し後の平成二十二年度予算概算要求の内容について、政務三役が了解していたとすると、それぞれの事業の「必要性」と「要求するべき金額」については、大臣をはじめとする政務三役が最終決定をしたと考えてよいか。
 E 仮に、前問BCDについて、否定する答弁であるとすると、直嶋経済産業大臣は、嘘の所信表明を行ったと考えてよいか。
二 行政刷新会議の事業仕分けに際しての政務三役の役割について
 平成二十一年十一月十三日に私が提出した「行政刷新会議における事業仕分けの手法等に関する質問主意書」に対する鳩山内閣総理大臣の答弁書は、十一月二十四日に衆議院議長に送付された。
 事業仕分け作業に当たって、関係府省の「説明者」を「局長または審議官クラス」としていることに関して、私からは二問の質問を行った。
 第一は、「鳩山政権にあっては、そもそも来年度の概算要求を決定したのは政務三役であったと理解している。よって、事業仕分けの対象となっている諸事業の予算要求に責任を負う政務三役が『説明者』となるべきであると考えるが、官僚とした理由は何か」という問いだった。
 第二は、「仕分け作業の座席図を見ると、副大臣又は大臣政務官の座席は、説明者と反対側になっている。概算要求内容に責任を持つべき立場であれば、説明者席に座るべきであると考える。座席位置の決定を行ったのは誰なのか、副大臣や大臣政務官の座席位置を現状の場所とした理由は何か」という問いだった。
 これらの問いに対する鳩山内閣総理大臣の答弁は、「御指摘の『事業仕分け』を含む歳出見直しについては、平成二十一年十月二十二日に開催した第一回行政刷新会議において了承された『事業仕分けを含む今回の歳出見直しの考え方』において、『各省政務三役が、国民の目線から「予算の効率化を競うもの」』と位置付けられているところである。こうした考え方に基づき、第一回行政刷新会議において了承された『各ワーキンググループ(WG)の担当府省について』において、副大臣又は大臣政務官は、『評価者』としてワーキンググループに参加することとされたことから、『説明者』については、各府省の担当局長等としたものである」というものであった。
 この答弁書では、第一回行政刷新会議において了承された「事業仕分けを含む今回の歳出見直しの考え方」と「各ワーキンググループ(WG)の担当府省について」の記述を引いただけであり、「如何なる理由で、各府省の予算要求責任者である副大臣や政務官を『評価者』(仕分け人)と位置付けているのか」という私の疑問には、全く答えていない。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 第一回行政刷新会議において了承された「事業仕分けを含む今回の歳出見直しの考え方」において、「各省政務三役が、国民の目線から予算の効率化を競うもの」と位置付けられたということだが、「各省政務三役が予算の効率化を競う作業」は、本来は、事業仕分けの段階ではなく、各府省内で概算要求内容を決定する段階でなされるべきことではないのか。そうではないとしたら、その理由を伺う。
 A 前問について、そうではないとしたら、「政務三役が中心となって進めた」とされていた来年度概算要求の見直し作業については、「国民の目線」や「予算の効率化」を考慮せずに行われたのか。
 B 第一回行政刷新会議において了承された「各ワーキンググループ(WG)の担当府省について」において、「副大臣又は大臣政務官は、『評価者』としてワーキンググループに参加すること」とされたことから「説明者」については、各府省の担当局長等としたという答弁だが、「各ワーキンググループ(WG)の担当府省について」を決定するにあたって、副大臣又は大臣政務官が「評価者」(仕分け人)であることが相応しいと判断した理由は何か。
 C 「各ワーキンググループ(WG)の担当府省について」を決定するにあたって、事業仕分けに大臣の参加を不要と判断した理由は何か。
 D 「各ワーキンググループ(WG)の担当府省について」を決定するにあたって、副大臣又は政務官が「説明者」であるべきではないと判断した理由は何か。
 E 例えば、直嶋経済産業大臣は、「来年度概算要求の見直しなど」に「政務三役が中心となって取り組んできており」という所信を述べられた。経済産業大臣をはじめとする政務三役が中心となって見直し、要求したとされる予算の必要性や金額について、政務三役が「説明者」となれない仕組みにしたことは、妥当だったと考えるか。その理由も含めて明確に答弁されたい。
 F この答弁内容では、概算要求など各府省が表明した意思については、「官僚が勝手に決めたものであり、政務三役は、府省の方針が表明された後に『評価者』として文句をつければいい存在である」としているに等しい。政務三役は、自らが所属する府省が決めて表明した方針について、発表した後に「国民の目線から」評価を述べていればよい存在だと考えるか。
三 事業仕分けに対する各大臣の評価について
 平成二十一年十一月十三日に私が提出した「行政刷新会議における事業仕分けの手法等に関する質問主意書」では、事業仕分けに対して鳩山内閣の複数の大臣が批判的な言動を行っていることについても質した。
 第一に、「仕分け対象事業について、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣、防衛大臣が、警戒・反発する発言を行ったと報じられている。各閣僚が報道されている主旨の発言をした事実はあるか」という私の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「平成二十一年十一月十日の記者会見において、総務大臣、法務大臣、文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣及び防衛大臣が、それぞれ事業仕分けに関し発言をしたことは事実である」と答弁された。
 第二に、「事実であるとすれば、それぞれの閣僚の発言の理由を問う」という私の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「それらの発言は、事業仕分けの実施に当たり、各大臣の所管に係る対象事業等についての留意点等を述べたもの」であると答弁された。
 第三に、「仕分け対象事業に関する各閣僚の発言内容に対する鳩山内閣総理大臣の見解を伺う」という私の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「各大臣は事業仕分けの意義を十分に理解しているものと認識している」と答弁された。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 答弁書で、各大臣の発言は「各大臣の所管に係る対象事業等についての留意点等を述べたもの」であるとしているが、「留意点等」の「等」は何を指しているのか。具体的に答弁されたい。
 A 「各大臣は事業仕分けの意義を十分に理解している」との答弁であるが、何を根拠にそのように考えられるのか。具体的に答弁されたい。
 B 事業仕分けにあたったワーキンググループは、内閣府設置法に基づく行政組織でもなく、評価者は官職にあたらないことから、国家公務員法百条一項の守秘義務も課せられない。一方、事業仕分けの対象となった諸事業の予算要求を行った各省を代表する各大臣は、選挙によって選ばれた国民の代表でもある。鳩山内閣の全ての大臣は、自らが最高責任者である各省が要求した予算の必要性や規模について、法律上の位置付けもない評価者に評決される事業仕分けの手法や仕分け人の人選についても、賛同していると考えてよいのか。
 C 答弁書の通り、各大臣が「事業仕分けの意義を十分に理解している」のであれば、事業仕分けの結果が、来年度予算編成にそのまま反映されてしかるべきだということになる。各大臣が責任者を務める各省庁は、事業仕分けの意義を尊重し、当初必要としていた予算金額の獲得に向けて財務省等と交渉することはないと理解してもよいのか。
 D 十一月三十日に、長妻厚生労働大臣が、事業仕分け対象となった厚生労働省所管事業のうちの二十事業について、事業仕分けの結果を受け入れないことを表明された。鳩山内閣総理大臣の答弁書の通り、長妻厚生労働大臣も「事業仕分けの意義を十分に理解している」のか。理解しているとすると、長妻厚生労働大臣は、「事業仕分けの意義」とは何だと考えているか。
 E 十一月三十日に開催された行政刷新会議後の記者会見で、仙谷行政刷新担当大臣は、「事業仕分けの評価と異なる予算措置が行われる場合、国民が納得できる説明責任が問われる」と発言された。この「説明責任」を負うのは、具体的には誰か。
四 平成二十二年度予算編成に際しての政務三役の役割について
 @ 平成二十二年度予算編成に際して、各府省の大臣、副大臣、大臣政務官は、それぞれ如何なる役割を果たす予定なのか。
 A 平成二十二年度予算編成に際して、各府省は財務省に対して何らかの意思表示を行うのか。行う場合には、具体的には何を財務省に伝えるのか。
 B 平成二十二年度予算編成に際して、各府省が財務省に対して何らかの意思表示を行うとすれば、その内容決定にあたっての最高責任者は大臣なのか。
五 事業仕分けで「説明者」となった官僚の立場等について
 平成二十一年十一月十三日に私が提出した「行政刷新会議における事業仕分けの手法等に関する質問主意書」では、来年度予算概算要求の見直し作業について「政務三役が中心となって行った」と喧伝されているにもかかわらず、事業仕分けでは、官僚が「説明者」席に座らされ、仕分け人(評価者)から要求予算の必要性を厳しく問いただされていたことについても質した。
 第一に、「仕分け人が説明者である官僚を責め立てる場面を報道で拝見したが、これでは、単なる『官僚たたき』であり、都合の悪い場面では説明責任を逃れる政務三役の姿勢にも疑問を感じざるを得ない。官僚の士気が著しく低下するとは考えないか」という私の質問に対して、鳩山内閣総理大臣は、「ワーキンググループにおいては、説明者から事業仕分けの対象となる事業・組織等に関する説明を聴取した上で事実に関する意見交換を行っているものであり、御指摘のような『官僚たたき』ではなく、『官僚の士気が著しく低下する』とは考えていない」と答弁された。
 第二に、「事業仕分けでは、評価者による一方的な質問に終始し、説明者が意見を言う機会は殆ど与えられなかったということであるが、これでは公平性を欠くのではないのか」という私の質問に対し、鳩山内閣総理大臣は、「ワーキンググループにおいては、全体として丁寧な議論を行っており、『一方的な質問に終始』しているという事実はなく、『公平性を欠く』とは考えていない」と答弁された。
 右の点を踏まえ、次の質問をする。
 @ 「官僚たたき」や「官僚の士気が著しく低下する」とした報道が多く見受けられたが、鳩山内閣総理大臣は、いかなる根拠を持って、そうは「考えていない」と答弁されたのか、具体的に説明されたい。
 A 「官僚たたき」や「官僚の士気が著しく低下する」という点について、官僚を対象に意識調査を実施する考えはないのか。
 B 「ワーキンググループにおいては、全体として丁寧な議論を行っており」と答弁されているが、報道等でも「一時間程度では、十分な議論ができない」というのが圧倒的な評価だったと考える。「丁寧な議論を行っており」とする具体的な根拠は何か。
 C 「『一方的な質問に終始』しているという事実はなく、『公平性を欠く』とは考えていない」と答弁されているが、そのように考える具体的な根拠をお示しいただきたい。
六 今後の事業仕分けの在り方等について
 @ 前記の質問主意書で「事業仕分け会場」についても質問を行ったところ、鳩山内閣総理大臣は、「ホテルを使用することも検討したところであるが、限られた期間で調べた限り、安価で、継続して使用でき、かつ、傍聴者を十分に収容できるものはなかった」と答弁された。「限られた期間で調べた」とあるが、具体的にどのような検討と比較を行ったのか、その検討作業を行った担当部局はどこか、責任者は誰か、検討作業に関わった者の人数とそれぞれの出身省庁、社名について、明確に答弁されたい。
 A 前問につき、最終的に事業仕分け会場の場所を決定した決定権者は誰か。
 B インターネットで閲覧できるにもかかわらず、「傍聴者を十分に収容できる」ことを要件にして仕分け会場を選んだ理由は何か。
 C 鳩山内閣においては、今後も事業仕分けを続けるのか。
 D 今後も事業仕分けを続けるとしたら、その理由は何か。
 E 今後は事業仕分けを行わないとしたら、その理由は何か。
 F 事業仕分けを実施した上で、その手法について間違っていたと考えられる点や、改善すべき点はあったか。あったとしたら、具体的に説明されたい。

 右質問する。



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