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平成二十二年二月九日提出
質問第九七号

東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する質問主意書


 質問するにあたり、千葉景子法務大臣に対し、答弁を事務方任せにするのではなく、自ら目を通し、内容を把握した上で、自ら考えた上で答弁することを先に求め、以下質問する。

一 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども人質≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文一」という。)が掲載されている。右に対し本年二月三日、東京地方検察庁の谷川恒太次席検事は、「上杉論文一」は事実でないとする抗議文(以下、「抗議文」という。)を週刊朝日の山口一臣編集長に出している。千葉大臣は、「抗議文」の内容を把握しているか。
二 「抗議文」に対する千葉大臣の見解如何。
三 「抗議文」に関し、週刊朝日二月十九日発売号の二十一頁から二十三頁にかけて、「暴走検察の果て 東京地検の『抗議』に抗議する」との見出しの、「抗議文」に対して上杉氏が抗議する内容の論文(以下、「上杉論文二」という。)が掲載されている。千葉大臣は、「上杉論文二」を読み、その内容を把握しているか。
四 「上杉論文二」に対する千葉大臣の見解如何。
五 「抗議文」には、
「@ 当該検事が、押収品の返却名目で『女性秘書』(以下「供述人」という。)をだまして呼び出した(二十二頁三段目、二十四頁二段目)。
 A 供述人が子供を迎えに行く必要があるので一旦帰るか、あるいは家族に連絡させてほしいと言ったのに、当該検事がこれを許さなかったため、供述人はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸状態に陥った(二十二頁二段目、二十三頁四段目、五段目)。
 B 供述人が『せめて夫に電話させてほしい』と何百回も繰り返し哀願した結果、夫への電話が認められた(二十三頁五段目、二十四頁一段目)。
 などとする全く虚偽の事実が記載されている。」
と、東京地方検察庁特別捜査部の民野健治検事が、石川知裕衆議院議員の女性秘書に対し、「上杉論文一」に書かれてある様な対応をとった事実はない旨述べ、更に右の@からBに関し、実際はどの様な対応をとったのかについて、「抗議文」には、
「@ 当該検事は、供述人に対し、『何点か確認したいことがある』旨を告げて来庁を依頼した。
 A 夕刻、供述人から、子供の迎えもあるので帰りたい旨申出があったので、当該検事が、『家族の誰かに代わりに迎えに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたところ、供述人が夫に電話をかけ、その結果、子供の迎えの都合が付いたことから事情聴取が続けられたものであり、その際、供述人が子供の迎えだけは行かせてほしい旨発言したり、取り乱したりしたことはない。
 B 事情聴取中、供述人から、家族や事務所に連絡したい旨の申出が何度かあったが、当該検事がこれを拒絶したことはなく、供述人は、その都度連絡を取った。当該検事は、本件事情聴取中、終始、冷静かつ丁寧に対応しており、『恫喝』、『監禁』、『拷問的』などと評されるような言動は一切とっていない。」
と書かれている。
 右につき、「上杉論文二」においては、それぞれ次の様な反論がなされている。
 @について
  「民野検事が『何点か確認したいことがある』と言ったのは事実であるが、正確には『押収品の返却の他に、何点か確認したいことがある』と発言している。それに対して、女性秘書は『押収品の返却ですね』と三回も聞き直したにもかかわらず、結局、それはウソだった。
  また、〈来庁を依頼した〉とあるが、それもまったく違う。『午後一時四十五分に来てください』と有無を言わさず『出頭』の時刻を指定して呼び出している。だからこそ押収品の返却だと信じた女性秘書は、コートも羽織らず、ランチバッグひとつで検察庁に出かけたのだ。」
 Aについて
  「検事が『家族の誰かに代わりに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたことになっているが真相は真逆だ。それは母親からの依頼である。
  しかも、繰り返しの哀願でようやくかけることのできた夫への電話も、その時点で保育園への迎えの都合はついていない。だから、それによって聴取が続けられたというのも虚偽である。しかも、夫は仕事中で迎えに行けず、女性秘書の別の親族が迎えに行っている。夫への電話で子どものお迎えの都合がつかなかったことで、この瞬間、この若い母親はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸症候群に陥ったのだ。」
 Bについて
  「これもまったくの虚偽であり、悪質極まる。
  騙し聴取の始まった十三時四十五分直後から女性秘書は繰り返し外部への連絡を求めているが、民野検事はことごとく拒否している。初めて外部と連絡が取れたのは、先述した夫への電話で、窓の外が暗くなった夕刻である。抗議書にはなぜか記述がないが、繰り返し要請した弁護人への連絡も、解放直前の二十二時半になって初めて許されている。
  そしてその電話によって、長時間拘束されていることを知った弁護人が、東京地検へ電話をし、女性秘書の解放につながったのだ。
  また、『終始、冷静かつ丁寧に対応』したとあるが、それも真っ赤なウソである。
  夕刻、無言の女性秘書に対して、『本当のことを言わないから、帰れないんだよ!』と声を荒げ始めている。女性秘書が大きな声を出さないようにお願いするが、まったく聞く耳を持たなかった。密室で初対面の男性と二人きり、しかも相手は圧倒的に立場の強い検事である。その人物から怒鳴りあげられたこの時の彼女の恐怖心はいかばかりだっただろう。結局終始、民野検事は大声をあげ、女性秘書に向かって怒鳴り続けた。
  『いいんだよっ!とにかく、本当のことを言えばいいんだよ!』
  こうしたことが、女性秘書に精神的苦痛を与え、ショック状態に至らしめたことは想像に難くない。」
 右の「抗議文」における@からBの記述、及びそれに対して反論した「上杉論文二」の内容につき、千葉大臣はどの様な見解を有しているか説明されたい。千葉大臣として、「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらが真実を述べていると考えているか。
六 「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらの方が真実を述べているかに関わらず、石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、大きな疑問、不信感が渦巻いていることは間違いないと思料する。千葉大臣として、民野検事本人に話を聞くことをはじめ、右に関し、同特捜部に対して徹底した調査を行う考えはあるか。
七 六で、ないのなら、それはなぜか説明されたい。
八 「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」に見られる様な混乱を防ぐためにも、そして検察庁という組織の名誉を守るためにも、被疑者への取調べは勿論、石川代議士の女性秘書の様な、将来参考人、証人となりうる人物への事情聴取についても、同庁としてそれらを録音・録画する等の措置をとり、全面可視化を図ることが必要であると考える。千葉大臣として、迅速に、可能ならば今国会中に右を実現させる考えはあるか。
九 「上杉論文二」には、
 「筆者と週刊朝日はこれまでも検察に対しては、繰り返し取材の依頼を行い、反論の機会を与えてきた。だが検察は、
 『司法記者クラブに所属していない週刊誌に対しては一律お答えしていない』
 といういつもの理由で、回答を拒否してきたのだ。」
との記述があるが、右は事実か。検察庁、特に東京地検特捜部として、上杉氏及び週刊朝日による取材依頼を断ったという事実はあるか。
十 九で触れたが、検察庁、特に東京地検特捜部として、司法記者クラブに所属している者以外による取材を断っているのは事実か。事実ならば、それはなぜか。
十一 十が事実ならば、国民に対する説明責任を果たし、情報の透明性を確保する観点からも、検察庁及び東京地検特捜部がその様な措置をとっていることは不適切ではないのか。例えば昨年、岡田克也外務大臣は、より広範囲な報道関係者が記者会見に出席できる様、外務省に対する取材の門戸を拡げる措置をとった。検察庁、特に東京地検特捜部、ひいては法務省としても、右の外務省と同様の措置をとるべきではないのか。千葉大臣の見解如何。
十二 昨年三月三日、民主党小沢一郎幹事長(当時は代表)が政治資金規正法に違反する形で西松建設より献金を受けていたとして、小沢幹事長の資金管理団体の会計責任者である公設第一秘書が逮捕された事件(以下、「西松事件」という。)に関し、同月十七日、司法記者クラブより東京地検特捜部に対し、「西松事件」についてテレビカメラも入れた記者会見を開く様、申し入れがなされたが、東京地検特捜部はそれを拒否している。右につき、本年一月二十六日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第二号)では、「検察の活動内容は、基本的には、公開の法廷における主張や立証を通じて公にされるべきものであり、検察当局において、起訴した場合に記者会見を行うことがあるのは、検察当局の活動を国民に正しく理解していただくため、あるいは社会に無用の誤解を与えないようにするために、公訴事実の概要等を説明するものに過ぎず、その限りの会見を行う際に、テレビカメラを入れなかったとしても、その対応に問題があるとは考えていない。」と、「西松事件」についての記者会見の際に、テレビカメラを入れなかったとしても、特段問題はない旨の答弁がなされている。しかし、十一で触れた様に、検察庁、特に東京地検特捜部、更には法務省として、自身の活動についてより国民の理解を得ようと考えるのならば、テレビカメラを入れた方がより効果的であり、それを拒む理由は何もないと考える。むしろ、それを拒むことで、何かやましいことがあるのではないかという、無駄に国民に対して疑念を抱かせることになるのではないのか。千葉大臣の見解如何。

 右質問する。



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