答弁本文情報
平成二十二年二月十九日受領答弁第九七号
内閣衆質一七四第九七号
平成二十二年二月十九日
衆議院議長 横路孝弘 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「上杉論文一」については、本年二月三日に、東京地方検察庁から株式会社朝日新聞出版に対して、文書で抗議を行ったものと承知しており、千葉法務大臣は、その抗議の内容を把握している。
個別具体的事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄についてはお答えは差し控える。一般論として申し上げれば、検察当局において、それぞれの事案及び報道内容に応じて、適切に対処しているものと承知している。
お尋ねの「上杉論文二」については承知しているが、個々の週刊誌の記事の内容に関し、政府として答弁することは差し控える。
検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処するものと承知しており、特定の週刊誌の記事の内容を前提として、御指摘のような調査を行うことは考えていない。
被疑者の取調べを録画等の方法により可視化することについては、その実現に向けて、幅広い観点から着実に検討を進めており、また、被疑者以外の者の取調べを録音・録画することについては、刑事手続に与える影響等を含め、可視化の検討の中で十分議論し、結論を得たいと考えている。
検察当局においては、検察の活動を国民に正しく理解していただくため、あるいは、社会に無用の誤解を与えないようにするために、個別の事案に応じて、適時適切に、逮捕・起訴したことや、被疑事実・公訴事実の概要等について次席検事等の幹部検察官が記者発表したり記者会見したりすることがあるが、このような場合を離れ、御指摘の週刊誌の記事の内容のような個別具体的事件における取調べに際しての具体的なやり取り等についての取材の依頼には応じていないものと承知している。
一般論として申し上げれば、仮に捜査機関の活動内容等について公にした場合には、他人の名誉やプライバシーの保護の観点から問題があるのみならず、罪証隠滅活動を招いたり、裁判所に予断を与えたり、また、関係者の協力を得ることが困難になるなど、今後の捜査・公判に重大な支障が生じるおそれがあることから、検察当局においては、記者発表や記者会見における公表に当たっては、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第四十七条の趣旨を踏まえて、個別の事案ごとに、公益上の必要性とともに、関係者の名誉及びプライバシーへの影響並びに捜査・公判への影響の有無・程度等を考慮し、公表するか否か、公表するとしてどの程度の情報を公表するかを判断しているものと承知している。
なお、司法記者クラブに所属している者以外による取材への対応については、特に定まった規定があるわけではなく、適宜適切に対応しているものと承知している。
検察の活動内容は、基本的には、公開の法廷における主張や立証を通じて公にされるべきものであるが、検察当局においては、公訴事実の概要等を国民に対して正しく説明するため、必要に応じて文書を配布するなどして適切な対処をしているところであり、記者会見に際してテレビカメラを入れなかったとしても、御指摘のような疑念を抱かせることになるものとは考えていない。