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平成二十二年四月五日提出
質問第三五四号

いわゆる密約問題について外務省において保管されているはずの文書が破棄されている件に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる密約問題について外務省において保管されているはずの文書が破棄されている件に関する再質問主意書


 昨年九月十六日、岡田克也外務大臣は、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、いわゆる密約(以下、「密約」という。)があったと言われている、
 @ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
 A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
 B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
 C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
の四点につき、徹底した調査を命じる大臣命令を同省に出した。そして本年三月九日、岡田大臣は、「委員会」による「密約」に関する調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表している。また同月十九日に行われた衆議院外務委員会において、外務省条約局長を務めた東郷和彦氏は、条約局長の任に就いていた一九九八年、九九年に@の密約に関連する五十八点の文書をファイル五冊にまとめ、文書のリスト(以下、「リスト」という。)を作成し、後任の谷内正太郎条約局長(前外務事務次官)と藤崎一郎北米局長(現駐米大使)に引き継いだことを明らかにしている。また東郷氏は、「リスト」のうち十六の文書を重要文書(以下、「重要文書」という。)とし、二重丸をつけていたが、外務省が「報告書」と同時に公表した関連文書の中には、そのうちの八点しか確認できなかったと述べた。また更に東郷氏は、外務省の内情を良く知る人物より、二〇〇一年の情報公開法施行を前に「重要文書」のうち数点が破棄されていると聞かされた旨、証言し、破棄の権限は条約局長にあったと述べている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第二九八号)及び「政府答弁書」(内閣衆質一七四第三一二号)を踏まえ、再質問する。

一 「報告書」においても、また東郷氏の証言においても、@の密約に関し、本来外務省において保管されていなければならない書類の多くがなくなっていることが指摘されている。先の質問主意書で、藤崎一郎駐米大使が、一九九九年、外務省北米局長の任にあった際、@の密約に関する文書を廃棄したという事実があるかと問うたところ、過去の答弁書(内閣衆質一七二第二号)では、現在調査中である旨の答弁がなされていた。前回質問主意書で、「報告書」が公表され、@の密約の存在が明らかになった今、藤崎大使が@の密約に関する文書を廃棄したという事実があるか否か、藤崎大使本人に確認をした上で、同時に、当該確認作業を行った人物の官職氏名、行った日にち、場所、方法を明らかにし、確認の内容を文書に記録した上で答弁することを求めたところ、「前回答弁書」では右につき特段明確な答弁がなされず、「外務省としては、今後の文書管理及び外交記録公開について、しっかりとした体制を整備することが重要であると考えており、岡田克也外務大臣を本部長とする『外交記録公開・文書管理対策本部』を設置した。この対策本部において、外交記録公開に関する規則を制定し、原則として三十年で公開するとのルール及び公開についての政務三役の関与を確立するとともに、外交記録公開についての体制強化、文書管理に関する改善措置等を検討していく予定である。(中略)また、御指摘の東郷和彦氏の発言については、外務省に外部の第三者も交えた小規模な委員会を作り、東郷和彦氏が関係者に引き継いだとされる文書についての事実関係につき確認することを予定している。」との答弁がなされている。右は、藤崎大使に対し、現時点においては右の様な問い合わせはしていないということか。
二 一で触れた様に、「前回答弁書」では「御指摘の東郷和彦氏の発言については、外務省に外部の第三者も交えた小規模な委員会を作り、東郷和彦氏が関係者に引き継いだとされる文書についての事実関係につき確認することを予定している。」と、外務省として、東郷氏の発言を受けた、@の密約に関連する文書が破棄された事実がないかを調査をする委員会(以下、「調査委員会」という。)を作る考えを有している旨の答弁がなされている。本年三月二十五日に提出した質問主意書で、岡田大臣として、「調査委員会」をいつ頃までに設置し、いつ頃までを目処に具体的な結論を出す考えでいるのか、また、同省の誰を調査対象とし、どの様な方策をもって調査をするのか、またそれを記録した文書の管理は誰が行うのか、調査対象となった人物に調査結果が出るまで守秘義務を負わせるのか等、その具体的方法はどの様になるのか、更に、「調査委員会」の座長はじめメンバーをどの様な観点から選定するのか等、「調査委員会」について種々問うたところ、「政府答弁書」では右と同様の答弁がなされている。四月二日の衆議院外務委員会に、参考人として出席し、また「委員会」のメンバーでもあった坂元一哉大阪大学教授と春名幹男名古屋大学特任教授は、それぞれ「あるべき文書がない。不自然な欠落、残念な欠落があり、歴史の検証として真相究明を是非やってほしい。外務省のためにもなる」、「今回の調査は終わっていない。文書がそろっていなかった。不自然で、意図的な廃棄があったのなら、その動機を言わなければならない」と証言していた。この様に、「密約」の問題で最も重要なことは、本来外務省にあるべき書類がなぜなくなっているのかという点を国民に明らかにすることであると考える。この点から、「調査委員会」の設置が急がれると考えるが、現時点で、その詳細はどの程度固まっているのか説明されたい。
三 前文で触れた様に、東郷氏は三月十九日の委員会で、「リスト」を藤崎大使と谷内氏に引き継いだと述べている。岡田大臣として、@の密約に関連する文書が外務省からなくなっていることの真相を解明するため、「調査委員会」による調査対象に、藤崎大使だけでなく、谷内氏を含める考えはあるか。

 右質問する。



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