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平成二十二年四月十五日提出
質問第三九六号

検察官による違法な取調べの様子を記した著書に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




検察官による違法な取調べの様子を記した著書に関する再質問主意書


 角川学芸出版より発行されている「真実無罪」という著書の百九十七頁から百九十八頁にかけて、「訂正を願い出ると、尾形は、突然、イスから立ち上がり、両手でベルトをつかんで仁王立ちになると、『お前、殴り倒すぞ。張り倒すぞ。村上正邦、見苦しいぞ、お前を先生と呼ぶ価値はない。おい、村上だ』と、罵声を浴びせかけてきた。(中略)『お前、村上、きさま、チンピラやくざよりまだ悪いな。チンピラやくざよりも劣るよ』『お前は国会の証人喚問で「腹を切る」と言ったよな。いま、私の目の前で腹を切ってみろ。切れるものなら切ってみろ』『口先三寸で人を利用して。玉置(和郎)先生はお前のことをエゴの塊だと言っていたようだ』『検察は、徹底的に対決するからな。お前のような国会議員がいたと思うと情けない。裏と表がありすぎるんだよ。裏の部分を世間に明らかにしてやる。新聞記者を集めて公開してやるよ。お前がいかに巧言令色かということを証明してやる。覚えておけ。三途の川に送って、国民を欺瞞したお前の舌を二、三枚抜いてやる。あなたは今、どういう立場にいるか知ってるかい。コンクリートの地獄の中にアリが落ちたようなものだよ。這い上がるすき間はないんだよ。そのコンクリートのふたを閉めてやる』」と、二〇〇一年三月、受託収賄の容疑で逮捕された村上正邦元参議院議員に対し、尾形なる検察官が右の様な暴言を吐き、村上氏を威迫している様子が描かれている。右につき、「政府答弁書」(内閣衆質一七四第二七二号)では「御指摘の『記述』については、承知している。」と、法務省政務三役として、右で触れた「真実無罪」における記述を承知しているとの答弁がなされている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第三二九号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書で、一般に取調べに際し、検察官が被疑者に対して、殴り倒すぞ、張り倒すぞ等、暴力をふるうことをほのめかし、精神的に圧迫する、チンピラやくざ等の言葉を用い、当該被疑者の人間性を否定するかの様な暴言を吐く、自分の目の前で腹を切れ等、自身の面前で自殺することを強要する、現状から抜け出す道はない等、絶望感を与え、冷静な判断を不可能とさせる様な暴言を吐くといった行為を行うことは許されるかと問うたところ、「前回答弁書」では「刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十五条第一項は、『裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁固に処する。』と規定しており、捜査機関がその職務を行うに当たり、この規定に該当する行為を行ってはならないことは当然である。なお、御指摘の『暴言』等が『陵辱若しくは加虐』に当たるかどうかは、証拠によって個別に判断される事柄である。」との答弁がなされている。では、取調べの様子を録音・録画する全面可視化の措置が講じられておらず、取調べの最中に実際に何が行われているか、確たる証拠として残すことが困難な今、右の様な行為が行われたとしても、「個別の証拠がない」として、見過ごされてしまう可能性があるということか。
二 前回質問主意書で、村上氏の取調べを担当した検察官に尾形という者はいるか、また右の者は現在も現職の検察官として職務に就いているかと問うたところ、「前回答弁書」では「個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄については、政府として答弁することは差し控える。」との答弁がなされている。村上氏は既に実刑の刑期を終えており、同氏の事件は全て終了している。また当方は、単に尾形という検察官がいるか否かを問うているのみである。そうであるにも関わらず、右の様な答弁がなされるのはなぜか。
三 前回質問主意書で、前文で触れた「真実無罪」における記述は事実を反映したものか、過去に村上氏に対する取調べを担当した検察官が、前文で指摘した様な暴言を村上氏に吐いたという事実はあるか、検察庁による回答を求めたところ、「前回答弁書」では「個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄及び特定の書籍における個別の記述について、政府として答弁することは差し控える。」との答弁がなされている。村上氏は既に実刑の刑期を終えており、同氏の事件は全て終了しているが、政府、特に法務省政務三役が、右の理屈で事実関係を明らかにすることを差し控えるのはなぜか。
四 「前回答弁書」には「個別具体的な事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄及び特定の書籍における個別の記述について、政府として答弁することは差し控える。」とあるが、政府、特に法務省政務三役として、前文で触れた「真実無罪」における記述が事実か否か、実際にその様な取調べが行われたか否か、明らかにはしないが、その事実関係を正確に把握していると理解して良いか。
五 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども人質≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文」という。)が掲載され、それには、東京地方検察庁特別捜査部に所属している民野健治検事が、本年一月十五日、小沢一郎民主党幹事長の政治資金をめぐり逮捕された石川知裕衆議院議員の女性秘書に対し、被疑者としての出頭を予め明確に求めることなく全く別の理由で呼び出し、不意打ちの様な形で事情聴取を行った、その際に外部との連絡を無理矢理絶たせた、同秘書に対し、事実関係云々に関係なく、検察の言いなりになることを脅迫ともとれる様な言いぶりで求め、黙秘権を否定するかの様な発言をした、当初押収品の返却との理由で呼び出しておきながら、一つの押収品も返却しなかった旨の記述がなされている。それに対し、本年二月三日、東京地方検察庁の谷川恒太次席検事は、「上杉論文」は事実でないとする抗議文(以下、「抗議文」という。)を週刊朝日の山口一臣編集長に出し、「上杉論文」における記述三点を挙げ、具体的にそれらがどの様に事実と異なるかを詳細に述べている。前回質問主意書で、検察庁として、「上杉論文」について週刊朝日に「抗議文」を送付したのと同様に、「真実無罪」に対しても抗議を行っているかと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねについては、記録が残されていないため、お答えすることは困難である。」との答弁がなされている。右について、そもそも記録が残されていないのはなぜか説明されたい。

 右質問する。



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