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平成二十三年十月二十八日提出質問第一五号
中川文部科学大臣の教育権を否定する違法・不当介入な国会答弁に関する質問主意書
提出者 照屋寛徳
中川文部科学大臣の教育権を否定する違法・不当介入な国会答弁に関する質問主意書
中川正春文部科学大臣(以下、中川文科大臣という)は、去る十月二十六日の衆議院文部科学委員会(以下、十月二十六日の衆院文科委員会という)で、沖縄県八重山地域の中学用公民教科書採択をめぐる問題について、同年八月二十三日に教科用図書八重山採択地区(以下、八重山採択地区という)協議会が答申した育鵬社版とは異なる東京書籍版を採択した竹富町教育委員会に対し、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(以下、無償措置法という)に基づく採択を行っていないとして「国の無償供与の対象にはならない」との見解を示した。そのうえで、「地方公共団体みずから教科書を購入して生徒に無償で供与するということまで法令上禁止されるものではないという解釈が法制局の方からも出てきた」等と答弁している。
事実上、竹富町に対する東京書籍版「有償購入」強制を意味する一連の中川文科大臣の国会答弁は、憲法が定める教育権を否定し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律(以下、地教行法という)や無償措置法の立法目的・趣旨にも反するものである。国家権力による教育への違法・不当介入であると断ぜざるを得ない。
なお、係る中川文科大臣の見解には、沖縄県教育委員会も大きな疑念を抱いている。同時に、竹富町民をはじめとする多くの八重山郡民、沖縄県民が強い怒りを表明していることを強く申し添える。
以下、質問する。
その前提に立つと、十月二十六日の衆院文科委員会における中川文科大臣の一連の国会答弁は「指導・助言・援助」の枠をはるかに越えており、竹富町に自主財源で教科書を有償購入するよう強権的に誘導せんとする方針表明に当たると考えるが、政府の見解を示されたい。
また、地方公共団体たる竹富町に自主財源で教科書を有償購入する義務を課す法的根拠は所在しないと考えるが、政府の見解を示されたい。なお、法的根拠の所在が明確であるとの見解であれば、当該条文を明らかにされたい。
二 憲法第二十六条は、国民の教育を受ける権利、教育を受けさせる義務、および義務教育の無償を定めている。私は、この憲法第二十六条の精神に則り、義務教育における授業料に限らず、使用する教材たる教科書も国の責任の下で無償供与するために無償措置法が制定されたと認識する。
係る認識に立つと、無償措置法の立法目的・趣旨に照らし、二〇一一年九月十五日付、文部科学省初等中等教育局長・山中伸一発出、沖縄県教育委員会教育長宛の文書(二三文科初第八三五号)「沖縄県八重山採択地区における教科書の採択及び教科書の需要数の報告について(通知)」にある「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果」、すなわち無償措置法第十三条第四項に定める協議の結果と同一の教科書を採択したか否かに依らず、むしろ、国による教科用図書の無償給付に定める無償措置法第三条を尊重した対処方針を所管府省たる文部科学省は示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 無償措置法第十二条は、採択地区の設定および変更を規定している。同条に基づき、すでに教科書の発行に関する臨時措置法施行規則第十四条に定める教科書の需要数報告の期限(平成二十三年九月十六日)が過ぎた今年度において、採択地区を変更することは法的に可能か否か、政府の見解を示されたい。法的に不可能であるとの見解であれば、その根拠を明らかにされたい。
同時に、無償措置法第十二条に基づき、八重山採択地区を変更し、石垣市、竹富町、および与那国町の各市町が単独で採択地区を形成することが法的に可能か否か、政府の見解を示されたい。法的に不可能であるとの見解であれば、その根拠を明らかにされたい。
右質問する。