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平成二十三年十二月一日提出
質問第八六号

実用準天頂衛星システムに関する再質問主意書

提出者  吉井英勝




実用準天頂衛星システムに関する再質問主意書


 十一月十四日に提出した質問主意書(質問第四九号)において、二〇一〇年代後半を目途に四機体制、将来的には七機体制を目指すとする「実用準天頂衛星システム事業」について、準天頂衛星が米国のGPSの補完と補強の役目を持っていることから、米軍によるミサイル誘導等の軍事利用の問題を質したが、答弁書(内閣衆質一七九第四九号)において明確な答がなかった。
 よって、次のとおり質問する。なお、すべて西暦で表記されたい。

(一) 答弁書に「準天頂衛星システムは、米国GPSの測位機能を補完・補強するものであり、準天頂衛星システムとGPSがあいまって、アジア太平洋地域における測位衛星システムの有用性が高まるもの」とある。準天頂衛星システムによってGPSの測位機能を補完・補強した信号は、米国の軍事施設、艦船、航空機等で受信することが不可能な設計になっているのか。
(二) 米軍は準天頂衛星システムの測位信号を使って、ミサイルの誘導や無人機の制御等、米国の軍事活動に使用可能なのではないか。そのようなことには使わせないことになっているのか。
(三) 答弁書において、「準天頂衛星システムにおいては、米国GPSの軍用コードを発信することを予定していない。」とあるが、米国GPSの軍用コード以外に何らかの秘匿コードを発信する設計になっているのか。そうであれば、秘匿コードを利用するのはどこか。
(四) 同じく「準天頂衛星システムは、アジア太平洋地域をカバーするもの」とあるが、当該地域に該当する国名をすべて列挙されたい。
(五) 準天頂衛星一号機の技術実証と利用実証について、答弁書は「技術実証及び利用実証を行っているところ」と、実証は終了していないことを示している。また、その結果については「技術実証に関して、これまでの実証において、おおむね、当初の目標どおりの性能を確認」とあるが、「利用実証に関して(中略)準天頂衛星システムを利用した新事業や新しいアプリケーションの可能性、これらの実現性に向けた課題の抽出等の成果を得ている。」と、利用実証の結果は「課題の抽出」が行われた段階である。さらに答弁書は「科学技術分野の事業において、実証を経て実用化を進めるとしながら、実用化に必要な技術の確認の前に実用化を進めた例については、承知していない。」と、実証の確認を終わらせずに実用化に至った前例はないことも明らかになっている。準天頂衛星システムは、なぜ、実用化に必要な技術実証や利用実証の確認と評価を最終的に行う前に実用化を進めることになったのか。
(六) 答弁書において、「準天頂衛星システムの実用化は、政府が事業主体となって行う」「現時点においては基本的に国が事業費を負担することを想定している」とある。宇宙開発には多額の予算を必要とし、その技術の実用化には大きなリスクを伴う。実用化のための技術実証や利用実証の確認と評価を踏まえずに実用化のために多額の国費を投ずることは、予算の浪費につながりかねない恐れがあるが、政府の見解を問う。
(七) 同じく「準天頂衛星システムのGPSの測位機能を補完する機能を搭載した機器の普及は既に始まっており」とあるが、この機器の名称は何で、どの程度の市場規模を持つものか。また、「政府としては、今後、産業界とも連携・協力して、コストパフォーマンスの向上に取り組んでまいりたい。」とあるが、そのためにどのような手段や方法をとるのか。
(八) 同じく「我が国の判断により、七機の衛星のみにより測位可能となる準天頂衛星システムを構築することは可能である。」とある。米国との協議や米国への通告なしに、我が国の判断だけで可能なのか。
(九) 準天頂衛星システムの調達について、答弁書では「「非研究開発衛星の調達手続等について」との整合性に留意しつつ、検討していく」とある。「整合性に留意しつつ、検討していく」が意味するものは、具体的にどういうことか。国際競争入札に付すべきものであるが、「広義の安全保障に資する」ものなので、入札に付さないことを検討していることを意味するのか。あるいは別のものか、明らかにされたい。
(十) 今年度の第三次補正予算に計上された「実用準天頂衛星システムの整備等推進調査」六億六千七百万円の内容について、答弁書では「準天頂衛星システムの実用化のために必要な技術的、法務的及び経済的観点から行う調査」とある。この中には「「非研究開発衛星の調達手続等について」との整合性」に関する調査も含むのか。
(十一) 本年十月二十五日、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会において、山川宏・宇宙開発戦略本部事務局長は、準天頂衛星七機を整備するための衛星、打ち上げ、地上システムを含めた経費について「概算でございますが約二千六百億円ぐらいが必要」と答弁している。一方、答弁書においては「準天頂衛星システムの総事業費等については、現在、検討中」とある。どちらが正しいのか。
(十二) かねてから日本経済団体連合会や日本航空宇宙工業会は、我が国の宇宙開発利用政策に関し、政府に対して様々な要求を行ってきた。「政府による調達保障」による宇宙産業の振興もその一つである。調達保障とは、いわゆるアンカーテナンシー――将来の受注を約束することと考えられる。四機体制、将来的には七機体制を目指す実用準天頂衛星事業とは、政府による調達保障につながる政策ではないのか。
(十三) 準天頂衛星一号機は随意契約によって三菱電機が受注している。二号機以降の調達において入札が行われ、仮に我が国の企業が落札したとしても、一号機と電源系や通信系の基本構造が共通する三菱電機が受注するのではないかと考えられる。日本の企業が受注したとしても、このように特定の大企業に国からの受注が集中することを避ける公正な入札等のために、どのような施策を講じるのか。
(十四) 実用衛星の国際競争入札の手続きを定めた「非研究開発衛星の調達手続等について」――いわゆる日米衛星調達合意は、米国からの圧力を受け入れ定められたものである。我が国としては、国内産業の持つ技術の継続的発展や国内経済保護のための取り組みも重要と考えられるが、日米衛星調達合意と技術の経済的発展や国内経済保護とは両立すると考えるか。あるいは、日米衛星調達合意は破棄すべきものと考えるか。あわせて、このことについては政府内でも議論が行われていると思うので、その内容や論点を示されたい。

 右質問する。



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