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平成二十五年六月二十四日提出
質問第一二三号

電力自由化と外資規制の在り方についての質問主意書

提出者  小池政就




電力自由化と外資規制の在り方についての質問主意書


 電力システム改革においては、第百八十三回通常国会において審議中の電気事業法の一部を改正する法律案附則第十一条第一項第一号で示されているように、平成二十八年に電力市場への参入の全面自由化を達成することが予定されている。現時点での電力システム改革の構想においては外国資本の参入を抑止することとはされていないため、電力自由化の結果、外資系企業も国内企業と同様に電力市場へ参入することが予想される。
 平成二十五年五月三十一日の経済産業委員会で糟谷政府参考人から「今後、外資系企業を含めて、新たに電気事業に参入しようとする事業者が増加することが見込まれる」との答弁もあるように多数の外資系企業の参入が見込まれる一方、その経営状況や規範意識も多様なものとなり得ることから、一定の参入規制及び行為基準の明確化が図られることが必要であると思われる。一方、同日の糟谷政府参考人の発言では、外資系企業であることを理由として特段の規制を講ずるのではなく、国内企業と同様の広域的運営推進機関及び経済産業大臣の指示や命令等の電気事業法の一般的規制の適用により対応する方向性が示されている。また、四月二十二日に提出した「電力事業への外国資本の参入に関する質問主意書」への回答においては、外資系企業の参入規制に当たっては電力システム改革後も財務大臣及び経済産業大臣が外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)の適用が想定されているのみであり、対内直接投資の観点からの一般法に過ぎずその基準も「公の秩序の維持」「我が国経済の円滑な運営に著しい悪影響を及ぼすことになること」との抽象的な内容を定める同法の規制のほか、電気事業が国益に多大な影響を与える観点に立った特段の個別規制を設けることは想定されていない。
 外資系企業が我が国の電力市場への参入を検討するに際し、電力分野における規制の有無及び内容について事前に知悉できるように規定を整備することは、これらの者に対し競争ルールの予見可能性を与え、国外に対して我が国市場の透明性を示すためにも欠かせないものであると考えられる。
 そこで、以下質問する。

一 平成二十年の英国に拠点を持つTCIファンドへの電源開発株式会社の株式取得中止命令では基幹設備である送電線事業への影響の懸念が理由とされていた。今般の電力システム改革でも、送電事業について、発電事業と分離することで多数の電力事業者が公平に送電網を利用し、電気事業に参入できるソーシャルリソースとして位置付けている。TCIファンドの事例に照らすと、「外為法」が送電事業に適用されるとする判断が示されていると考えられるが、参入者への予見可能性の観点からは、電気事業に係る規制として具体的かつ明確に根拠規定を設けることが必要であると考えられる。政府としてはその必要性についてどのように考えているか示されたい。
二 電力システム改革による規制緩和の趣旨及び電力自由化による競争促進の在り方については基本的には首肯できるものであり、上述のような公共性に重きが置かれる送電事業と異なる発電事業については、基本的には外資系企業も含めて参入を促進し、競争を活性化すべきであると考えられる。一方、発電事業のうち原子力を電源とするものは、原子力事業が国策としての性格を有すること、また、重大な事故やテロの目標にされる等の国民にとって甚大な影響をもたらす危険性を内包する。「外為法」の規定には上述のとおり本件への適用に関して十分な具体的な内容を有しているかについて疑義が残るところである。外資系企業による原子力発電事業についても、同法とは別に特段の規制を設ける必要性があると思われるが、今後における規制の在り方についてどのように考えているかを示されたい。
三 この他の局面については、電力システム改革の趣旨に照らして特に外資系企業の規制を行う必要はないと思われるが、政府においては、五月三十一日の経済産業委員会において、電力市場への新規参入事業者に関して「ライセンス制」を新設する構想が示されている。この「ライセンス制」に係る規定には、国内企業の参入条件と併せて外資系企業に対する参入規制やその他の行為規制等も盛り込まれることとなるか。そうである場合、その内容としてどのようなものを予定しているのか示されたい。
四 五月三十一日の経済産業委員会では、一定の供給力を担うに至った外資系企業が市場から自由に退出する可能性について議論がなされ、糟谷政府参考人からは投資を回収する以前の段階における退出は考えにくいとしつつ、価格のつり上げ目的や意図的な発電停止といった場合には広域的運営推進機関ないし経済産業大臣の指示及び供給命令により対応するとの方向性が示されている。他方、競争市場を活性化させるためには市場への参入と退出による新陳代謝の促進は不可欠であり、明らかに採算がとれなくなるような場合においても徒らに電気の供給を命じ続けることは市場原理と相反する可能性もある。このため、電気の安定供給が確保される範囲において、当該外資系企業の市場シェアや、火力・再生可能エネルギー等の構成電源の別、経営状態等の個別の状況を勘案して、退出の是非を判断することが適当であると考えるが、政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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