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平成二十六年三月三十一日提出
質問第九九号

第九十九回薬剤師国家試験の結果にみる薬剤師養成教育の在り方に関する質問主意書

提出者  柚木道義




第九十九回薬剤師国家試験の結果にみる薬剤師養成教育の在り方に関する質問主意書


 平成二十六年三月三十一日に発表された第九十九回薬剤師国家試験の結果によれば、受験者の総合合格率は六〇・八四%、新卒受験者の合格率は七〇・四九%であったと聞く。この数値は春に実施される薬剤師国家試験(新卒受験者がなかった年を除く)としては極めて悪い数字であると認識するところである。国家試験の合格率に一喜一憂することは必ずしも医療の質を担保することにつながるとはいえず厳に慎むべきことであるが、今般の試験結果は、薬剤師養成教育の質について疑問を呈するに十分な結果であり、断腸の思いで質問主意書を提出するものである。今般の薬剤師国家試験の結果並びに薬剤師養成教育の在り方につき以下の通り政府の見解を求める。

一 今般の例年と比べて悪い結果となった薬剤師国家試験の原因について分析し、薬剤師が安定的に供給できるような体制を構築するように改善していく考えがあるのかどうか政府の見解如何。
二 今般のように新卒者の合格率が低い場合には、薬剤師免許を行使するという前提で新卒薬剤師の採用計画をしていた病院等医療機関並びに薬局等医療提供施設においては、人事計画に狂いが生じることになりかねない。こうした状況を少しでも改善するために、現在、一年に一度しか実施されていない薬剤師国家試験を昭和六十二年以前のように春・秋の二回実施に戻すことを検討するのも必要ではないかと考える。東京大学などでも九月入学を検討していると聞く昨今の事情を鑑みるに、春・秋の年二回実施を真剣に検討することは時代の趨勢とは反しないものと考えるが、政府の見解如何。
三 併せて、国家試験に合格できなかったことを理由に採用が見送りとなることも考えられるが、新卒者の雇用の安定という考えから政府として何らかの措置を検討するのか政府の見解如何。
四 薬剤師養成教育については、日本薬学会が検討した薬学教育モデル・コアカリキュラムを基に各大学が教育を実施しているものと理解するものである。しかし、今般の薬剤師国家試験の結果を鑑みるに、薬学部入学者が六年の歳月をかけて薬剤師養成教育を享受した結果として十分な成果をあげられない事実が考察される。少なくとも臨床現場の求める最低限のニーズである薬剤師国家試験に合格できる卒業生を養成できるように配慮された教育プログラムでなければ、六年もの長期間にわたって授業料を支払う学生の期待に応えたとはいえない。今般の厳しい結果を受けて、薬剤師養成教育の中身について再度検討するべきではないかと考えるところであるが政府の見解如何。
五 また、薬剤師養成教育を所管する文部科学省と薬剤師の需給と職能の質を所管する厚生労働省との間で意思疎通ははかられているのかどうかについて確認をしたい。薬剤師養成教育の中身の検討において、文部科学省は、厚生労働省や病院並びに調剤薬局等現場の意見を踏まえているのか。また、踏まえているのであれば、具体的にどのように配慮がされたのかをお示し願いたい。
六 薬剤師養成教育については、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究会で検討していると理解するところである。しかし、同専門研究会の委員を見る限りにおいて、少なくとも調剤薬局での勤務経験のあるものは極めて限定的であり、また、ドラッグストアなど調剤を伴わない医薬品販売業での経験を有する者については皆無であるとみられる。薬剤師養成教育とは、職業としての薬剤師を養成する目的で教育が提供されるものであり、原理原則を貫くのであれば、職能団体である日本薬剤師会を中心にして検討を進めるべきと考える。しかしながら、現状は、学術団体である日本薬学会を中心にした議論が進められていると聞く。学術的な要素が必要なのは理解するところであるが、薬剤師養成教育の目的は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するに足る「薬剤師」の安定的な供給であることを考慮するならば、薬剤師の現場を熟知した者こそが、薬剤師養成教育の中身の検討に携わるべきであると考えるが、政府の見解如何。
七 文部科学省の薬剤師養成教育の検討委員会の名称であるが、「薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂に関する専門研究委員会」とされている。ところで、薬学部における薬剤師養成教育課程を六年制に年限延長した折に、六年制課程とは別に、薬学研究者の養成課程である四年制課程を併存させ、薬学教育は、薬剤師養成六年制課程と薬科学研究四年制課程の二つに整理された。文部科学省の専門研究会は、薬学教育モデル・コアカリキュラムという名称を用いながら、もっぱら薬剤師養成課程のみの検討を行っていることを鑑みれば、その名称に四年制課程も包含する「薬学教育」を用いるのはいささか配慮にかけると考えるものである。同専門研究会の特性を鑑み、「薬剤師養成教育モデル・コアカリキュラム」という名称を用いるのが妥当と考えるが政府の見解如何。

 右質問する。



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