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平成二十六年十月十五日提出
質問第二五号

高校生等に対する自衛官等募集ダイレクトメール送付及び住民基本台帳情報利用に関する再質問主意書

提出者  阿部知子




高校生等に対する自衛官等募集ダイレクトメール送付及び住民基本台帳情報利用に関する再質問主意書


 平成二十六年十月七日、政府は私の提出した「高校生等に対する自衛官等募集ダイレクトメール送付及び住民基本台帳情報利用に関する質問主意書」(以下、「本質問主意書」という)に対する答弁書(以下、「本政府答弁書」という)を閣議決定した。
 本政府答弁書は根拠を示さず自衛隊による適齢者情報収集を適法とし、また、住民の個人情報に関わる問題について当然明らかにすべき事柄を事実上「秘密」とするもので、極めて遺憾である。
 よって、以下再質問する。

一 @ 本政府答弁書は、自衛隊地方協力本部が自衛官等募集事務のために入手した中高生ら適齢者の住民基本台帳四情報(氏名、生年月日、性別及び住所)の件数及び自衛官等の募集に係るダイレクトメールの数を明らかにしなかった(本政府答弁書「一の@について」及び「一のAについて」)。防衛省は当該入手情報を個人情報として厳正に管理するとしている(例えば、平成二十六年六月五日付、東京地本第八六七号)にも関わらず、その入手及び利用について明らかにできないのは重大な問題であると考えるが、政府の認識はいかがか。
  A 自衛官等募集に係るダイレクトメールに要する印刷費、発送費等に加え、住民基本台帳閲覧及び書写等に多大な労力と当然ながら人件費がかかり、さらに、紙媒体等で市町村から適齢者情報を入手した場合を含め、宛名の入力等にも多大な労力と人件費がかかる中で、適齢者情報収集及びダイレクトメール発送にかかる費用に対していかなる効果が上がったのかを評価することは当然であるが、その基礎となる情報が明らかにされないのは同様に重大な問題であると考えるが、政府の認識を示されたい。
二 @ 本政府答弁書「二の@について」は「中学生本人に対する文書による直接の募集が直近五年間において行われた例について承知していない」としているところ、中学生にダイレクトメールが届いたとの声も聞かれる。政府としては、自衛隊地方協力本部又は地方公共団体から中学生本人にDMを発送していないことを確言できるのか、改めて答えられたい。あわせて、直近五年間において中学生の保護者にDMが送付された例があるか、事実関係を明らかにされたい。
  A 本政府答弁書「二のAについて」は「市町村の長に対し、中学生の氏名、生年月日等の情報に関する資料について提出は求めていない」としているが、例えば、平成二十五年十一月十四日付自衛隊新潟地方協力本部長発新潟市長宛「適齢者情報の提供について(依頼)」(新潟地本第九三九号)では、「平成十一年四月二日から平成十二年四月一日までの間に生まれた者」に関する情報の提供を求めており、本答弁は虚偽の疑いがある(なお、新潟市長はこの依頼には応じていないと聞いている)。本答弁に係る事実関係及び政府の認識を明確に示されたい。
  B 本政府答弁書「二のAについて」は中学生について入手した資料を「陸上自衛隊高等工科学校の生徒の募集に利用している」としているのみで、「具体的に」との質問に答えていない。具体的にいかなる方法で生徒の募集に利用しているのか明確に説明するとともに、その妥当性について政府の認識を示されたい。
三 @ 本政府答弁書はそれぞれの市町村が自衛隊地方協力本部からの適齢者情報提供依頼や住民基本台帳閲覧請求に対していかなる対応を行っているか、その具体的状況を明らかにすることを拒んだものである(本政府答弁書「三の@からBまで及びDについて」及び「三のC及びEについて」)。市町村名等本質問主意書の三の@からEにおいて問うた情報は、住民の個人情報の取扱いに係るものとして住民に当然に知らされるべきものであり、又、特定秘密保護法の成立をはじめ安全保障に係る情報開示のあり方あるいは「秘密」について国民の関心及び懸念が高まっている中、極めて遺憾な答弁である。本政府答弁書は「今後の当該募集事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」としているが、政府は当該情報を開示することにより具体的にいかなる事態が生じることを想定してこのような答弁を行ったのか、明確に答えられたい。
  A 本政府答弁書を通じて政府は適齢者情報収集は適法なものであるとの見解を表明しているが、それならば何故殊更に当該情報を秘匿する必要があるのか、その理由を明確に答えられたい。
  B 住民基本台帳法第十一条に基づく住民基本台帳の一部の写しの閲覧については同条第三項の定めにより、市町村長がその状況について公表をしている。このことに照らせば、本政府答弁書で住民基本台帳閲覧に係る情報をも開示しなかったことは問題であると考えるが、政府の認識はいかがか。
四 @ 自衛隊法第九十七条が「自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務」として、「学生」及び「生徒」を除外している趣旨は何であると政府は考えるか、典拠を示し具体的に答えられたい。
  A 「自衛官及び自衛官候補生の募集に関する事務」に係る自衛隊法第九十七条及び自衛隊法施行令第百二十条により市町村長に提出を求めかつ厳正に管理すべき個人情報を、本政府答弁書「四のAについて」の答弁の如く応募者の「便宜」を理由にして「学生」及び「生徒」の募集のために目的外利用することがなぜ認められると政府は考えるのか、その根拠を明確に示されたい。
五 @ 本政府答弁書の「五の@について」は何ら根拠を示さず「防衛大臣が市町村の長に対し提出を求めることができるものと解される」としており、非常に問題である。二〇〇三年に防衛庁(当時)が市町村に対する適齢者情報提供の依頼の法的根拠についていかなる説明をしていたか、時系列にその説明内容の変遷を示し、これに対する政府の評価を示されたい。
  A 本質問主意書の五の@で指摘した一九七四年発行の『防衛法』(自由国民社)の記述に対する見解を含め、政府は自衛隊法施行令第百二十条の制定時の趣旨が何であったと考えるのか、典拠を示しつつ明らかにされたい。
  B @及びAを踏まえつつ、政府が、適齢者情報を「防衛大臣が市町村の長に対し提出を求めることができるものと解される」(本政府答弁書の「五の@について」)とする明確な根拠を示されたい。
  C 本政府答弁書の「五のAについて」において、自衛隊法第九十七条第一項及び自衛隊法施行令第百二十条の規定に基づいて遂行される適法な事務であることを以って、「住民基本台帳法上に明文の規定がないからといって、特段の問題を生ずるものではない」としているが、前者から後者が自動的に帰結する訳ではないことは自明である。改めて、住民基本台帳法に明文に規定がないにも関わらず何故に特段の問題を生じないと政府は考えるのか、その根拠を明確に示されたい。
  D 防衛省から私に提出された資料(平成二十六年八月二十九日受領)には「適齢者情報の提供を受けていて、住基台帳の閲覧を実施しているとしている市町村については、住民基本台帳の該当部分を抽出の上閲覧する形態で適齢者情報を提供していただいているものである」と記述され、同記述に関して防衛省担当者は、抽出したものを閲覧できることは住民基本台帳の一部の写しの全部を閲覧して適齢者を目視で特定する場合と比べてありがたく、市町村が適齢者を抽出して住民基本台帳を閲覧させる形態を「適齢者情報提供」に含めている旨回答している。すなわち、ここにおける「抽出」は住民基本台帳法の予定しないところであり、本政府答弁書の「五のBについて」は失当である。改めて、本質問主意書の五のBに答え、政府が市町村による適齢者抽出の便宜が認められるとする明確な根拠を示されたい。
六 @ 本政府答弁書の「六の@及びCについて」によれば、法令名及び条項を明示する限りはあらゆる「法令で定める事務」を請求事由とする住民基本台帳法第十一条に基づく閲覧が認められるとするのが政府の見解であると解されるが、そうであるのか。
  A 本政府答弁書の「六のAについて」及び住民基本台帳法第十一条第三項に基づく市町村公表資料で明らかであるが、自衛官等募集事務以外の同法第十一条に基づく閲覧は統計調査等、その必要性が明白に理解できる請求事由によるものである。これに対して、自衛官等募集事務は住民基本台帳法及び個人情報保護法制の趣旨に照らして、閲覧の必要性及び妥当性が俄かに理解し難く、その異例性が際立っていると考えるが、政府がこれを法の濫用ではないとする根拠を示されたい。
  B 本政府答弁書は本質問主意書の六のCに対しては答えておらず、ただ「閲覧を請求することができるものと考える」と言っているに過ぎない。人材採用及び募集活動において他の公的機関や民間企業と競合する中で、自衛隊が住民基本台帳の一部の写しの閲覧を認められるという特権がなぜ正当化されるのか、政府の見解を明確に示されたい。

 右質問する。



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