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平成二十八年一月四日提出
質問第四号

お薬手帳を活用した薬剤費の適正化に関する質問主意書

提出者  鷲尾英一郎




お薬手帳を活用した薬剤費の適正化に関する質問主意書


 処方された薬剤を患者が飲み残した場合等に、残薬の調整が不十分なまま、新たな処方が繰り返され、その結果、患者宅に留め置かれている薬剤の費用は公益社団法人日本薬剤師会の調べでは約五〇〇億円に達するとされている(平成十九年度老人保健事業推進費等補助金「後期高齢者の服薬における問題と薬剤師の在宅患者訪問薬剤管理指導ならびに居宅療養管理指導の効果に関する調査研究報告書」他)。医療費が高騰している現状において、残薬の問題は、医療費の適正化のためにも喫緊の課題である。厚生労働省ではかかる事態への対応策として「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」が服薬情報の一元的・継続的な把握をし、処方内容をチェックすることを提唱していると聞くが、現状において「かかりつけ薬局」に固定された薬歴情報を、医師が処方作成時に活用することは極めて難しく、さらに、患者が複数の薬局を利用する場合や転居をした場合等には、現実問題として薬局に固定された薬歴情報の共有化は困難であるといわざるを得ない。
 一方、患者自身による「お薬手帳」を活用した薬歴の一元管理が実施された場合には、受診時に医師に「お薬手帳」を提示することにより、処方作成時における重複投与等の回避が可能となる。さらに、薬局で薬剤師に提示することにより、調剤前に重複投与・相互作用等の回避や残薬の確認を行うことが可能となる。
 「お薬手帳」は本来、患者自身による服薬情報の管理を目的として、患者に対してその意義を十分に説明することで運用が開始されたにもかかわらず、まことに遺憾ながら現行においては、薬局で調剤報酬を算定するための道具となっているといわざるを得ない。また、国民一般においても、お薬手帳による一元管理の意義について薬剤師などから十分に説明されていない故に、複数の「お薬手帳」を有する患者も少なくないと聞く。このように「お薬手帳」本来の意義を、副作用防止などの受益者たる国民のみならず専門職たる薬剤師も十分に理解せずに運用がなされている現状を改善し、「お薬手帳」の本来の機能を復活させるためには、薬剤師が「お薬手帳」に関して正しく理解した上で、「お薬手帳」の意義について、患者たる国民の理解をひろげるように丁寧な説明を行うことが必須と考えられる。
 また、現状において「お薬手帳」を複数所有している場合等に、これらを短期間に一元管理できるような環境を醸成するためには、患者の経済的なインセンティブを考慮することも検討すべきと思われる。
 そこで、「お薬手帳」の利活用に関して、以下政府の見解について質問する。

一 薬剤費の適正化には重複投与の回避と残薬の削減が必須であり、この解決策のひとつとしての患者自身による「お薬手帳」を活用した薬歴の一元管理(当該患者の医薬品服用の歴史をすべからく集約させ、その情報を活用せしむこと)の推進について政府の見解如何。
二 現行の薬剤服用歴管理指導料の算定要件に、「お薬手帳による患者服薬情報を確認し薬歴簿にその内容を記載すること」を定めることについて政府の見解如何。
三 患者が「お薬手帳」を提示し、服薬時に気づいた副作用や薬の効果等の体の変化や服薬したかどうか等の情報を医師及び薬剤師に提供した場合には、患者負担を軽減するという意味で、診療報酬並び調剤報酬を減算するような施策を検討することについて政府の見解如何。

 右質問する。



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