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平成二十八年一月二十六日提出
質問第八九号

市場拡大再算定の特例並びに中央社会保険医療協議会で議論される巨額な売上高の医薬品に対する特例再算定に関する再質問主意書

提出者  鷲尾英一郎




市場拡大再算定の特例並びに中央社会保険医療協議会で議論される巨額な売上高の医薬品に対する特例再算定に関する再質問主意書


 中央社会保険医療協議会で議論されている巨額な売上高の医薬品に対する再算定につき先の質問主意書にて政府の見解を求めたところであるが、平成二十八年一月二十六日に閣議決定された答弁書(内閣衆質一九〇第五二号)には、遺憾ながら誠意ある回答をみるにおよばず、あらんことか当方の質問に回答せんとする意志すら感じられない回答もあった。しかして、日本国憲法が国会議員に国民からの負託として保障している国政調査権の具体的な発露としての質問主意書に対する政府の真摯な態度をここに願うものであり、重ねて遺憾ではあるが、同趣旨の質問主意書を再度提出するものである。
 安倍晋三内閣総理大臣にして、平成二十八年一月二十二日に臨まれた「施政方針演説」において「日本を世界で最もイノベーションに適した国としていく」とその決意を強調されたところであるが、その前日に実施された米国研究製薬工業協会のパトリック・ジョンソン在日執行委員長の就任会見(平成二十八年一月二十一日)では、日本の医薬品市場が縮小し、新規医薬品を開発する市場としての魅力が失われることについて強い警鐘を鳴らしたと聞く。安倍政権は、一貫してイノベーションを評価すると公言しているのに対して、医薬品市場においては、逆に、我が国のイノベーション評価が十分でなく、日本市場に新たな医薬品を開発上市しようとする魅力がなくなりつつあるという指摘が研究開発を推進してきた創薬を業とする製薬企業の団体よりあったという事実は、安倍政権の理念と現実が、医薬品開発の世界においては倒錯していることを示していると指摘せざるを得ない。先の主意書でも指摘しているように、当初計画よりも年間販売額が極めて大きいことを理由にして、価格調整を強いるのは、当該企業の営業努力を踏みにじる政策であり、イノベーション評価とはかけ離れた愚策である。
 もちろん高血圧治療薬において誤った方法で実施された臨床研究が引用され爆発的な売上を誘引せしめた事件のことを鑑みれば、誤った方法による販売促進活動は厳に慎むべきと考えるところであるが、正当に有用性や便益性が評価されて販売額が高じたものに対しては、これは厳然たる企業努力の現れであり、この企業努力を積極的に評価できないようであっては、安倍晋三総理大臣が約束された「世界で最もイノベーションに適した国」とはほど遠い国となってしまう。とくに、この市場拡大再算定制度や当初予定よりも販売額が著しく大きく医療保険財政に与える影響が大きいと判断されるような医薬品に限った再算定制度というものは、イノベーション評価を貶めかねない。
 たとえば、これまで完治が見込めず重症化予防を前提とした医薬品しか上市されていない場合に、完治を前提とした医薬品が開発されれば、この完治が前提である医薬品を使用することによって、将来コストは大幅に減少されることになる。したがってこうした場合には、このような完治を前提とした医薬品は高額になることが多く、当然に、医薬品市場におけるインパクトも大きくなる。こうした医薬品を単純に短期的視点で販売額が著しく大きいとの理由から再算定を適用させるような事例が増えていくと、完治を前提とした医薬品を開発するよりも、完治させず重症化予防のみで永年投与し続けられる医薬品を販売した方が長期的な収益を得られると判断する企業も出てくる可能性がある。これでは、永遠に完治させるような医薬品が開発されないこととなってしまうやもしれない。こうした不幸を生むことがないように、イノベーション評価を考えていかねばならないと考えるところであるが、たとえば、先の米国研究製薬工業協会の指摘するような「日本市場の魅力減退」について政府としてどのように考えているのか将来ビジョンも含めて見解を明らかにされたい。
 また、先の主意書の四にて訊ねた「高額な医薬品」についてであるが、それでは、たとえば、すでに政府が検討している市場拡大再算定が適用される医薬品、とりわけ先の答弁書でも指摘されている製造販売業者の当初の見込みを超えて年間販売額がきわめて大きい医薬品に限って、その実勢価格を頻回かつ詳細に把握し、より頻繁に薬価改定することによって、市場実勢価格に近付けるような措置を検討した方が、中央社会保険医療協議会で議論されている市場拡大再算定の拡大ルールよりも公平なものではないかと考えるところである。
 政府が検討している市場拡大再算定が適用される医薬品、とりわけ製造販売業者の当初の見込みを超えて年間販売額がきわめて大きい医薬品などに限り頻回に薬価調査を行い、頻繁な薬価改定を行うことについての政府の見解をお示し願いたい。

 右質問する。



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