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平成二十八年二月十九日提出
質問第一四〇号

久辺三区への再編関連特別地域支援事業補助金の交付に関する質問主意書

提出者  仲里利信




久辺三区への再編関連特別地域支援事業補助金の交付に関する質問主意書


 政府は、名護市辺野古への新基地建設を進める方策として、キャンプ・シュワーブに隣接する周辺地域の中から名護市辺野古、豊原及び久志の久辺三区だけに限定して、直接補助金を交付する制度を新たに創設した。
 中谷元防衛大臣が行った「久辺三区への再編関連特別地域支援事業補助金」の説明によれば、まず、補助の仕組みとしては、@日米交流に関する事業、A住民の生活の安全に関する事業、B生活環境の整備に関する事業の三事業であるとのことである。
 次に、補助金の目的としては、「米軍再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加に特に配慮を要すると認められる防衛施設の周辺の地域」について「地元の住民の要望を踏まえた、よりきめ細やかな対応が必要」との認識に基づいた措置であるとのことである。
 次に、補助金額としては、平成二十七年度に一区当たり一.三千万円、三区合計で三.九千万円交付し、平成二十八年度に補助金額を倍増するとのことである。
 これに対して、同補助金には、「住民生活の安定に及ぼす影響の増加」があるとみなされる「防衛施設の周辺の地域」の認定や設定が偏っており政府の恣意的な意向が透けて見えること、周辺住民の要望の酌み取り方が極めて断片的であること、基礎的自治体である名護市の頭越しに自治体ではない「久辺三区」へ直接補助金の交付を行うこととしており名護市をないがしろにする措置であること、補助率が百%という、いわば「ばらまき」の状態であり他の補助金との均衡を明らかに逸していること、補助対象の要件を欠いていることが明らかであるのにも関わらず久辺三区を補助対象として強行していること、など数多くの問題点があることが指摘されているところである。
 さらに、補助内容が備蓄倉庫や無線放送設備の整備など、おおよそ国が直接交付する意義や緊急性に極め
 て乏しい内容であることからしても、同補助金は正しく政府が名護市辺野古への新基地建設に当たって「なりふり構わない姿勢を露骨に示す」対応と言われても仕方のないものである。
 そこでお尋ねする。

一 再編関連特別地域支援事業補助金は法律補助ではなく予算補助であると承知しているが、なぜ、国会において多様な視点から制度の合理性やあるべき姿等をチェックし、問題点を十分に洗い出し検討した上で成案とすることができる法律補助にするのではなく、政府の判断のみで構築し制定できる予算補助にしたのか。穿った見方をすれば、今回の同補助金が「アメとムチの性格を帯びたもの」であるから、敢えて国会での審議を避けたという考えもできるが政府の認識はどうか。
二 政府は、防衛施設周辺対策事業補助金を実施するため、今回の再編関連特別地域支援事業補助金を制定したと承知しているが政府の認識はどうか。また、防衛施設周辺対策事業補助金は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」に基づく法律補助と承知しているがどうか。
三 質問二に関連して、防衛施設周辺対策事業補助金が法律補助であるならば、法律補助の目的を達成するためには法律を改正し、若しくは新たに法律を制定して法律補助とすべきではないか。法律補助を運用の見直しにより予算補助にすることは、余りにも政府の恣意的な思惑でもって全ての補助事業を行おうとする意図が透けて見えるものではないか。
四 名護市の辺野古、豊原及び久志の久辺三区は、地方自治法第二百六十条の二で定める「地縁による団体」か。
五 質問四に関連して、久辺三区が「地縁による団体」であるならば、政府は久辺三区を補助金適正化法第三十二条で定める「法人格のない社団等」と位置付けているのか。
六 質問四及び五に関連して、久辺三区のような「地縁による団体」に対して、国が直接補助金を交付した事例があるか。
七 「法人格のない地縁団体にすぎない久辺三区」に公金である補助金を交付するならば、誰が公金の使途や管理を行うのか。また誰がそれをチェックして、執行が適正であったと責任を持って認めるのか。さらに誰が政府に報告するのか。
八 そもそも公金を扱うことができるのは選挙で選ばれた政治家が最終的な責任を負う団体でなければならないのではないか。法律に基づかずに、「法人格のない地縁団体にすぎない久辺三区」に公金である補助金を交付することは適正ではないのではないか。
九 同補助金の概要では、補助対象として、「駐留軍等の再編により、航空機が四十機、かつ、部隊人員が一千人を超えて増加する再編関連特定防衛施設が所在する」ことを条件とすることになっている。しかし、新基地が建設されていないのにも関わらず、あたかも基地が建設されているが如く補助の前提としていることや、過重な基地負担の緩和の度合いをどのようにしてはかるのか明らかにされていないこと、配慮の必要性をどう判断するのかも明らかにされていないこと、などを鑑みると、極めて不可解な補助金と言わざるを得ないが政府の認識はどうか。
十 質問九に関連して、補助対象として、「当該団体が、駐留軍等の再編が実施されることを前提とした地域づくりを要望している」ことを条件としている。しかし、辺野古区と久志区は「賛同していない」ことや、辺野古区は同補助金を「迷惑への補償金」と位置付けていることが明らかとなっている。このことからすれば少なくとも久辺三区のうち辺野古区と久志区の二区は今回の補助対象となり得ないのではないか。
十一 質問九及び十に関連して、基地から派生する様々な被害や影響を被っているのは何も久辺三区だけではなく、沖縄県内ではほとんどの地域で見られることである。なぜ、同補助金の対象地域を久辺三区のみに限定して特典を与えることにしたのか、その理由を明らかにされたい。
十二 質問十一に関連して、基地から派生する様々な被害や影響を被っている沖縄県内の全ての地域を同補助金の対象地域としない理由は何か。
十三 同補助金の補助率を百%とする理由は何か。また、このようなことは、これまで我が国で実施してきた様々な補助事業との均衡を欠く措置であり、平等原則に反した措置であると思われるが政府の認識はどうか。
十四 政府が基礎自治体である名護市の頭越しに久辺三区に直接補助金を交付することは、名護市をないがしろにする行為である。また、政府自らこれまで培ってきた地方自治や財政支出の基本的なルールを崩壊させる無謀な行為であると言わざるを得ず、極めて遺憾である。よって、政府は直ちに同補助金を廃止すべきではないか。
十五 憲法第十四条の「法の下の平等」の原理からすれば、「特段の合理的理由がないにも関わらず、不当に特定人の行う事業に対してのみ補助金等を交付し、または補助率を高くする」ことは許されないことである。翻って今回の補助金を見ると、同補助金は正しく憲法違反であると言わざるを得ないが政府の認識はどうか。

 右質問する。



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